ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

4 海の切子のワイングラス 105ページ目 

2010-06-22 20:35:09 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【105ページ】

和音は、グラスを口元に近づけた。

スパークリングワインの気泡が弾ける音が耳元で聞こえた。


和音   シャンパンではない気がします。

     シャンパンのブドウ品種は、シャルドネとピノ・ノワールで造られる場合が

     多いが、これは、シュナンブランとフレンチ・コロンバール?

     うーん・・・・。

社長   どうされました?

     白か赤を答えるだけですよ!

和音   前回のテイスティング対決では、ワイングラスに描かれたカベルネ・ソーヴィニ

     ヨンから強い気が発せられていました。

     しかしこのグラスの葉からは、シュナンブランとフレンチ・コロンバールの気を

     感じとることができない!

     なぜだ?

社長   何か難しく考えていますね?

     和さんの指を使ってもいいですよ。


社長は、和音を挑発した。それに対して、和音は心の中で呟いた。


和音   今回は、内向きに気を発しているのかもしれない!

     前回は、カベルネ・ソーヴィニヨンの気で私の舌を麻痺させたが、

     グラスより内向きの気で、ワイン自体の味覚を変えたのでは?

     50%の確率で白か赤と答えても、言葉のトリックでロゼという可能性も

     ある。