自民党政権による混合診療の解禁の意味は、皆保険制度は破壊することにあることは確実です。貧乏人は医者にはかかるなと言う政策を取ろうとしています。生活保護者が健康保険証を取りあげられ、医療機関受診率が異常に低くなっていることを見れば、あきらかです。
<日刊ゲンダイ>安倍政権がPR 「混合診療で患者負担が減る」はデタラメ
本質をウヤムヤにして議論を進めることにかけては天才的というほかない。安倍首相は10日、医療保険が使える保険診療と使えない自由診療を組み合わせる「混合診療」を拡充する方針を打ち出した。
新制度は「患者申出療養制度」。患者が希望する治療に医師が同意して、混合診療の実施を国に申請すれば、2~6週間で、治療が受けられるようになる。初めての混合診療は、全国の中核病院15カ所に限られるが、リスクの低い治療法は、それ以外の医療機関でも実施可能で、医師の同意さえあれば、幅広い治療法が混合診療の対象になりうる。
一部でも保険が使える治療法なら、確かに全額自由診療より自己負担は安くなる。制度の名前からして“患者目線”をPRしているのは明らかだが、医薬情報研究所「エス・アイ・シー」の情報部門責任者・堀美智子氏が言う。
現状の高度先進医療を拡充すべき
「安倍政権の説明を聞くと、混合診療は認められていないように思えますが、現行制度でも94種類の高度先進医療に限って認められています。将来的な患者負担を考えた場合、混合診療を拡大するより、高度先進医療を拡充する方が安くなるのです。なぜかというと、高度先進医療は、治療効果やデータが蓄積され、安全性が十分証明されると保険診療に切り替わることが多いのです」
たとえば、100万円の自由診療と100万円の保険診療のがん治療を受けるとして、3割負担のサラリーマンの自己負担額を考えてみよう。
保険診療部分は100万×3割で30万円。だが、高額療養費制度を加味すると、最終的な負担額は8万円程度で済む。混合診療の場合は、自由診療部分は永遠にそのままだから、合計は108万円となる。
しかし、高度先進医療ならば、当初は混合診療と同じ金額だとしても、自由診療部分に保険が認められると、将来的な負担はグンと軽くなる。もともとの保険部分と合わせた200万円すべてが保険適応になり、高額療養費制度がダブルで利くため、総額は8万円で済む。実に自己負担額は100万円も違う。
安倍首相が高度先進医療の拡充を無視して、混合医療の拡大に集約しようとしたのは、こんなカラクリがあるからだ。そして混合診療の拡大とともに広がる自由診療の保険市場を狙うのが、米系保険会社。安倍首相に患者目線なんて、どこにもない。