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ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 142ページ目 盲目のソムリエ  シャトー・キルヴァン   

2015-02-28 12:48:20 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【142ページ】


「これは、メドック3級の名声を持つ、シャトー・キャルヴァンでは?」


シャトー キルヴァン 2010 赤 750ml
クリエーター情報なし
シャトー キルヴァン



繊細な味わいのマルゴー村のワインの典型だったのが、

近年は、男性的な力強いワインになり、評価が上がってきていますね。
すばらしいワインです。」

「和さんに、褒めてもらて光栄です。」


 大沢理事長は、ワイン通倶楽部のメンバーに自慢できると喜んだ。

「和音さん、ヴィンテージは判りますか?」


 粉河は、サングラスをかけた顔を和音に向けながら訊いた。


「いえ。品質改善に苦労を重ねたワインだというのは判るのですが・・・」

「そうだった、和音さんはテイスティング対決以外の時は、ワインを楽しんで
飲むだけだった。

私は、ヴィンテージを気にする方で、これは平凡なマルゴー村のワインから
抜け出した1996年のワインだと思うのです。

打田君、ヴィンテージは正しいかな?」


 大沢理事長の専属ソムリエの内田は、ワインを覆っていた取り除いた。

「はい、1996年のヴィンテージです」


「メドックの格付け変更は、1855年以降たった2回だけです。
一つは1856年にシャトー・カントメルルが第5級に追加されたこと。
もう一つが、1973年にシャトー・ムートン・ロートシルト第2級から第1級
に昇格したことである。」


と和音が格付けについて話をする。

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 四話 盲目のソムリエの途中までのあらすじ 

2015-02-28 11:34:45 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
        四話 盲目のソムリエの途中までのあらすじ 




 ワイン通倶楽部の会員である大沢病院グループの大沢理事長が、

テイスティングにかけてはトップソムリエもかなわいとうわさされている

和音 通(わおん とおる)にテイスティング対決を挑む。


 和音の相手は、大沢理事長の専属ソムリエの打田の師匠の盲目の

ソムリエの粉河である。

粉河は、トップソムリエもかなわない和音とのテイスティング対決は

無理だと最初は断るが、弟子の打田から目を隠すブラインドテイスティング

なら互角以上に闘えると提案される。

そして、打田には秘策があると告げる。

粉河は、テイスティング対決を受けるが、粉河自身も秘策を持っていた。


 大沢理事長のお気に入りのワインは、シャトー・パルメであった。

これは、メドック地区マルゴー村の第3級の格付けのワインであるが、

第1級のシャトー・マルゴーを追う格付け以上の高評価のワインである。


Chateau Palmer シャトー・パルメ 2008
クリエーター情報なし
シャトー・パルメ




 大沢理事長のプライベートワイン会では、和音とシャトー・パルメを含む

マルゴー村のワインを楽しむ。


 そして、和音とのテイスティング対決では、シャトー・パルメのセカンドワイン

のアルタ・エゴ・ド・パルメのヴィンテージの垂直テイスティングを予定している。

アルタ・エゴ・ド・パルメ 2006
クリエーター情報なし
シャトー・パルメ





1997年までは、シャトー・パルメのセカンドワインはレゼルヴ・デュ・ジェネラル

であったので、打田は、トリックでそれを使うつもりだ。


 プライベートワイン会で一本目のワインを楽しむが、マルゴー村のワインらしく

ないものであった。

そのワインとは?

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 141ページ目 盲目のソムリエ マルゴーらしくないワイン   

2014-03-21 22:44:54 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【141ページ】


 大沢理事長の専属ソムリエの打田は、テーブルの上に5本のワインを

並べた。5本のワインはそれぞれ紙に覆われていて、1から5の数字が

記入されている。


「これから打田さんに、これらのワインを抜栓してもらいます。

ワインを紙で覆っているのは、ブラインドテイスティングする為ではなく、

先入観なしにマルゴー村のワインの飲み比べをする為です。

私も粉河さんもどれがどのワインか判りません。紙に書かれた数字を見て

ワイン名が判るのは打田さんだけです。」


 和音は、大沢の言葉に頷く。


「和さん、1本目のワインを数字を言って選んでください。」

「5番のワインで!」


 打田は、5の数字のワインを手に取り、栓を開け、和音と大沢と粉河の

グラスに注いだ。


「さあ、飲みましょう」


 大沢の勧めに、和音と粉河もグラスを手に取り、ワインを飲んだ。


「マルゴー村のワインらしくないワインですね?」

「確かに!」


 粉河も和音の言葉に同意する。


「おいしくないワインですか?」


「いいえ」、「いや」和音と粉河が同時に言った。





ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 140ページ目 盲目のソムリエ  シャトー・ジスクール

2014-03-20 22:43:50 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【140ページ】


 一ヶ月後、大沢理事長のプライベートワイン会が、彼の自宅で開催された。

ワイン会用の部屋に通された和音は、大沢理事長と挨拶を交わす。



「今夜は、ワイン会にお招きいただきありがとうございます。」

「いいえ。

私のお気に入りのシャトー・パルメとマルゴー村のシャトー・ジスクール等他の

格付けワインとの飲み比べを和さんと一緒にしていただきたいと思って!」
 
「それは、楽しみですね。」

「和さん、紹介させてください。

こちらは私の友人の粉河さんです。

そして、彼は私の専属ソムリエの打田さんです。」


 粉河と打田は軽く頭を下げた。


「和さん、粉河さんは目が悪いので、声をかけてやっていただけますか?」

「和音です。 今夜はよろしくお願いします。」
       

 粉河は、和音の声のする方に顔を向けた。


「初めまして、粉河です。

和音さんのうわさは、大沢理事長からよく聞いていますよ。

一流ソムリエもテイスティングにかけては敵わいそうですね?」

「いえ、テイスティング対決を何度かしていますが、実際は引き分けが

多いのですよ」

「それでは、打田さんにワインを用意してもらいましょう」



シャトー・ジスクール 2007
クリエーター情報なし
シャトー・ジスクール

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 139ージ目 盲目のソムリエ テイスティング対決料は高額?

2014-03-19 23:11:28 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【139ページ目】


 プライベートワイン会の為に、和音に支払う金額は高額だろうか?

いや、和音はワイン会への招待を月1回しか受けないので、ワイン通倶楽部

のメンバーにとっては、順番待ちの状況である。


 ワイン通倶楽部のメンバーにとって、和音をプライベートワイン会に招待

したことが、ステータスシンボルになり、テイスティング対決に挑んだことが

自慢になるのである。そしてどうしても和音に勝ちたいと考えた者はトリックを

使うことになる。 


 和音とのテイスティング対決では、トリックを使ってもいいことになっている。

ラベルの貼り替えやワイン名やヴィンテージを偽ってテイスティング対決を挑む

ことができる。


 トリックで禁止されていることは、ワイン自体を変えることである。

ワインに他の物質を添加して、味覚を変えることはできない。


 トリックは、今回の大沢理事長のように事前に知らせる必要はない。

しかし事前に知らせないでトリックを使った場合は、トリックの金額が倍になる

のである。


 
 和音は、一本目の黒ワインを開けて、テイスティングをおこなう。


「漆黒の輝きを放つワインだ!」


 和音はカオールの色を見ながら呟いだ。


「今度の対戦相手は、盲目のソムリエ。

暗闇の中から、どんな秘剣を投げかけてくるのか・・・・・」