「川柳さいたま」 雑詠

朝陽浴び生かされる幸噛みしめる
口開けてのぞいてみたい人の腹
捻挫した足でワンコのお供する
　　　　　　　　「川柳さいたま」　　５月号

「川柳さいたま」 雑詠

見つからぬ頭の中の削除キー
終活にやりたい事が多すぎる
消してまた消してはまたの懺悔録
　　　　　　　　　「川柳さいたま」　　５月号

自選句(テーマ別)

　　　　　　抱く(２９句中２４句)

辛抱で育ち老いては節約で
男たり肚に結語は抱いている
呆けだした妻をしっかり抱いてやる
血が通うまで人形を抱きしめる
　「全日本柳人写真名鑑」

「川柳さいたま」 雑詠

バリカンで頭叩いた父の癖
コップ酒見抜かれている腹の底
ポケットがみんな知ってる隠し事
　　　　　　　　　「川柳さいたま」　　５月号

自選句(テーマ別)

抱く(２９句中１６句)

母の海抱かれて石も丸くなる
森は母あまたの命抱きしめて
初日の出大海原が抱き上げる
綿帽子ふる里の山抱きたくて

「全日本柳人写真名鑑」

「柳誌」

病み猫とチーズを分けて背をさする
　　　　　　　　　　美和山吹
　　　　　　　　　　「川柳さいたま」５月号

「川柳さいたま」 雑詠

人間を信用しない核を溜め
なんとなく百円店が温かい
眠る間も女は武器を離さない
　　　　　　　　　　「川柳さいたま」　　５月号

自選句（テーマ別）

抱く(２９句中１２句)

朝顔が本能竹を抱いてのび
ゆっくりと母を抱いたわ笑ったわ
稲妻を抱く乳房の呼吸音
煩悩を抱いて悔いなき茶碗酒

　　　　　　　　　　「全日本柳人写真名鑑」

「

口答えされて喜ぶ親心
綱渡り終えた感じの定年後
お荷物にならぬと今日も万歩計
　　　　　　　　　「川柳さいたま」　　５月号

自選句(テーマ別)

抱く(２９句中８句)

七転び八起きの大地抱きしめる
真っ直ぐな胡瓜が抱いていた不満
湯上りを抱いて按摩機震えおり
末席の椅子が正論抱いている

　　　　　　　　　　「全日本柳人写真名鑑」