眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

ロカビリー・ナイト

2005-12-30 | 
人込みの中で
 一人
  君の姿探して
   探していた 君のあの歌を
切なく 哀しいバラードを

  ありふれた
   壁のポスターは
    色褪せた 想い出 刻んで
     映し出す
   無邪気な あの日を
    忘れてた
     あの娘の笑顔を

      年老いた
       バーテンはいつもと
        変わらぬ笑顔で
         時を刻み続け
          届かない
           想いグラスに注いでる

  いつも
   君を見つめていた
    誰にも
     気付かれぬよに
   疲れた
    君の横顔を
     不安げな
      溜息を

            すれ違い
             通り過ぎる
              街角に立つ 君の
               面影
              口ずさむよ あの
               バラードを

                いつまでも

                  あの日のように


 

  
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

目的地のない航海

2005-12-28 | 
自信のない夜には
 上手く眠れない
  梯子が都合良くあるならば
   月明かりを頼りに
    二階の窓から
  何処かしら旅に出ようとも
   想ったりもするのだ

 存在の
  まるで綿菓子のような軽さは
   いつだって
    目的地を探せない

        そもそもどうしてこの船にのったのか?

   あの人は誰だったのだろう?
  記憶が曖昧のまま
失礼のないよう
 会釈をひとつ
  大切な人が誰だったのか?
   全体想い出す事が難しい

    他愛のない戯言
   僕らはワインの瓶を片手に
  乾燥させた干し肉を食いちぎり
 いっぱしの船乗りの面持ちで
  
        「島が何処にも見当たらない」
       双眼鏡の見張りが呟く
      航海士は地図と羅針盤をひっくり返す
     
       目的地のない航海
     世界は球体ではなく
    世界の果ては巨大な滝
   神聖なる象がこの世界を支える

 僕は

  缶詰めのホールトマトを鍋に入れ
   ぐつぐつと煮込む
    なにを入れたのか分らないほど
     ぐつぐつと煮込む

          
                 目的地のある航海は
                  何処かに辿り着けるだろう


                  目的地のない航海は
                   辿り着けない地平を想い
                    右往左往する

                      それもまた
                     ダンディズム
                    物憂げに
                   愛用のパイプをくわえる

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ライター

2005-12-26 | 日記
昔、はじめて手にしたライターはジッポだった。
僕はありとあらゆる時と場所で灯をつけた。
寒い冬の公園では、一度火をつけて暖めてから、こっそりポケットのなかでかじかんだ手で握り締めた。
行きつけだった店で、ウィスキーを滅茶苦茶に飲んで間違えて煙草のフィルターの方から火をつけた。
誰もいない教室で、一服する。
かちん、と良い音をさせてライターを仕舞い込む。
寒い日だから、ライブハウスの帰りに煙草を吸うと暖かく感じた。
人と会うとき、手持ち無沙汰の表情でやたらと量がふえる。
爺様が好きだったウィンストンを、一日に三箱吸っていた。
散歩した。
池の端には緑色の草に覆われた斜面が笑う。
明け方、酔いの回った僕は水面をじっと凝視した。

年を少しずつ経るたびに、ライターは鈍い光を放つようになった。
彼は、初々しいティーンエイジャーから物事の裏を熟知した年寄りの顔になった。
僕だけがいつまでたっても子供のまんまだった。

失くした横顔は、それでも必ず僕の手のひらに舞い降りてきた。
誰かが落とし物として届けてくれた。珈琲ショップのマスターが走ってきて、息を切らしながら云う。「お客さん、忘れ物ですよ。」

   忘れ物。

一年だけ煙草に手を触れなかった。
それで、僕はそのジッポを弟に譲った。
火はもう点かなくなっていたけれど弟はそれを大事にしてくれた。
僕らは、灯の点かなくなったライターを大切にした。
お守りみたいなもんだ。

  灯の点かないライター。
   役には立たないよね、

 

