そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

学校III

2008年10月04日 | 人間/社会派ドラマ


1998年 日本 133分
■2008.9.25 DVD
■監督 山田洋次
■出演
   大竹しのぶ(小島紗和子)  黒田勇樹(富美男)
   小林稔侍(高野周吉)  ケーシー高峰(鬼塚健)
   笹野高史(金栄洙)  寺田農(斉藤先生)
   余貴美子(倉本節)  吉岡秀隆(山本)
   田中邦衛(井上幸男)  さだまさし(北)
   秋野陽子(高野藤子)  
   中村メイコ(紗和子の伯母)
   小林克也 (村上)

 《story》

「私 45才、生徒です。」

小島紗和子は、10年前に夫を亡くし、自閉症の息子富美男と二人暮らしだった。自立を求めて、富美男は夕刊の配達を自転車でしていた。紗和子は、長年勤めていた会社をリストラされ、再就職するため職業訓練校に通い、資格を取ることにした。新入生は、50才から定年間近の似たような年齢の人ばかり。女は紗和子一人だった。高野は、自分がリストラされたことが信じられず、つてをたどればすぐにでも再就職できると思い、なかなかみんなとなじめずにいた。掃除当番もしないまま帰ろうとしていたとき、紗和子が代わりにやっていた。高野が、紗和子が忘れていった教科書を休日に家に届けに行ったことから、高野も現実を見つけ、学習に励むようになる。そして、高野と紗佐子はお互いに惹かれあうようになる。しかし、お互いが抱える課題がのしかかってくる。富美男の交通事故、高野の妻の自殺未遂、そして紗佐子の乳ガン。彼女の手術の日、彼女を励ますために、クラスの仲間が集まる。その中には高野姿もあった。

 今の自分にできるだろうか

もし今の仕事をやめることになったとして、どんな新しい仕事につくことができるだろうか。力仕事はもちろんだめ。小さい頃からの夢、バスの運転手。資格を得るまでに何年もかかる。コンピューター関連、追いつかない。ガードマン、警備員・・・できるかな。ボイラーの資格を得て、みんなと同じように働くことができるだろうか。体がいつも疲れ、精神的にも安定していないというのに、がんばって新しい分野の勉強なんてできない。
子どものため・・・紗和子のように、支えなければならない家族がいれば必死になることだろうなあ。高野のように新しい出会いに夢ふくらませられたら・・・なんて本当は動機が不純かもしれない。ただ自分が生きるためなら必死にはなれない。だれかのために、その人も自分をたよってくれるからこそ、本気になれる。それが、ここではクラスの仲間なのかもしれない。富美男はこれからどうやっていきていくのだろうか。病院の看護士は理解しようと努力を見せたが、自分を含め多くの人は敬遠してしまう。彼がいるから問題が起こると疎んじることだろう。日頃から、障害を持った人と接する経験が少なすぎる。当たり前のように職場や地域で触れあう、交流する社会でなければいけないのではないか。学校は建物の中だけでない。それは「学校Ⅳ」に受け継がれていく。


おくりびと

2008年10月04日 | 人間/社会派ドラマ


2008年 日本 130分
2008.9.22 TOHOシネマズ緑井 with y
■監督 滝田洋二郎
■出演
   本木雅弘(小林大悟)  広末涼子(小林美香)
   山崎努(佐々木生栄)  余貴美子(上村百合子)
   吉行和子(山下ツヤ子)  笹野高史(平田正吉)
   杉本哲太

 《story》

「キレイになって、逝ってらっしゃい」
「見つけた仕事は、納棺師。
   人生最高の旅立ちのお手伝い致します。」


楽団を首になった大悟は、チェロを売り払い、妻とともに田舎にもどる。職探しの広告を見ていると、「旅のお手伝い」とあり、その会社に出向く。その広告は誤植で、「安らかな旅立ちのお手伝い」だった。実際の仕事は、遺体を棺に納める仕事だった。妻の美香には、冠婚葬祭の仕事だと話し、大悟は仕方なくその仕事を続ける。女性だと思ったら若い男だっり、子どもを残して死んだ母親、一人暮らしのおばあさんなど、納棺の見習いを続け、お別れの場面を見ていくうちに、その仕事の大事さに気づいていく。ある日、妻の美香が大悟の仕事を知り、やめないなら実家に帰ると言って出ていく。それでも大悟は、その仕事の尊大さに引き込まれ、妻を迎えに行かれないでいた。美香が、子どもができたと言ってもどってきた。その日、親しくしていた銭湯のおばちゃんが亡くなった。大悟に連れられ、美香も納棺の場面に立ち会う。美香は大悟の仕事の素晴らしさに気づく。大悟の生き別れの父親が死んだという知らせが届く。はじめは反発していた大悟は、美香と死んだ父のもとに向かう。

 知られていない仕事

こうして見ると目立たないけど大事な仕事なんだなあと思う。多くの人が忌み嫌うことだけど、だれかがやらなくてはならないし、本当は嫌ってはいけない大事なことなんだと思った。チェロの音色と重なって、心の奥底を流れる清らかな調べが、気持ちを落ち着かせ、温かくやさしい心で満たしてくれる。きっと妻の美香もわかってくれる。それが大悟のハッピーエンド。そう確信の持てるストーリー。
しかしながら、「死」というのは年を重ねた今もなかなかすとんと自分の心には落ち着かない。人が死ぬ場面では、その場にはおれない。顔を伏せてしまう。逃げ出したくなってしまう。葬式なんてできればいきたくない。遺体なんてみたくない。自分がだれかの葬儀を行うくらいなら、自分が先に死んでもいい。それくらい弱い心で、小さく縮こまってしまう。だれも死んでほしくないし、誰かを送り出す場にいたくない。

 公式サイト「おくりびと」