美和山吹の川柳ブログ***「川柳歳時記」「川柳画」など。***

このブログを始めてから、11年がたちました。
「川柳歳事記」は、良い川柳を読む機会のない人のため載せています。

「老いて新鮮」松ひさし

2021-03-20 10:10:19 | 
生き物たちのこと
僕は知っている
野山の生き物たちが生まれるときのこと
牛さんや馬さんは お母さんの牛や馬のおなかから
小さな小さなからだで生れ 育って大きくなる
狸さんや狐さんも同じようだろう
鳥さんは卵で生れ 卵がかえって幼鳥になり育つ
虫さんは卵で生れ 卵がかえって幼虫になり育つ
魚さんは卵で生れ 卵がかえって稚魚になり育つ

生き物の赤ちゃんが生まれる様子は
本やテレビなどでよく扱われる
生れる赤ちゃんは小さくてかわいい
赤ちゃんの誕生はめでたい

ぼくは知らない
野山の生きものたちが最後を迎えるときのこと
道ばたで寿命の尽きたセミさんが転がっているのを見たことはある
最後を迎えて仲間から離れていくゾウさんや
産卵後に寿命が尽きるサケさんを テレビで見たことがある
でも それだけでほかには知らない
身近に見かけるカラスさんやスズメさんは どうなるのだろう
チョウさんやトンボさん カエルさん フナさんは どうだろう

生き物たちの多くは短い寿命のようだ
最期を迎えたら どんな所でどんな風に消えていくのだろう
専門家や詳しい人には常識的なことであっても
ぼくはまだ知らないでいる 知らないままがいいのかな
生あるものに最後はつらくて悲しいこと でも自然なこと
本やテレビなどであまり扱われないのは
生れることは喜ばしいけれど果てることはよくないことだからか
始まりがあれば終りもあるはずなのに


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