<中央日報コラム>
15日、香港市内のショッピングモールのシティウォーク。朝から200人ほどが集まり大型スクリーンでワールドカップ中継を見ていた。日本とコートジボワールの試合だった。香港や中国の試合でもないのに結構な熱気を帯びていた。雰囲気は100%に近い一方的応援だった。コートジボワールが得点チャンスを得るたびに歓声が起きた。代表攻撃手のドログバがボールを持って走れば満場の拍手が起こった。コートジボワールのゴールが決まると席から立ち上がり両手を上げて喜ぶ人たちも多かった。結果はコートジボワールが2対1で逆転勝ち。香港人はさっぱりした表情で散っていった。他国同士の試合を一生懸命に応援し見守る姿、珍風景だった。
コートジボワールが正確にどこにある国なのか知っている人がその場にどれだけいただろうか。英語圏での名称のアイボリーコーストと呼んできたところと同じ国なのか知っている人たちもそれほど多くなかっただろう。中国人が特に好きな象牙の主要供給地だったということ以外はアフリカ西部のこの国と香港または中国の間にこれといった縁があるものでもない。
冷静に考えれば日本がワールドカップベスト16進出、またはそれ以上の成績を上げることは香港や中国にとって悪いことではない。似たような身体条件のアジア人も十分にサッカーをうまくやれるということを確認する機会になり、長期的にはアジアに配分された4.5枚の本戦チケット(欧州は13枚)を増やすのにつながるかも知れない。
香港人に「なぜコートジボワールを応援するのか」と尋ねると表情が一瞬固まり、「日本人か」と聞き返した。「韓国人だ」と言ったところ表情を緩め、「私たちは日本が好きでない」と短く答えた。日本は1941年12月の真珠湾攻撃と同時に英国が支配中の香港も侵略し45年の敗戦時まで占領した。香港人は軍事施設建設に強制的に動員された。香港市内には日本軍“慰安所”の痕跡がいまでも残っている。最近では中国と日本の尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権紛争で香港でも日本製品不買運動が起きた。ある香港在住韓国人は「こちらの反日感情は韓国に勝るとも劣らない」と話した。
香港人の間で私は静かに日本を応援した。日本サッカーの技術的発展の成果を見たかった。このところ遅々として進まない韓国サッカーに刺激になるだろうとの期待もあった。しかし韓国・香港で、ひいてはアジア圏では“身辺安全”のためこうした気持ちをむやみに示すことはできない。日本政府の河野談話(慰安婦強制動員認定)無力化の試みでこれはさらに危険なことになった。サッカーをサッカーとして見ることができない隣国の事情を知ってか知らずか、日本はきょうも逆走中だ。
イ・サンオン社会部門記者(中央SUNDAY第380号)