ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 77ページ目 お礼のソムリエナイフ

2013-04-07 07:01:23 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【77ページ】


 田辺良子は、オオカミグッズのワインバーへの足取りが軽かった。

和音から今夜ここに来ているとメールがあったのだ。

神戸のメイン通りから脇道に入ったところに店がある。


 店の前には、電飾でオオカミの形どった看板が立っているが、店を

覗くとオオカミグッズが並べられていて、ここがワインバー?と首を

傾げながら立ち去る人も多い。


 良子はオオカミグッズが並べられている店内を通り抜け、奥のドアを

開けて中に入った。


「田辺さん、いらっしゃい!」

「マスター、こんばんは!」


 マスターは、目くばせで和音が来ていることを良子に伝えた。

良子は、にっこり頷き、和音が座っている奥のカウンター席に近づく。


「このワインはカベルネ・ソーヴィニヨンの酸味と渋味が特に強い!」


 良子は和音の言葉に、彼への挨拶も忘れて、カウンターに置かれているワイン

のボトルを見た。

ワイン名はジュヴレ・シャンベルタンで、ブルゴーニュのジュヴレ・シャンベルタン村の

村名赤ワインのブドウ品種はピノ・ノワールだ。


「和さん!」 


 良子の甲高い声に、和音が振り向いた。


「またワインの味覚が・・・・・」