JR北海道が道南の七飯町で脱線事故を起こしました。鉄道事故でも脱線は致命的な事故です。またかと驚くこと同時に、もと国鉄、動労の人を知っているので残念で仕方がありません。また、義父が北海道の国鉄職員であったので父のことを思うと悲しくなります。
国鉄民営化において東日本、西日本、東海は黒字企業として経営が成り立っています。しかし、エリアが狭く、人口が少ない地域は公共交通機関といえども黒字経営は難しいのだと感じます。企業努力で出来るのは赤字路線の撤退であり、その路線撤廃は地域の切捨て、過疎化を一層進めることとなります。この構図は、郵政の民営化後の郵便局の廃止統合、日本航空の思想差別と解雇問題にも共通した現象が現れています。結局は狭い国土を荒廃させ、取り狭い地域に人口を囲い込む皮肉な現象を作り出しています。このようなことは、首都圏以外では随所に見られ、今後も、出現することになると思います。
原油輸入量の抑制、電力の節約などの意味でも、大量輸送機関、公的な輸送網が全国をつなぎ、流通、移動を保障する社会は未来志向でも重要なことと思います。そのことが異常気象の削減、貿易収支の改善にもつながり、一部の多国籍企業以外は歓迎すべきことです。
JR北海道が事故を続発させているのは、赤字経営が新規投資、新規車両の導入を困難にしていることが一因と指摘されています。企業としての経営努力をこえる問題を押し付けたのは分割民営化を強行した中曽根政権です。国有財産を切り売りし、民営化することで地方の切捨てを引き起こしたことは批判されてしかるべきです。
もう1つの問題は、技術の継承ができなかった。出来ていない。このことが事故につながったと指摘されています。民営化のときに、国労、動労の中心的な活動家を赤攻撃し、排除して清算事業団に送りました。国労、動労で中心となっていた労働者は職場では経験豊かな、職場を取りまとめる上でも重要な役割を担っていました。このような老練で、重要な労働者、技術者を排除することで鉄道技術の継承が困難となっていのだと思います。問題はJR北海道だけの問題ではなく、多くの産業でリストラ、合理化が横行し、短期的利益を追い求めるあまり、産業の発展に欠かせない科学技術の継承、発展が困難となることは避けるべきです。そのことをJR北海道の事故があらわしているのではないかと思います。
<JR北海道の脱線事故>
渡島管内七飯町のJR函館線大沼駅構内で19日起きたJR貨物の貨物列車脱線事故で、国土交通省運輸安全委員会の赤坂幸広鉄道事故調査官は21日午前、報道陣に対して「脱線が始まったとみられる地点の線路の左右幅が、ミリ単位で(通常より)広がっていた」と述べ、脱線原因となった可能性もあるとの見方を示した。
JR北海道によると、貨物列車18両のうち脱線した4両は、クレーンでつり上げて線路に戻す作業が同日未明に完了。レールの交換などを進め、不通となっている函館線七飯―大沼公園間を21日夕から運行再開させる。ダイヤは22日から通常に戻る予定。脱線現場では、待機用線路(副線)が本線に合流するポイント(分岐器)の10~20メートル手前でレールに傷が付いていたことが20日の調査で分かっている。調査官2人は21日もレールの状況などを詳しく調査した。その結果、この付近で本来1067ミリの左右のレール幅が、わずかに広がっていることが計測により分かった。
広がりの大きさや延長は詳しい分析が必要としたが、JR北海道が定める整備基準値を超えていたことを明らかにした。
ただ、レールの広がりが、脱線の衝撃によるものだった可能性も否定はできず、JR北海道が6月に行った整備の記録などと照合し、原因究明を進める考えを示した。