ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 88ページ目 タブレットを操るソムリエ 

2013-05-07 20:44:38 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【88ページ】


 秋月は横浜のフレンチレストランマリーナタウンでソムリエとして働いている。

彼がマリーナタウンで採用されたとき、先輩ソムリエからすごい新人が来たと

驚きを持って迎えられた。


 秋月は長原ソムリエ養成スクールをトップの成績で卒業し、一発でソムリエ試験に

合格している。


 彼の逸話としては、長原ソムリエ養成スクールでは卒業式のイベントとして、卒業生に

よるワインの勝ち抜きテイスティング大会が実施され、彼が勝ち上がって卒業生の

中での優勝者となった。


 優勝者は、長原ソムリエ養成スクールの長原校長とのテイスティング対決の権利が

与えられる。

長原校長は盲目であるが、ワインのテイスティング力はトップソムリエに劣らないと

評判である。


 そして秋月と長原校長とのテイスティング対決は、長原ソムリエ養成スクールの伝説

として今でも伝えられている。

二人のテイスティング対決の決着は9回までつかず、10回目にして秋月が間違え、

長原校長が正解して勝敗が決した。


 長原校長は卒業生の祝辞で「近い将来、世界最優秀ソムリエが我がスクール卒業生

から生まれる可能性がある」と言ったのである。


 しかし、秋月はマリーナタウンに勤め始めて数年は飛躍的なテイスティング力の

向上がなかった。 彼にはソムリエとして大きな弱点があった。