軍港移設受け入れ 浦添市長松本氏は信を問うべき
政治家が、選挙時の公約、選挙民に約束したことを反故にすれば、その政治的な責任をとって、信を問うべきことは当然のことです。この松本哲治浦添市長がまともな人間で、政治家であればです。金で転ぶような政治家は不要です。
民主党政権が公約を反故にし、2012年総選挙で厳しい審判を受けたのは当然でした。彼らの政治倫理のなさとでたらめさが、その後の安倍、自民党政治を、政権を下支えしていることは明らかです。何をやっても無駄。政治家なんてまともではないんだ。この政治不信を作り出した罪は歴史に残る汚点です。
もともと自民党型政治は公約もせず、選挙で信を問うことなく戦争できる国づくり、教育の反動化、消費税の導入と法人税の引き下げ、労働法のなし崩し的な空洞化などを進めてきました。その結果、日本の大手企業が巨大化し、資本を蓄積し、多国籍企業化しました。その社会構造の改悪のなかで多くの国民は無権利、低所得、貧困層への没落を強要されてきました。これが、今日の日本経済の桎梏、社会問題の根底にある大きな問題です。
政治不信と、政治倫理の喪失、独裁政治の出現と暴走は一体のものだと認識すべきです。
<琉球新報社説>軍港移設受け入れ 松本市長は信を問うべきだ
沖縄社会にとって、米軍基地の新たな負担を受け入れるか否かは極めて重大な問題だ。名護市辺野古への新基地建設問題が沖縄の尊厳を懸けた重大局面を迎える中、選挙公約が一層重みを増している。
有権者にとって、首長選挙の重大な判断材料となる基地受け入れノーの公約を覆すのなら、残された道は一つしかあるまい。選挙で市民に信を問うことだ。
松本哲治浦添市長は米陸軍の那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添市移設計画を受け入れることを正式に表明した。
2013年2月の市長選の公約で松本氏は「受け入れ反対、移設なき返還を求める」と述べ、移設反対の立場を鮮明にしていた。
会見で松本市長は「浦添市の持続的発展のため、受忍すべきと決断した」と強調した。公約違反との指摘に対し、「公約は一度掲げたら最後までどんな状況の変化があっても変えてはいけないものではない」と釈明している。
市民への説明を尽くすとして、松本氏は辞職しない構えだ。
政治家にとって公約は命に等しい。軍港受け入れ反対は、党派的基盤を持っていなかった松本氏が他の2候補との対立軸とし、初当選を果たす原動力になった政策だ。
普天間飛行場の代わりの新基地建設をめぐり、自民党の県選出国会議員5氏、当時の仲井真弘多知事が「県外移設」を破棄して、県内移設推進に転換した。重大な公約違反として県民の怒りをかき立てたことは記憶に新しい。
昨年秋以降の県知事選、衆院選の沖縄4選挙区で公約違反の批判を浴びた候補者は全敗の憂き目に遭った。
松本氏は市長選の際、普天間飛行場の県外移設を主張したが、それも13年12月に覆した。2度目の公約違反は市民だけでなく、県民の政治不信を招く可能性さえある。
浦添市は西海岸開発の市独自案を国、県、那覇市に提案し、浦添移設を前提とした日米特別行動委員会(SACO)合意を踏まえ、軍港移設予定地の変更を求める方針だ。
1974年に那覇軍港返還が決まってから41年がたつ。米軍が2003年から寄港数を発表しないのは遊休化している証左だ。移設なき返還こそが県益、那覇、浦添の市益にかなうのではないか。
翁長雄志知事、城間幹子那覇市長は松本市長と協議し、軍港移設の必要性を根本から議論すべきだ。