外国軍隊の基地が、これほど大きな比率を占める主権国家も稀有ではないかと思います。日本政府、安倍、自民党政権がアメリカ政府、アメリカ軍の目下であるかを示す点でも典型的な地域です。政府の重要な任務として主権の確保、自国民の安全、安心ですが、この沖縄県民はそのすべてにおいて、保障されることなく蹂躙され続けてきました。この点でも自民党政権、政治の犠牲者としての特別の地域といわざるを得ません。戦争の抑止力論が唱えられ、その対象として沖縄海兵隊の存在が、合法化されてきました。すべての犠牲は沖縄県民にかぶせました。
過去の歴史は植民地をもつ軍事国家が、植民地住民の犠牲の上に自らの繁栄、生活レベルの維持を行いました。しかし、その他国人民を犠牲にした、反映は、ほとんど清算される歴史的審判に遭遇しています。イギリスが大英帝国時代に海外の植民地を政治経済的に支配し、本国の経済的な利益を追求しました。それらの略奪を軍事的に確保し続けるために自国政治経済力以上の軍備を保持することで国家財政の疲弊に遭遇し、国力の低下と没落に見舞われました。スペイン、イギリス、そして、アメリカ合衆国もその例外とはなりえず、国力の消耗、疲弊に見舞われることは歴史の必定です。
自国の領土を他国軍事力によって守ることはありえず、駐留軍がそのようなことを使命として自覚するなどはありません。また、平和、地域の環境を守るために、アメリカ海兵隊が行動するなどはあるはずがありません。米軍組織が最大使命とする他国侵略、戦闘行為、軍事支配、威圧のための軍事演習、軍事力は、平時においても戦闘状態(非常に異常な精神状態、戦時殺人行為など)を維持するために、平時における犯罪は免罪することを引き換えに容認しています(そうしない限り機能が維持できない)。その被害をすべて基地周辺、住民に強要します。沖縄が念願とする基地被害絶滅は米軍の撤退、米軍基地の撤去なくして実現は絶対に出来ません。
<琉球新報社説:平和と環境を次世代へ>人間の安全こそ最優先に2014年1月1日
新年を迎えた。年の瀬に「知事、辺野古埋め立て承認」の衝撃的な決断に直面し、心を痛めて正月を迎えた県民も多かろう。だが、県民世論調査で米軍普天間飛行場の閉鎖・撤去、県外・国外移設を望む民意が強いことも明確になった。
わたしたちは「命どぅ宝」の心、豊かな自然など先達が残した有形無形の遺産に支えられ「生かされている」との謙虚さを大切にしたい。来年の戦後70年も見据え、あらためて持続可能な平和と環境、経済を次世代に引き継ぐ覚悟、責任をかみしめよう。
<不平等の構造化>
普天間飛行場返還問題をめぐる自民党県連と国会議員、仲井真弘多知事の「県外移設」公約の事実上の撤回で混乱が続くだろう。だが県民は悲観も楽観もすることはない。「危険なオスプレイを飛ばすな」「民意は辺野古移設ノー」との主張には民主的手続きを踏んだ正当性がある。「沖縄に民主主義を適用せよ」との訴えも正論だ。
沖縄とこの国の未来のために、三つの「原点」を見詰め直したい。
一つは、1972年の日本復帰だ。米軍統治下で人権を蹂躙(じゅうりん)されてきた沖縄住民は「平和憲法」に救いを求めた。しかし、今なお過密な米軍基地が事件・事故、爆音、米兵犯罪の温床になっている。法の下の不平等が構造化している。もはや我慢の限界だ。米識者から駐留の軍事的合理性に疑義が出ている在沖米海兵隊の全面撤退を真剣に検討し、不平等と日米関係そのものを劇的に改善するときだ。
二つ目は、昨年始動した「沖縄21世紀ビジョン基本計画」だ。知事は年末に首相が示した基地負担軽減策を評価し「沖縄の基地問題は日本全体の安全保障に寄与している」と述べた。首相を激励し、自らを政権の「応援団」とも言い放った。普天間飛行場の5年以内運用停止が口約束であり、オスプレイの配備中止要請に全く言及がないなど、核心部分で実質「ゼロ回答」だったにもかかわらずだ。
21世紀ビジョンの基軸的な考えは、「潤いと活力をもたらす沖縄らしい優しい社会の構築」「日本と世界の架け橋となる強くしなやかな自立的経済の構築」の二つだ。会談での知事の「安保に寄与」発言には、沖縄の文化力や経済力、市民交流などソフトパワーで日本と世界の懸け橋になるとの発想がすっぽり抜け落ちている。沖縄の夢が詰め込まれた21世紀ビジョンを後退させてはならない。
三つ目は、戦後日本の原点だ。「戦争放棄」をうたった日本国憲法の下で平和国家、民主国家として歩み、戦後一度も戦争をしなかったことは世界に誇れることだ。
<ソフトパワー>
ところが、安倍政権は「積極的平和主義」を掲げ、集団的自衛権の行使容認や武器輸出三原則緩和、自衛隊増強など、軍事拡大路線をひた走っている。軍事力を過信せず、非軍事的な国力を駆使し、戦略的互恵関係の構築により安全を実現するのが、平和国家のあるべき姿だ。国民は戦争をする軍事国家への回帰など望んでいない。
「人間の安全保障」の提唱者の一人で、ノーベル経済学賞受賞者のアマルティア・セン氏は「テロや大量虐殺と戦うことは大切だが、私たちは人間の安全を脅かすものが、暴力だけでなく、さまざまなかたちで現れることにも気づかなければならない」と指摘する。これは、人々や社会の安全を脅かす貧困、抑圧、差別などの社会的不正義を「構造的暴力」と定義し、その解消を「積極的平和」と位置づける平和学の概念とも通底する。
首相は軍事偏重の「積極的平和主義」ではなく「積極的平和」こそ追求し、沖縄で普天間撤去などを通じ構造的暴力を解消すべきだ。
わたしたちは、琉球王国時代の万国津梁の精神に倣い多国間の懸け橋となりたい。沖縄は東アジアの緊張を沈静化し、「軍事の要石」から「平和の要石」へ転換する構想を描くべきだろう。沖縄の尊厳と安全を守るために、ソフトパワーに磨きをかけていこう。