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ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 138ージ目 盲目のソムリエ カオール

2014-03-18 20:40:28 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【138ページ】


 電話が鳴り、和音 通(ワオン トオル)事務所の受付の高野 由香里

(コウノユカリ)が応対に出た。

「はい、和音 通事務所でございます。」

「大沢ですが、和音さんに、指定の銀行に今日1,100万円の振り込みを

させていただきましたとお伝えください。」

「はい、承知しました。」


 由香里は電話を置くと、和音から依頼されていた資料を持って、テイスティング

ルームに行った。

和音は、カオールのワインの飲み比べをするところであった。

ワイン通倶楽部の会員の社長から、大手スーパーで売り出すカオールの選定を依頼されて

いたのである。

由香里が入り口でノックをした。



「入っていいよ!」

「失礼します。」


和音は、由香利の手に持っている書類に目をやった。 


「依頼していたものができたようだね?」

「はい、こちらです。

それと先程、大沢さんから1,100万円の振り込みの連絡がありました。」

「ありがとう」


 大沢理事長からの1,100万円の振り込みの内容は、和音をワイン会に呼ぶと

100万円、その時テイスティング対決を挑むとプラス500万円、さらにトリック

を使うとそれに500万円が追加になるのである。



グレヨン・カオール 赤 750ml
クリエーター情報なし
グレヨン・カオール

 

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 137ージ目 盲目のソムリエ レゼルヴ・デュ・ジェネラル

2014-03-17 20:30:33 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【137ページ】


「お父さん、打田さんからの手紙が入っています。

私が読みましょうか?」

「ああ、頼む!」

「粉河先生、和音さんとのテイスティング対決用のワインを6本送付させて

いただきます。アルタ・エゴ・ド・パルメの2008年、2006年、

2004年、2002年、2,000年、そして残りの一本は・・・おや?」

「賢治、どうした? 残りの一本は1998年ヴィンテージでは?」

「それが、レゼルヴ・デュ・ジェネラルの1997年なんです。」

「1997年?、うんうんうん・・・」


 粉河は、しばらく打田の意図を頭の中で考えを巡らせた。

これが秘策? ブラインドテイスティングも対決用の仕掛けであったが、

これも1998年のアルタ・エゴ・ド・パルメと思わせる仕掛けの一つか?

2年おきのヴィンテージを揃えると、当然アルタ・エゴ・ド・パルメの

初ヴィンテージの1998年だと思い込ませることができる。

1997年までは、シャトー・パルメのセカンドワインはレゼルヴ・デュ・ジェネラル

であった。

そして、このトリックもまだ打田の秘策ではない。

さらに、私自身の秘策も持っている。

大沢理事長、テイスティング対決は私達の勝だ!


「賢治、さあ、テイスティングを始めよう。」

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 136ページ目 盲目のソムリエ アルタ・エゴ・ド・パルメ

2014-03-16 22:56:53 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【136ページ】


 大沢理事長は、打田の言葉に驚いて、思わず聞き返した。


「大沢理事長、秘策ですのでお教えすることができません。」

「私を信用していないのかね?」

「いいえ、」


 打田は大きく頭を振った。


「大沢理事長だけではなく、粉河先生にも秘策を伏せさせていただきます。

和音さんに、表情や所作で秘策があるのを悟らせないようにする為です。

大沢理事長のプライベートワイン会の進行係は私に任せていただき、最後の

勝負どころで秘策を使います。」

「判った! すべてを打田さんに任せる。」




 粉河は、息子の賢治の運転する車で、キッズワインアカデミーから帰宅した。


「おかえりなさい!

打田さんからワインが届いています。

テイスティングルームに運んでいますから。」 

「お母さん、ありがとう。

夕食は、そのワインのテイスティングを賢治とした後でするから。

30分ぐらいで終わると思う」



 粉河と息子の賢治は、テイスティングルームにそのまま移動した。

そして賢治は箱を見つけると、それを開く。

中にはアルタ・エゴ・ド・パルメが数本入っていた。








[ Chateau.Palmer ] シャトー・パルメ、 アルタ・エゴ・ド・パルメ 2008 マルゴーAOC( 赤 ) 750ml
クリエーター情報なし
シャトー・パルメ

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 135ページ目 盲目のソムリエ ブラインドテイスティング 

2014-03-14 06:44:00 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【135ページ】


「打田君、本当かね?

私は、ワインの色を見ることができないのだよ。

一流ソムリエも敵わいという和さんには、無理でしょう?」

「いえ、私は、和音さんを倒せる可能性が一番高いのは粉河先生だと

思います。

ワイン対決にブラインドテイスティングを取り入れればいいのですよ!」

「ほう・・・」


 粉河は、テイスティング対決にその手があったのかと思った。


「粉河さんは、ワインの色を見ることができないが、味覚、嗅覚は

トップソムリエ以上に優れています。」

「大沢理事長、それは褒めすぎですよ!」

「いやいや。

だから、和さんに粉河さんと同条件、すなわち目隠しをしてのテイスティング

対決をすれば、互角以上の闘いができると私も確信したのです。」

「わかりました!

和さんとのテイスティング対決を受けましょう」

「粉河さんに、受けていただき、ホッとしました。」


「粉河先生、大沢理事長にまだ話していない和音さんを倒す秘策を持って

います。」

「秘策? それは何だね?」
















ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 134ページ目 盲目のソムリエ 和音との対決の相手は 

2014-03-13 23:15:07 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【134ページ】


「大沢理事長、シャトー・パルメのヴィンテージはお判りですか?」

「これには、五大シャトーのひとつシャトー・マルゴーにも負けない

オーラを感じた。グッドヴィンテージの1983年では?」

「さすが理事長ですね!

理事長のテイスティング力は、私の一番弟子の打田に匹敵しますよ!」

「いや、シャトー・パルメに限ってだけです。」
         

 大沢は謙遜したが、粉河からテイスティング力を褒められて、顔を

ほころばした。


「ところで、粉河さん!」 


 大沢の声のトーンが低く抑えられ、呼びかけられたので、粉河は反応した。


「何でしょうか?」

「来月の私のプライベートワイン会に、和さんを招待しようと思って

いるのです。」


「和さんと言えば、理事長がよくお話をされている方ですね?

テイスティング力に関しては一流ソムリエも敵わないとうわさの・・・」

「そうです。

プライベートワイン会では、彼にテイスティング対決を申し込もうと思って

います。」

「ほう? 和さんの相手は? 打田君ですか?」

「打田さんに相談したら、師匠の粉河さんしかいないと」