美和山吹の川柳ブログ***「川柳歳時記」「川柳画」など。***

このブログを始めてから、11年がたちました。
「川柳歳事記」は、良い川柳を読む機会のない人のため載せています。

「川柳さいたま」 雑詠

2016-01-06 07:53:02 | 「川柳さいたま」
俯いた背なを撫でてく影法師
現実を受け入れられず地に潜り
満ち足りた日日カプセルに閉じ込める
        「川柳さいたま」  1月号
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自選句(テーマ別)

2016-01-06 07:51:43 | 自選句(テーマ別)
絵(25句中23句)

すれちがい夫婦を結ぶ絵の手紙
臆病な手に絵具皿もったまま
絵日記にしわ一つないバアの顔

        「全日本柳人写真名鑑」
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「老いて新鮮」  (松ひさし)

2016-01-06 07:46:55 | 

風とともに消える




遠くから見ていた著名人が逝く
年を重ねた人 これからも活躍を期待されていた中年の人
広い舞台で脚光をあびた人達
マスコミが報じ いっとき世間に風が吹く
風は世間が忘れかけていた人にも吹き
そうだったかと業績を思い起こさせる

観客だった世人が惜しみ
本人も無念な思いだろうけれど消えていく人
手腕があっても莫大な資力があっても消えていく人
悔しい病気 不意の事故 残念な身の衰え
逝く人に なぜですかと問うてもむなしい
世間に吹いた風がほどなく静まる
逝った人のことは風とともに消えて
世間には風が吹く前と変わらない日常がある

身近に見ていた人が逝く
勤めていたころの先輩が 元気だった現役の後輩が
近所のほがらかだったおばさんが
我が家の道を主と散歩していたワンちゃんが
狭い路地や空き地で
走ってころんだり 汗をかき 泣いたり笑ったりしていた人達
みんなから好かれだれにもやさしかったけれど消えていく人
路地に束の間微風が流れる
逝った人のことは微風とともに消えて
路地には微風の流れる前と変わらない時間が過ぎる
逝ってしまった人は語らない
自分に吹いた風に何を思っただろう 吹く風は人さまざま
大きな風 小さな風 かすかな風 風のない静けさ

「戯れ言」より(原文)

                 (完)
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