眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

秋風

2008-08-30 | 
湾曲した頚椎で世界を凝視する
 頚椎の七番目が変形している
  グラスの呑み残したワインの哀しさ
   辿り着けない孤独
    賛否両論のアジテートの中
     柔らかな秋の風を想った

      さんまの焼ける頃
       子猫の鳴き声
        いつまでも夢を見ている
         波止場の夕暮れ時は
          明日の行く末を知らない
            遠く遠く
             おれんじを皮ごと齧り
              運命を矯正したいと想った時代
             苦い思い出が美味く感じる
            味覚が変わったのだろうか?
           変質したのはむしろ
          味覚ではなく僕のレ・ゾンデートル
         思春期の思い出は十冊のノート
        焼却炉でごみと一緒に燃やした
       煙が煙突から灰色の空に流れ
      やがていつかは春が訪れ
     桜が満開して新入生を歓迎する
    絶望の淵はプラチナで装飾され
   懐疑的な人生は
  深夜の奇妙な憂いの独白
 祈りを捧ぐ

筋肉のこりだけとってあげる
 硬直した全身の倦怠感
  硬直した夢
   甘ったるいお菓子を食べる
    知り合いの子供達は僕のことをチャーリーと呼んでいた
     味覚が変わったのだろうか?
      記憶の質が変容する
       今日は一体何曜日なのだろう?
        まるでクイズだ
         正解者には真実を知る権利が約束された
          
          屋台で食べたラーメン
           トンネルのなかで嗚咽した
            
           秋風はいまだ遠く

          湿度の高い島の一角で
          僕は悪夢から目覚められないで居るのだろうか?

          明日

          MRIの予約をした

          秋刀魚の焼ける頃



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伝言

2008-08-26 | 


       弱いひとは嫌い?
     いつも生を肯定できる筈もない
      弱さはさらけ出しちゃあ
       いけないのかな?
     ただ孤独と嗚咽に苦しくって
        眠れない夜
      
         苦しい




   
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鼓膜

2008-08-23 | 
眠れない夜は優しい
 起きなくてはいけない
  事務事項の約束の朝が救いの手を差し伸べるなどと
   いったい誰がささやいたのだろう?
    終わらない夜
     封印された記憶
      薄っすらと懺悔し
       僕らは古ぼけた自動販売機でコーラを買った
        なかなか出てこない自動販売機を君が蹴り飛ばした
         僕らはひっきりなしに煙草を吹かせ
          誰も居ない時代遅れの本屋の
           馬鹿でかい駐車場に車を止め
            この終わらない夜に身を沈めた
             気に入りの音楽を流し
              僕らは世界の現実から乖離した
               テールランプが流れた
                世界は深夜にも慌しい
                 
                コーラの瓶を
               本屋のネオンに透かしてみせる
              終わらない夜 
             終わらなかった筈の永遠の夏休み
            煙草を吸い終え
           僕らは愚らない話を熱病の様に繰り返した
          その言葉ひとつひとつが呪文だったのだ
         時間を止め磨耗する記憶を記録し
        まるで魔法のように永遠を信じた
       永遠の魔法
      鼓膜に木霊する帰らぬ記憶の存在意義は
     やがて宙空に散布されるのだ
    
    月夜だった
   僕らには行くべき処も
  帰るべき場所も用意されていなかった
 聴こえるはずの無い高周波が鼓膜を振動させた
「帰りなさい」
 そう聴こえなかったかい?
  マールボロのフィルターを口にくわえながら君が云う
   気のせいだろう?
    僕は君の使い古したジッポで灯をつける
     本当は聴こえていた
      僕にも
       終わるはずの無い夜が抹消される
        やがて
         この広大な駐車場も無くなる
          行き場所を彷徨い
           
           僕らは


         柔らかな熱帯夜の湿度にうんざりしながら

        僕らは現に此処に存在する

       そうしてたまに

      あの夜の優しい記憶たちの声が

     鼓膜に木霊する

    「帰りなさい」

   僕は耳を塞ぐ
  聴こえない筈の声
   苦しくって
    思い出してしまうのだ
     
     僕は瓶のコーラを飲み干して
      そうっとはっか煙草に火をつける

       哀しみを燃やすのだ

        永遠の記憶と共に

         今日も鼓膜を刺激する

          優しい夜の時間





  
            

          
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