ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

4 海の切子のワイングラス 107ページ目 

2010-06-24 21:02:19 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【107ページ】


和音   今回は、とても迷いました!

     ひとつお聞きしてもいいですか?

社長   何でしょうか?

和音   今回もブドウの葉に気を彫り込めていたのですか?

社長   いいえ、今回は何も依頼していません。

     何も依頼しないことがトリックだったのです。

和音   そうか!                                     
     私自身が、前回のカベルネ・ソーヴィニヨンの幻影に惑わされていただけだった 
     のだ!

社長   私もひとつ聞いてもいいですか?

和音   どうぞ!

社長   そのような状況の中でどうしてブルーだと判ったのですか?

和音   何も考えない!

     何も感じない!

     頭も心も無の状態にリセットして、もう一度ワインを味見したのです。

     すると、人魚の「ブルー」という声が聞こえた気がしたのです。

社長   それでブルーと?

和音   はい。

     人魚の声を信じました。

社長   グラスの人魚が話しかけましたか?

     この海の切子のワイングラスは、和さんに持って帰ってほしいのでしょう。