そもそも行政の効率化があるからとした必要性を国民に押し付けて、国民総背番号制を導入、運用することに正当性はありません。これまでの行政上の形式でもほとんどの問題がなかったからです。生活保護費の不正受給を口実とすることも政権中枢から出ています。しかし、生活保護の不正受給は一部であり、国民全体に網をかける総背番号制と同列において論じること自身が不当です。また、生活保護世帯の増加は、企業の低賃金、非正規労働の爆発的増加、企業の社会的責任放棄が真の要因です。その行動を政治が追認し、法制度を捻じ曲げて派遣会社、非正規労働を多用する大手企業支援する安倍、山口、自公政権にこそその責任があります。
脱税を云々する口実もあります。しかし、公然と大手企業、多国籍企業は節税と称して租税回避を行っているではありませんか。そのことを全く問題とせずに、中小零細企業を攻撃し、莫大な経費負担を強要する。本当に国民と中小零細企業をいじめ抜く政権です。
このような政権を退陣させなければなりません。
<琉球新報社説>マイナンバー 見切り発車は許されない
国民一人一人に番号を割り当てるマイナンバー制度の12桁の個人番号の通知が5日に開始される。国民の間ではプライバシー侵害や個人情報の流出を懸念する声が多い。このまま制度を進めていいのだろうか。
制度導入に伴って、地方自治体は住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)や社会保障、税の情報を管理するシステム改修が必要で、自治体は情報漏えい防止の自己点検となる「特定個人情報保護評価書」を住基ネットの改修前に公表することが原則として求められている。琉球新報が県内市町村に取材したところ、住基ネット改修前に評価書を公表したのは13自治体で全体の31・7%にとどまっている。県内自治体の事前準備や対策が徹底されていない実態が浮かんだ。
共同通信が9月に実施した調査では、個人情報の流出やホームページの書き換えを狙う「サイバー攻撃」の標的となった地方自治体は少なくとも100に上っている。攻撃を受けた自治体は44都道府県に上っており、被害が広範囲であることが分かる。
総務省が遮断を促しているにもかかわらず、市区町村のうち19%に当たる313自治体が個人情報を扱うシステムをネットから分離していなかった。情報保護対策が極めて脆弱(ぜいじゃく)だと言わざるを得ない。
分離が徹底されていない理由は財政難だ。安全対策費の試算は1千万円以上とされており、小さな自治体には大きな負担となる。政府内ではネットに接続したままでサイバー攻撃を阻止できる強固な対策機器の導入を検討した。しかし機器を全自治体に普及させるには3千億円かかるという試算が出たため断念したようだ。自治体には国が統一した安全基準を明示していないことに不満も強い。安全対策を置き去りにしたままの見切り発車は許されない。
マイナンバー制度では希望者には顔写真付きで身分証に使える「個人番号カード」が発行される。内閣府が7~8月に実施した世論調査ではカード取得希望者は24%にとどまり、「希望しない」が26%で上回っている。「番号」を持ち歩くことへの不安があるからではないか。
サイバー攻撃で個人情報が流出すれば制度は土台から崩れる。国は万全なセキュリティー対策の構築に取り組むべきだ。それまでは延期すべきだ。