眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

酔い覚まし

2008-06-18 | 
君が何かを求めるなら
 まず酔い覚ましを飲む事だね
  彼はあきらかに呆れ果てていた
   僕は酔い覚ましを飲むべきだったのだろうか?
    まどろんだ深夜零時は夢の時間
     おとぎの国だった
      ワインを舐めながら飽きもせずロックンロールを聴いている
       
      頭痛がしたのでアスピリンを一緒に飲んだ
     変形した意識が困惑する
    電話をかけようとして止めた
   なにしろ時間が遅すぎる
  時間を止めようと悪あがきするのが僕で
 みんな明日の準備をして清潔な白いシーツに包まっている様な気がした
煙草に灯を点け
 部屋中の電気を落としロウソクに灯を点す
  ゆらゆらとゆらぐ自分の影の世界で
   ディストーションで歪んだ音に肩まで浸かる
    頭痛が止まない
     雨の夜
    
    雨の夜
     タクシーを止めようとしたが
      道端に座り込んだ酔っ払いを乗せてくれる
       気紛れなドライバーはいなかった
        電話をかけようとして止めた
         夜は遅かったし
          どうせ繋がりはしない事だって
           なんとかかんとか分かっている
            気紛れなタクシーが僕を拾ってくれた
             お客さん
              だいぶ酔っているようだね
               道がわかるなら乗せてくけど
              ドライバーが云った
             道?
            僕は一瞬その言葉が何処を指しているのか
           見当もつかなかった
          あるんでしょう、家。
         彼が呆れてそう尋ねた

        「帰る場所があるんでしょう?」

        いつか云われた言葉だ
       「わたしには帰る場所が無いから」
      女性は少し寂しそうに呟いていた
     僕と彼女はおれんじ色の食堂で暖かな紅茶を飲んだ
 
    これからどうするんですか?
   あなたがどうするか、よ。
  彼女は柔らかに微笑んで僕の瞳を覗きこんだ
 あなたは大丈夫だから。それに、
  それにあなたの弾くギター好きよ。
   涙がでないくらい哀しかった
   
    電話をかけようとして止めた
     もう連絡のとれない大切な友達
      会いたくて会いたくて
       苦しいくらい会いたい
        僕は時間を止めようとする
         悪あがき
          野良猫が呆れたように僕を一瞥する
          
          お客さん。
         近くのビジネスホテルまで送るから。
        あんた何があったか知らないけどさ、
       死んじゃうよ。この寒さなら。
      車が動き出し夜道を走った

     運転手さん。
    誰か大切な友達を失った事ある?
   そんなのばかりさ、この歳になるとね。
  大切な友達なんだ
 今のあんたに必要なのは酔い覚ましだね。
運転手はバックミラーで僕を見て呟いた。

 繋がらない電話

やがて見るからに安っぽいホテルの部屋に辿り着き
 ベットの上に倒れ込む
  
  繋がらない電話を眺めながらぼんやり想う

   僕は酔い覚ましを飲むべきだったのだろうか?

    いまだにそれは謎だ

    しかし
     僕は夢の中の友達から連絡がくることを

      待っている

      繋がらない電話

       雨の夜




      
    
      
        

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2 コメント

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Unknown (詞徒)
2008-06-19 02:08:19
この詩もいいね。あがきって絵になるよ、生きてる証だからな。
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詞徒さんへ (sherbet24)
2008-06-20 01:59:37
詞徒さんコメントありがとう!そっちの新しい詩にも目を通させて頂きました!あがきは生きてる証拠だね。生きる事は義務だと想ってる。食べ、飲み、排泄する。その合間に夢を見る・・・。人生って案外そんな物で、そこに意味があるのかもね。
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