ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 92ページ目 タブレットを操るソムリエ  ラストーではない!

2013-05-11 22:46:32 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【92ページ】


 早い、秋月はすばやくテイスティングを行ない、素早く答える。

そして二つ目のグラスを手に取り、口に含む。

「果実味がたっぷりで、豊かなアロマ、これはジゴンダス」


 仲間の3人のソムリエは、そんなに早くワイン名を見分けることができるのか?

と感心して眺めている。

秋月は三つ目のグラスを手に取った。


「たくましい、しかし素朴さを兼ね備えた濃密なフルボディ、これはヴァケラス」


 すると残りのワインはラストー? ラストーは先程テイスティングを行ない、

タブレットでも味覚評価を確認しているので、彼はすぐ答えられるはずである。

秋月は一番左端のグラスを手に取り、一口で飲み干した。


「うむ? 先程のラストーは複雑なスパイスの妙を感じ取ることができたが・・・」


 秋月は心の中で呟いた。


「これはラストーではない! そしてマリーナタウンのハウスワインのシャトーヌフ・デュ・パフ

でもジゴンダスでもヴァケラスでもない!」


 秋月はそう言って、3人の顔を見回した。


「熟成感を味わえるふくよかなワインですね?

これはシャトーヌフ・デュ・パフの新規のワインでは?

もしそうなら。マリーナタウンのハウスワインとして採用に一票を入れます。」


「パーフェクト!」 

「秋月さんはすごい!」

「天才だ!」3人のソムリエはそれぞれ感嘆の声をあげた。