■2006年 日本 117分
■2006.10.6 バルト11
2007.8.24 wowow
2008.10.19 DVD with t
■監督 長澤雅彦
■出演
多部未華子(甲田貴子) 石田卓也(西脇融)
郭智博(戸田忍) 西原亜希(遊佐美和子)
貫地谷しほり(後藤梨香) 松田まどか(梶谷千秋)
柄本佑(高見光一郎) 高部あい(内堀亮子)
加藤ローサ(榊杏奈) 池松壮亮(榊順弥)
近野成美(さくら) 嶋田久作(教師-藤巻)
田山涼成(校長先生) 南果歩(貴子の母)
《story》
「特別なこの日なら、2人の関係をきっと変えられる」
「だれでも映画を観ている間は18歳にもどれます」
「みんなで夜歩く。ただそれだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう」
岐阜県の高校の「歩行祭」は、60kmをみんなで歩き、残り20kmを自由に歩く。合計80kmを朝から、次の日の朝まで24時間で歩く学校行事だ。
貴子は3年生で、最後の歩行祭。密かに賭をしていた。一度も話したことのない同じクラスの西脇融と話をすること。そこには親友の美和子や杏奈にも言えない秘密があった。貴子と融は異母兄姉だったのだ。転校した杏奈は「おまじないをかけた」という手紙をよこした。それはどういう意味なのか。深夜を過ぎ、60km地点で仮眠をとる。この後は自由歩行だ。貴子の夢はかなうのか。
◎まるで自分も歩いているような、気持ちのいい汗をかいているような、そんな雰囲気に飲まれていった。自分も歩いてみたくなった。何の意味もない80kmの道と時間が、実はとっても大きな心の輝きを作っていた。みんなで歩くことにこそ意味があった。ひとりで歩いたってしんどいだけ。いろんな話ができて、声がかかって、ひとりひとりのイベントがある。
私はできるだけ、ストーリーをあまり知らないで映画を見る。ラブストーリーだと思っていたら、二人は異母兄姉だなんて。避けあって当然かもしれないのに、あまりに意識しすぎて、いたたまれなくて、ただ普通の会話することが夢だなんて。押しつけでもなく、自然な成り行きを演出した杏奈ってすばらしい人かもしれない。
夜、ただ歩くこと。そういえば私にもそんな想い出がある。長い距離を歩いたわけではないが、夜歩くことって、何か不思議な力がそこにある。青春時代だけ感じる何かがそこにある。今は、それができないから感じなくなったのかも。今も、みんなで歩いたら何か感じるかな。
2007.8.24 wowow
ただ歩くだけなのに、どうして特別なんだろう
wowowで録画して、すぐに見た。それほど騒がれた映画でもなく、ヒットしたわけでもない。でも、私にとってどうしてこんなに特別なんだろうと不思議に思う。昨年の夏、予告編を見てこれはどうしても見たいと思った。それがバルト11だった。それ以外では上映していなかった。夜、レイトショーで見て、映画館を出たときの懐かしい香りが今でも忘れられない。ああ、いい映画を見たなあっていう満足した気持ちと、かつて自分の青春時代に仲間と夜騒いだことが重なった。楽しかった思い出がよみがえる。夜、みんなで歩く、というのは、若いときしかできないことで、よる多少の迷惑は省みないで夜好き勝手することも、若いからできること。これらが見事に重なった。恩田陸さんの作品を探して読んだ。これは外れだった。多部未華子という女優を意識し始めた。あまり演技がうまいとは思えない。でも、がんばれと応援したくなった。この映画は何度も見たくなる映画だ。
2008.10.19 DVD with t
あれから二人はどうなったろう
