@「テイスティング・ディナー、ブラインド・パーティー」などは、最近富に大手食品企業とマーケティング企業が企画する新製品の味覚の試食催し物である。 ビール・ワイン・お酒の試飲会などもあるが、余程のプロでない限りその差は見抜けない。ましてやいつも飲んでいる愛好家でも間違える。 それほど人間の味覚はいい加減なのである。それは、その人の体調等にも影響するが、ここで言う環境、レストランの装飾・照明・音楽・匂い(香り)、それに外部からの刺激が実は多くの判断を迷わせているからだ。「食感は心で感じるもの」だと言う。同じ食べ物でも上司と一緒の食事と恋人とでは雲泥の差がある。 結論として、健康にいい食事は「気心の知れたいい仲間・家族・恋人等が一緒」ということになるのか? ここでの家庭での提案は、食事の前にお水を多少多めに飲み、TV・スマホを見ないで、利き手ではない手で、少し重めの箸・フォーク・スプーンで、小さめな皿に盛り付けた料理を、ゆっくり食べること。。。さて満足度は? 食事での健康度と満足度の一致はあまり無いと思うが、食べたい時、食べたいものを、食べたいだけ食べるが一番だ。一番悪いのはTVで告知される一品食いかも知れない。
『美味しさの錯覚』チャールズ・スペンス
- 最新科学で分かった、美味の真実=「ガストロフィジスト」食科学
- 食品や飲み物に対する環境を測り、理解するアプローチ
- 実験心理学・認知神経学・知覚科学・マーケティング学・デザイン学・行動経済学・ニューロガストロノミー
- 「食事は口の中だけで行われているのではない。私たちが食べ物から得られる喜びは、想像できるよりもはるかに大きい」
- 「食の喜びは口ではなく、心で感じるもの」 心地より香り、味、舌触り、色、音は脳のなせる技となる
- 「クロスモダール」 赤い照明をつけるとグラスのワインが甘くフルーティーに
- 「マルチセンソリー」5感を刺激
- ポテトチップスのパリッとする音を大きいと美味いと感じる
- 食の満足感を出す一つはフォーク、ナイフを重くする。縁のないボウルに入れる(日本食=お皿の数と重さ、味噌汁のお椀)
- 日本食への関心は日本語・武道から、そしてお寿司(手掴み)
- 味の印象付けにあるものは寿司=わさび、手つかみ感覚
- 食欲を作る「心理トリック」効果・テーブルに置物と音楽
- ステーキ店=牛のなき声が出る置物
- シーフード店=海の音楽
- 「食事には複数の感覚が働き、自然に雰囲気や環境を感じ取っており、味の感覚、楽しみ方が違ってきている」
- 「味の5つの種類=甘味・酸味・塩味・苦味・旨味」
- フルーティー・こってり・柑橘系だ・焦げ臭い・スモーキー
- これからの言葉は味ではなくフレーバーである
- 人間は最初に食べた時の印象が味覚として記憶に残る
- メニュー表示の表現に工夫
- サラダパスタを「パスタ入りサラダ」が感じが良い
- 「シャキシャキ新鮮な有機サラダ添え・・・」など
- 臭覚を刺激
- 香りを付ける・コーヒーカップ等の香りの穴
- 香りで感性を刺激・お店に香り付けする工夫
- 視覚を刺激
- 味は最初見た目=色(赤・黄・緑)
- 「甘い」「苦い」「しょっぱい」「酸っぱい」
- 形(丸いものは甘く、尖ったものは苦さを感じる)
- 白い皿・黒い皿・大きい皿・小さい皿
- 動きのある食広告(チーズ・チョコとろける様子)
- 聴覚を刺激
- コーヒーメーカーのドリップ音と香りを醸し出す
- ポテトチップスのサクサク感
- プリングルズは少し大きめで音が良い
- パリパリ感・カリカリ感・サクサク感
- フランス語「クラクオーント」・「クルスティヨン」
- スペイン語には合致した言葉が無いが「クロカンテ」
- 家庭ではサラダにクルトン、トッピングで工夫
- 昆虫の食品加工は利にあっている
- 硬い甲殻や外骨格(食感・パリパリ感)
- タンパク質と脂肪分豊富
- 赤身肉の消費を減らせる(食肉不足対応)
- 触覚を刺激
- ミシュラン星付きレストランでも指を使って食べる
- 目で見ているものに反応し味を感じることも可能
- 素材を見て触れながら手の感触と口の食感
- 重いスプーンの方が軽いものより味評価が高い
- 手で食べる・ハンバーガー・フィシュ&チップス
- 「食へのアプローチ・雰囲気」
