■2007年 日本 120分
■2007.7.1 サロンシネマ2 with r,t
■監督 大林宣彦
■出演
蓮佛美沙子(斉藤一美) 森田直幸(斉藤一夫)
清水美砂(斉藤直子-一夫の母)
厚木拓郎(山本弘-一美のボーイフレンド)
寺島咲(吉野アケミ-一夫のガールフレンド)
石田ひかり(大野光子-先生)
田口トモロヲ(斉藤孝造-一美の父)
窪塚俊介(斉藤孝一-一美の兄)
関戸優希(金子正枝-一美の友人)
高木古都(佐々井山香-一美の友人)
古手川祐子(斉藤千恵-一美の母) 長門裕之
高橋かおり 小林桂樹 犬塚弘
《story》
「おかしく切ない、青春“逆転”ファンタジー」
「おれが生きたらおまえは死ぬの?」
両親の離婚を期に、母と二人で尾道から信州に引っ越してきた。ここは一夫にとっては幼少の頃暮らしていたところ。転校初日、クラスで紹介されたあと、「一夫ちゃん」と呼ぶ声。幼なじみの一美だった。さっそく一美は一夫を連れて家に帰る。一美の家は蕎麦屋で、裏のさびしらの水を取り入れおいしい蕎麦造りに励んでいた。一美は一夫を連れてさびしの水場に行く。杓で水を飲もうとした瞬間、二人は水の中に落ちてしまう。ふらふらのままお互いに家に帰ったが、二人の心と体が入れ替わっていた。一美の心をもった一夫と一夫の心をもった一美。二人は戸惑いながらも、それぞれの家でそれぞれの生活を送る。あるとき、一美は身体の異変のため病院に入院する。そして不治の病であると言われる。一美のボーイフレンドの弘と一夫のガールフレンドのアケミを交え、一美の外が見たいという希望をかなえるために行動を起こす。一夫は一美の身体のまま死んでしまうのか。
前回よりおもしろかった
でも、前の方がよかったと言った。前回のもかなり前に見たけど、いつものことだけどあまり覚えていない。蓮沸さんがよかったのかもしれないな。ちょっと彼女に関心あり。けど、大林監督って、どうしてこんなところにこだわるのって思う場面がある。一美のセクシーな姿はいいけど、あまりにこだわりすぎって感じもする。どうにかして蓮沸さんを脱がしたかったのかもって思ってしまう。「あした」もそうだった。着替えのシーンなどそこまで撮る必要があるのかと思ってしまった。全体のイメージに合わない。身体が入れ替わった不思議さは確かにある。でも、今回は入れ替わったまま死んでもいいか、という思いにもう少し焦点をあててほしかった。そこが前回とちがうところだと思ったから。偶然に元に戻るのではなく、一美の一夫が自分死ぬべきなんだと、もう一度あの水に意識的に落ちるとなると感動もふくらむんではないだろうか。
公式サイト「転校生 -さよなら あなた-」
『ありがとう大五郎』 大谷淳子 大谷英之 新潮文庫 【BOOK】2007.7.1
以前から、書店で気になっていた文庫本だった。この本を買って読もうと決めたのは、「感動する文庫」で検索したら上がってきたからだ。今回は生協で注文、5%引き。本来は、図書館で借りたり、中古本を求めたりする方が安上がりなんだけど、読んだ本は自分の本棚に並べたいという気持ちが強い。忘れやすい質なので目に見えるといころに残して置きたいのだ。だから文庫本だ。
感動はこの家族の生き方にある。奇形の猿であろうが何であろうが、大切だと決めたら全エネルギーをつぎ込む。気持ちの中ではさまざまな葛藤はある。でも、その葛藤から逃げ出さす真正面からぶつかっていくところが憧れる。「憧れる」と言ったらおかしいかもしれない。「すごい」では軽すぎる。人のために何かをしたいという気持ちはあるけど、どうしても自分が前に出てきて、その自分を追い越すことができない。でも、大谷さんはそれを実践している。
大五郎が精一杯生きようとしている姿は、くじけそうな私に励ましのエールを送ってくれた。身体じゃない心(気持ち)だよと。その気持ちが難しい。ただ1点。「生きる」ことに傾けたい気持ち。
人間と同じ食べ物を食べて起こる奇形。中国の輸入食品の危険性が叫ばれている。これまでも、食べ物は中身ではなく外形にこだわる私たちのために、中身に何が使われているかわからない不安は言われてきた。本当は中身なんだよね。でも、店頭に並ぶ姿から選ぶとしたら、どうしても外見になってしまう。それは「作る現場、育てる現場」を知らないからなんだと思う。育てる経験、育てている人が身近にいなくなってしまっているのだと思う。
人間としての生き方、気持ちの大切さ、そして生(食)への警鐘をひしひしと感じる。