子どもの高校で、夏休みの宿題で出たおすすめ読書の中に、この「夜のピクニック」があった。息子は、私の本棚から、この本を出して読んだ。感想文、原稿用紙4~5枚だそうだ。どんなことを書いたのか、見ていないのでわからない。映画でも見てみようということで、息子と見た。お互いを意識しながら、会話できない二人。歩行祭の終わりには笑いあって会話できるようになった。ゴールしたあと、次の日、それから何日かたって、どんな会話をするのだろう。今、「会話」というものに悩まされている私は、気になって仕方ない。次の日に、あれは夢だったんじゃないかと、二人は今までの二人にもどっていて、話しづらくなっていることはないのだろうか。二人のことが、クラスの話題になってしまって、顔を合わせづらくなってしまったということは起こらないのだろうか。大人になって、どちらが兄で姉なのかわからないけど、きょうだいとして合って会話できるのだろうか。二人は、ゴールしたのではなく、スタートラインに立っただけなのだ。けんかもできる、はぶてることもできる、あまえることもできる、相談し合ったり、泣き合ったり、いがみ合ったり・・・それができるようになったということが、二人にとって幸せなことなんだろう。そんな感情の絡み合いを怖がって、出会わなければよかったと思ってしまうことは、何よりも悲しいことであり、つらいことなんだと思う。
公式サイト「夜のピクニック」
■2008年 日本 128分
■2008.10.18 TOHOシネマズ緑井
■監督 西谷弘
■出演
福山雅治(湯川学) 柴咲コウ(内海薫)
北村一輝(草薙俊平) 松雪泰子(花岡靖子)
堤真一(石神哲哉) ダンカン(工藤邦明)
長塚圭史(富樫慎二) 金澤美穂(花岡美里)
益岡徹(葛城修二郎) 林泰文(柿本純一)
渡辺いっけい(栗林宏美) 品川祐(弓削志郎)
真矢みき(城ノ内桜子)
《story》
「その謎を、愛そう」
花岡母娘は、離婚した夫から逃れ、落ち着いた生活をしていたのだが、そこにその元夫が現れる。金を無心し暴力をふるう。母娘は、こたつのコードで、その元夫を殺してしまう。隣の部屋に住んでいる石神は、その死体処理に手を貸す。河原で発見された死体は、顔や手が焼かれ、身元が分からなかった。しかし、乗り捨てられた自転車などから身元が判明。花岡親子の元に刑事がやってくるが、母娘は事件当日は映画に行っておりアリバイが成立。薫は湯川博士に捜査を依頼する。津川博士と石神は、大学時代の友人で、石神は「数学の天才」と言われていた。湯川博士は、この事件には石神がからんでいると、この事件に挑む。
何も知らないで見るのがいいかも
東野作品はけっこう読んでいるが、ガリレオ関係の本はまだ一度も読んでいない。テレビ番組の「ガリレオ」も見ていなかった。けれどもこれはおもしろそうだという予感があった。映画を見る前に、ヤフーの映画総合評価やレビューを参考にする。おもしろそうと思っても、あまりに評価が低いとためらってしまう。でも、意図的に下げられていることもある。いい評価をしているレビューを参考に。映画館ではどんどん引き込まれていく。映画は冒頭のシーンで80%決まる。最初の20分がおもしろくなければ、ビデオだったら見るのをやめてしまう。映画館だと、最初がおもしろくなくても最後まで見てしまう。あとからおもしろくなることもある。
堤真一の石神がいいなあと思った。クライマーズ・ハイとちがって、陰気な役だけど、徹底して入り込んでいることがよくわかる。ただ、やっぱり強い彼の印象はぬぐえない。ガリレオと並んだ場面では、かつて悪いことをいっぱいした学生時代の仲間という雰囲気だ。それでも、彼でなければいけないような気になるから、徹底ぶりが雰囲気を滲みだしているのだろう。ガリレオや薫よりも、石神が主人公。だからこそ、題も「ガリレオ」ではなかった。「献身」という言葉の重みが、見終わって伝わってくる。
「忘れる」・・・さっき読んだ本の主人公の名前は何だっけ。あの場所はどこだけっけ。あの名前は何て言うのだっけ。話をするのに、大事なキーワードをすべて忘れてしまう。そして、ただ、あの本はおもしろかったよ、で終わってしまう。その本の内容を語り合うことができない。映画だって同じ。監督は誰だっけ、あの感動的なセリフ、思い出せない。無口になる原因はそこにもある。こうして記録に留めていても、監督も出演者も、名ぜりふも、何も語れない。記憶にない。好きな映画を語り合うことができない。具体的な単語が出てこないのだから。「アレ」で終わり。
公式サイト「容疑者Xの献身」