- 音楽から照明、椅子・テーブル、環境は食体験必須のモノ
- 「BGM音楽」クラッシック音楽で散財する
- 平均10%以上多く出費
- イタリヤ料理レストランでの推薦曲「誰も寝てはならぬ」
- 「フィーリンググッド」「ワンフォーマイベイビー」
- テンポを落とすことで15%売上アップ
- 行列を作るお店はテンポが早い曲
- マクドナルドの椅子は10分以上座り続けない工夫がある
- 居心地の悪さを感じる座席デザイン
- 人は四角いテーブルより丸いものを好む
- 照明の色で味と好みが変わる
- 赤い照明と甘い音楽でフルーティー食感
- 赤い光は全て赤くする、緑の照明は肉を腐った灰色に変える
- 「雰囲気の未来」
- 超指向性スピーカー、LEDで変化する色を各テーブルに配置、その雰囲気に調整できる
- 「家族との食事」
- 家族と一緒に食事をすることで12%の肥満減、さらに健康な食物を選ぶ確立25%増。「誰かと一緒に食事をする事で、脳内でエンドルフィン分泌が盛んになる。エンドルフィンは人と人の社会的なつながりにおいて重要な役割を担っている。精神の健康を高め、幸福度と満足とが増し、人生の目的意識すら強くなる」
- 「一人で食事」2015年から倍に膨れておりこれからの市場
- デメリット:不健康=肥満・野菜欠乏・栄養不足
- TVを見ながらの食事で15%余分に摂取する傾向
- メリット:料理を集中し楽しむことができる
- ひとり客のお店増・カウンター席増(シェフとの会話)
- 「新たな傾向」
- 「シェアリングディナー」(相手に食を運ぶ・食べさせる)
- 「テレマティックディナー」ネット通信・マクガン動画
- 「機内食の変化」
- トマトドリンクの注文が多い理由(乗客の27%が注文)
- 機内の気圧で約30%味が失われる
- 旨味を感じるが塩味・酸味・苦味は衰える
- 機内での平均カロリーは3400kcal
- 機内の推薦ワインはアルゼンチン産等の高地でできたもの
- フルーティーなものを選ぶ事
- タンニンが効いている渋味は選ばない
- 「記憶」=「初頭効果と終末効果」食事の始めと終わりを記憶する
- 素晴らしい味の記憶には最初に出る皿(アミューズブーシュ)
- 終末効果は最後の演出で記憶する(デザート・おみあげ)
- ブリア・サバラン「食事が人生で最も楽しい経験だ」
- 「個人化」傾向(顧客のデータを収集)
- もてなす方法・お客の名前で話をする
- 行きすぎたデータベースは無駄、気分を害す
- シェフによる各テーブルで演出
- 「選択肢の域」キーは『7』
- メニュー=7種の前菜・7種の主食・7種類のデザート
- メニューのセクションも7つ以内に収める
- 「人のストレス度・選択の域は7つまで」
- 「食体験」
- 「食べ物や飲み物、あるいは製品やサービスを買うのではなく消費者の求めているのはむしろ喜びであり経験を共有する事だ」
- 演出・芝居がかかった食事(水中・空中レストランなど)
- 凝った演出の盛り付け
- テーブルパフォーマンス(演奏・料理の仕上げ)
- 「デジタルダイニング」
- ロボットシェフ・注文タブレット・3Dフードプリンター
- ARで疑似体験食事・ヘッドホンで音楽
- 伝導スプーン・味覚センサーAR
- 「未来派料理」
- 食品の香りとテーブル調度の調和(アルミ箔等)
- 香水を使った味覚刺激(噴霧器)
- 音楽で舌と口に食感感覚(音楽の強弱・手つかみ)
- わずかな時間で味わえるカナッペ料理
- 自宅でのパーティーで重要な事は、いい皿とカトラリー用意
- 「デジタルなものに晒されることに疲れを感じている消費者は、より本物の体験を求めている」(知覚の爆発)
- 「健康な食生活」
- 1、食べる量を減らす。食べ物を見えない容器に入れる。
- 2、食事の前に水を半リットルほど飲む。カロリー減。
- 3、TVを消して、スナックは鏡の前でゆっくり食べる。
- 4、ストローは使わない。臭覚刺激を遮断してしまう。
- 5、氷水は飲まない。味蕾が麻痺して摂取(甘味)が増える。
- 6、皿は小さめに盛り付ける。赤い皿で回避行動を起こす。
- 7、ボウルは縁の無い重い物を利用する。重さの満足度。
- 8、食べ難い箸を使い、利き手ではなく、時間をかける。