眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

ひとこと

2010-03-29 | 




     「変化するための努力
       
       変化しないものを受け入れる勇気」




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「病める子」

2010-03-23 | 
エドヴァルド・ムンクの絵画のなかで、僕がもっともこころ揺さぶられた絵がこの「病める子」だ。少女がベットに横たわっている。母親らしき人物が、少女の手を握り哀しみにうずくまる。
少女の目は窓の外をじっと眺めている。
痩せこけた、でもその表情は穏やかだ。いずれ来るであろう死を、透徹した眼差しで見つめる。
ムンク自身も云っているように、この作品は彼の精神的な転機となった作品だ。

  人が死を想う時、どんな心境なのか?

僕は死を想う。そうして僕の体験からはその実態が見えない。
仕事柄、けっして少なくない方々の死に直面する。
突然の死は残酷だ。でも、長い時間をかける死は、家族や夫や妻に重大な精神的疲弊をもたらす。

精神は麻痺し、本当は言いたくもない言葉が口をつく。
大事な人。
それだけに優しくできない瞬間もある。疲れているんだ。

いいよ。無理しないで。
僕の家族にもかつて死に近い人がいた。
癌だ。
そんな父親の背中を見ながら酒を飲んだ。
僕は僕が解らなくなる。

「病める子」
   
 この絵が内包する優しさ,哀しみ、祈りどうしようもない感情の嗚咽。

生きることを放棄する事も可能だろう。
でも、真剣に死と向き合っている人に向かって 「死にたい」という言葉を発する資格が誰にあるのだろうか?
僕にはわからない。

   でも、僕は生きることを望み、願い選択した。

「病める子」
この絵を見るたびに、自分を奮い立たせる。

    負けたくない。


   生は常に死を内包している

  いまこの瞬間にも僕らは常に死と対峙している

 そのことに気が付くことから何かが始まるのかも知れない



      Memento-Mori 
      (死を想え) 













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信じられるもの

2010-03-19 | 
信じられるものを
 あなたはいくつ持っている?
  犬のかたちをしたスリッパを
   つま先でぱたぱたさせながら少女が尋ねた

  僕は憶え始めのパイプの掃除に手間取って
   その質問を理解するのに
    少々時間がかかった

   信じられるもの?

    そう。たとえば神様だとか思想だとか。
     とにかく自分自身を捧げられる物のことよ。

    僕はもらい物のパイプに葉を詰め込み
     マッチで火をつけた
      そうして一服する間
       この命題についてひとしきり
        想いを巡らせた

     なにもない。
       なにもないの?あなたは存在しているのに
        存在理由がないの?

    僕はため息をついて一冊の本をテーブルにのせた
   「人生を如何にいきるか?」
  と背表紙に題名が記されている
   
 どこで拾ったの?
  少女は素早く本を仕舞い込み
   顔を赤くして煙草をごそごそと探し始めた

    雑貨商の本棚に山済みしてあったの。
     ただだって云うから・・・。

    ねえ。ほんとうに信じられるもの無いの?

   ご飯が美味しくて
  少ないけれど友達がいて
 ワインがボトルの半分残っていて音楽がある
だからしあわせなんだ
 神様も思想もあまりいらない
  傲慢だと想うかい?

   少女はわからない と首を振った

   いまこのしあわせを手にするのに
    僕はいろんなものを捨ててきた
     手放したくなかったものも山ほどあったさ
      でも時間は優しくて残酷だったんだ
     
       そういう訳で
      神様も思想も今のところ僕には必要がないんだ
     ところで君はどうなのさ?

    僕が聞くと
   どうでもいいのよ、本当は。だってただでもらって来た本だし。
  少女は笑ってワイングラスを差し出した
  それより

   あなた 
    私の分 ちゃあんと残してくれてるわよね?

     僕等は深夜2時に
      ワインで乾杯した

     世界が平和でありますように

     少女がささやいた

     まったく同感だ

     時間が流れ行く



  
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優しい封印

2010-03-10 | 
優しい封印
 心を石にする
  何も感じないように

 嬉しさも哀しみも
  悦びや切なさを封印す

     誰も彼もが自分のことばかりだ
     もちろん
     僕はその中心人物
     在りもしない虚構の背景で
     街並みの街路樹の役を演じた

 垂れ込める灰色の雲は
  やがてすぐ其処まで来た
   長雨の気配を知らせるのだ
      
     賛否両論の中で
     議題は白紙撤回された
     地団駄を踏む
     僕の子供っぽさといったら
     安っぽいショートケーキの生クリーム
     とても
     食べられたものじゃない
    
                     蒼い林檎の酸味が好みだろう

        訳も無く取り残された不穏
        鞄を悪戯な悪意で隠された少年
        裸足で帰る
        こんな時に限って雨だ
        といっても
        帰れる場所なんて何処にも無かったのは真実だが

   降り注ぐのは
   傲慢な感情の本流
   意味も知らず
   貴方の帰りを待つという
   馬鹿な話だ
   在りもしない空想
    
          手紙を出した土地は住所不定
          誰かの空気が
          知らない街の
          知らない君を優しく包み込む

   しらんぷりした
   辟易とし感情に麻酔をかけた
   酒で脳の一部を破壊した
   廃墟と化した僕の部屋を見て
   蔑んだ視線は
   セピアの写真の上で動かない
   僕は
   オートマテックのベルトコンベアーが嫌いだ
   工場は細分化された
   
         盤をかえたオルゴールは
         博物館のなかで
         展示室を優しく封印した

       可笑しな話さ
       嘆き悲しむ有象無象が
       日常の呆れ返る忙しさをもって
       まるで使い慣れたペーパーナイフの鋭利さで

        封印を開ける

        封印を空けた



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