     忘れ物。






コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

舞台

2005-12-23 | 
白い雨が降り注ぐ

  僕は
   踊り笑い唄うだろう
  
   何人かの人々は
    席を立ち

    ある人々は
     投げやりな拍手を
      投げつける

     紙煙草に灯をつけ
      寒さに眠りかける意識を
       かろうじて繋ぎ止めながら
        まどろむ


       それでも


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

しあわせについての考察

2005-12-22 | 
しあわせに 
 なれるよ
もしかすると
しあわせかも
 しれない

  あの大きな
   樹の下で
    僕は柔らかい眠りにつく

  しあわせ
   だったり
    するかもしれないよ
   あの丘の向こう
  原っぱの
   ちょうど真ん中で
    古い動力で飛び立つ
     時代遅れのプロペラ飛行機の
      飛ぶ音を
     耳にしながら

          誰も答えられない
           問いがあるとするなら
         生きることに
          何の価値があるのだろう
           僕は知りたい

          でもね
         今日飲んだワインが
        値段より上等だったから
  
          今日は許す

                                                                                                                                                                       許す
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パレード

2005-12-19 | 
暮らしは楽になったさ
煙草は減らしたし
酒もほどほどだ

野良猫の溜まり場は
あの裏の空き地
細い三日月が
事あるごとに顔をだす
そんな 真夏の
夜の夢

   さあ
    パレードの始まりは
     街の灯りが灯る頃
    さあ
     パレードの始まりは
      いつもの広場

  暮らしは楽になったさ
  でも
  あの夢を今でもよく見る
  忘れられない
  そこいらの
  猫のボス
  トミーの云ってた
  夏の夜の幻

     道に迷った僕は気付いた
     ここは天国でも
     地獄でもない

      夜の街の片隅に
      見つけた人影に
      誘われ

       ねえ
        あの夏の夢は
         今でも
          ただよってるの?
       野良猫たちが空き地に集い
        パレードを祝って
         すっとんきょうな
          声で
           云う

     さあ
      パレードだ
       あの街のあの広場
        そこで
また
          始まる

       始まりはいつも
        あの


        夜の向こう



     
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2005-12-11 | 
飲みたくも無い酒を
 ただ
  ひたすらに飲む

  やがて酔いが回り始め
   世界が中心線を失い
    意識が混濁する

  酔っ払ったふりをして
 店の外で雨の夜風に触れる
外気は軽妙なトリックで
 僕に過去と現在について教えてくれるのだ

  まるで
 主音を導き出す導音の如くに

  それでも納得がいかない場面では
 指を喉の奥に突っ込み
わざと吐いてみせる

 指なんか突っ込まなくても
簡単に反吐がでる深夜
 
 群がる偶像を叩き壊したい
権力 暴力 
 人知れず泣いていた少女の背中
  黙殺された慟哭

   一人で飲む酒がましさ

   喧騒と怒号の中

    耳と意識を閉ざす


         子供かな?
        相も変わらず
         僕は



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2005-12-01 | 
「空いている席におすわりよ」
 そんなふうに云って欲しかった
 「お腹すいてるんだろう?」
   パンの一切れに

音楽が流れ
 時が移り行くのは必然か

 ならば 街は装いを変え 表情を
   右往左往させる

  ハンバーガーショップの夜の窓は
 いつのまにか
ピクルスが多く入っている
 ケチャップたっぷりのハンバーガーに噛り付き
思えば
 ファーストフードの街にも慣れ始めた頃

  もう一年にもなるんだね
コーラを飲みながら
 自嘲気味に自分のだらしなさに
  一言

  あれから
 あれから果てしない世界が並んだ

  選び取る勇気は
 僕に何を与えたのだろう?

  お酒を控えてもう三日になる
 体調が良いのは
やっぱり
よく食べ よく眠れるからだね

  記憶の街は


    遠い風景

   ガラス越しのネオンのきらびやかさ

   

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする