■2003年 韓国 106分
■原題「A MAN WHO WENT TO MARS」
■2008.10.13 DVD
■監督 キム・ジョングォン
■出演
シン・ハギュン(スンジェ) キム・ヒソン(ソヒ)
パク・ソヒョン(ソンミ=薬局)
キム・イングォン(イ・ホゴル=スンジェの弟) 《story》
「この地球に咲いた、一番きれいな恋でした」
ダムの底に沈む町。少女ソヒの父親は、「火星に行く」と言って亡くなった。 ソヒはそのことを信じて手紙を書き、ポストに投函した。スンジュは、ポストからその手紙を取り出し、返事を出す。少女ソヒとスンジュの奇妙な手紙のやりとりは続く。しかし、ある時、ソヒはソウルに引っ越すことになる。いつしか手紙は途絶える。17年後、大人になったスンジュは町の郵便配達の仕事についていた。久しぶりに故郷に戻ってきたソヒを向かえるスンジュ。彼の想いは純粋で一途だった。しかし、ソヒは都会の景色に染まり、都会に戻って行った。そして愛する人を見つけるのだが・・・。故郷から大事な物を届けにやってきたスンジュを冷たく帰してしまう。沈む村から出ようとするスンジュ。かつて幼い日々、ソヒと過ごした河辺。引かれるように川に入る。その川底には、ソヒがなくした靴。 都会は人を変えるのか
田舎の人間は誰もが純粋だとは言えない。でも、コンクリートに囲まれた殺風景であったり、極端に派手で、虚ろだったり、都会はそれでなくても心が縮こまってしまいそうな雰囲気がある。自然の中で、緑豊で、水のせせらぎ、見ようと意識しなくてもふっと空を見てしまう。大地と空と緑と、自分もその仲間のような気がしてうれしくなる。そんな世界から自然の少ない都会に行くと、心が小さくなって、自分さえよければという気持ちになってしまう。子どもが福岡から関東に行ってしまって、ついつい荒んだ生活を想像してしまった。私の広島も都会だけど、私の家は山に囲まれた自然が身近に感じられるところだ。
ラストはスンジュとソヒが結ばれるハッピーエンドであってほしかった気がする。ソヒの心の中で本当の愛とは何かがわかってくる。後ろ向きになろうとしていたソンジュに差し出されるソヒの手・・・。でも、ソンジュがつかんだのは、昔亡くしたソヒの靴。ソンジュはいつまでも過去に縛られ、新しい世界には飛び出せない。川の底に沈んでいく。
後ろ向きになる。前向きになれない歪んだ世界。ソンジュの純粋さの裏には何があるのか。鈍感さか。それとも忍耐か。無垢な心とは、傷つくことを知らない心。一旦、その心が傷ついたら、なかなか立ち直れない。だから、傷つく前に後ずさりする。でも、結局、後ずさりしても、距離は離れるだけで、だれも手を差し伸べてはくれない。そのまま危うい場所にどんどん下がっていく。そして、いつも一人。ソンジュは、何をつかんだのだろうか。
■2003年 韓国 114分
■原題「My Tutor Friend」
■2006.7.22 wowow 2008.10.11 DVD
■監督 キム・ギョンヒョン
■出演
クォン・サンウ(キム・ジフン)
キム・ハヌル(チェ・スワン)
コン・ユ(ジョンス) キム・ジウ (ホギョン) 《story》
女子大生のスワンは短気でおっちょこちょいで、家庭教師のアルバイトが長続きしない。母の紹介で、今度すぐにやめたら許さないと言われ、覚悟を決めて再び家庭教師のバイトに出かける。今回は金持ちの息子で、バストイレ付きの豪華な自分の部屋を持った高校生だった。彼の名はジフン。2年間の留年があるため、スワンと同級生だった。ジフンはわがままで、暴力的で、勉強しようとしなかった。しかし、お金だけが目的でなく、なんとか勉強させようとするスワンに、ジフンは次第に好感を持ち始める。あるとき、ジフンは暴力事件を起こし、父親から留学させられそうになる。そしてカードも取り上げられそうになる。そこで必死に勉強して平均50点を目指すのだが・・・。コメディだけど、ただ笑わせるだけでなく、心にしみるような場面もある。それが韓国映画の良さかもしれない。ひと味ちがった彼女に、ひと味ちがった彼が出会う。だからこそ、お互いに惹かれ合う。わかっていても、おもしろい。同じパターンの最後はハッピーエンドだとわかっていても、素直にうれしくなってしまう。もし、これが最後が別れの場面だったら、きっと楽しくならないだろう。あんな暴力は実際にはありえないけど、最後はスワンが強敵を倒して二人が結ばれるという落ちがなんとも愉快だ。
2008.10.11 with r
ちょっとものたらないかな
見たいと言うことで見たけど、本当はあまりおすすめではなかった。たぶん、クォン・サンウが出ているだけで選んだのだと思う。前回は4つ星だけど、今回2度めは3つ星かな。もう見たくないな。前回思った切なくなる場面ってどこだっけ。
家庭教師は3度やったことがある。1度目は小学6年生の女の子だった。初めて教えるということをやった。結局何の計画性もない、今と同じ中途半端な感じがする。教え切ったという満足感はない。問題を解くのを手伝った感じだ。もう一人は中学生だ。この子も同じ。漢字ができない子だった。下宿まで連れてきて勉強したこともあった。でも、やっぱり今と同じ時間はかけたけど、何の成果も満足感も得られなかった。やってもやっても身にならない学習。やった気がしない学習。山口の光から防府まで通ったこともあった。振り返れば反省だらけ。







■2008年 日本 120分
■2008.10.10 DVD
■監督 古厩智之
■出演
上野樹里(篠宮奈緒子) 三浦春馬(壱岐雄介)
笑福亭鶴瓶(西浦天宣) 佐津川愛美(吉澤結希)
柄本時生(奥田公靖) 綾野剛(黒田晋)
富川一人(宮崎親) タモト清嵐(吉崎悟)
結城洋平(藤本卓治) 五十嵐山人(佐々木黙然)
佐藤タケシ(五島伸幸) 兼子舜(上原高次)
藤本七海(12才の奈緒子) 境大輝(10才の雄介)
奥貫薫(壱岐和子) 嶋尾康史(壱岐健介)
山下容莉枝(篠宮加奈子) 光石研(篠宮隆文)

「君のために、走る」
長崎県波切島。12才の奈緒子は喘息の治療のためにここに来た。波切島に向かう船の上で、島で走る雄介を見る。奈緒子は船から落ちて、その船を操縦している船長の雄介の父に助けられるが、雄介の父は大きな波に飲まれ行方不明になる。雄介の父を奪った奈緒子。葬儀で雄介は奈緒子を罵る。それから6年。高校生になった奈緒子は、陸上の大会で雄介に出会う。もう恨んでないという雄介だったが。駅伝に転向した雄介を見たくて、奈緒子は熊本に行く。そこで偶然水分補給の担当を任され、水の入ったペットボトルを雄介に差し出すが、驚いた雄介はそれを取ることができず、途中で倒れてしまう。二人の時間が止まっていると思った、雄介の陸上の監督西浦は、奈緒子を合宿に呼び、駅伝練習のマネージャーとして向かえる。地獄のような練習。反目し合う仲間。倒れる監督。バラバラのまま駅伝当日を迎える。

駅伝というものが少しわかった。みんなで練習する中で、さまざまな心の葛藤がある。ちょっとした言動に揺れる。早い人間が一人いるだけでは成立しない。お互いを信じ、お互いができるだけの力を引き出す存在でなければいけない。自分ひとりでできるわけがない。走ることのさわやかさから、次に迫る大きな苦しみ、そしてそれを乗り越えたときの感動へと、駅伝の道は進む。
他人を傷つけてしまった苦しみ。奈緒子には、それよりも雄介への憧れの方が大きいと思った。それは走ることへの憧れでもあった。彼に近づきたい。走る雄介を見たい。雄介の父親を死なせてしまったという良心の呵責より、彼と走りたいという夢が、奈緒子を動かしている。よく分からないのは。題が「奈緒子」であること。それは駅伝を見ている奈緒子ということなのだろうか。たとえ走らなくとも、選手の心と寄り添って走っている奈緒子ということか。もしそうならそこには迫っていない。奈緒子を思うのは雄介だけだから違和感を感じてしまう。他の選手は雄介のことしか考えていない。
大きなイベントが終わった。心配した出張も、いまのとことろ無事終了。あとから失敗、ミス、ほころびが見えてくるだろう。今の気持ちからしたら、安心。ずっとそんな気持ちでいたいけど。帰ると不安。荒んでくる。映画を見よう。

■2004年 日本 111分
■2008.9.7 DVD
■監督 篠原哲雄
■出演
竹内結子(翔子/香夏子) 玉山鉄二(健太)
香里奈(由衣) 新井浩文(サトシ)
香川照之(瀧本) 香川京子(幸)
原田芳雄 (ヤマキ) 《story》
「願いはかなう。想いは伝わる。」
「大切な人を失ったあなたと、
大切な人を残してきたあなたへ。」ピアニストの健太は、楽団を解雇され、自暴自棄になっているところをヤマキに天国の本屋に連れて来られた。そこでバイトをするはめになる。子どもの頃憧れていたピアニストの翔子に会う。彼女は片耳が聞こえず、ピアノを弾けないでいた。かつての恋人が花火師で、花火が暴発し片耳が聞こえなくなったのだ。その後、不治の病で入院し死んでしまった。恋人の花火「恋火」を見ることなく、二度と会うこともなかった。恋人のために作曲していた組曲はラストが未完成のままだった。健太は、彼女と一緒に曲を完成させる。一方、健太と同じく生きたまま天国に連れて来られた由衣は、自分のために交通事故で死んだ弟に会うことができた。翔子の姪である香夏子は、叔母である翔子の恋人に、もう一度「恋火」を作ってほしいと頼む。
本当に天国があったらな
もうそんな空想の世界のことを信じなくなってしまった。座敷わらし、幽霊、山の神様、秘められた超能力、異次元の世界、タイムトラベル・・・・・映画の世界では、そんな夢のような話をどんどん実現させてくれるけど、昔ほど「もしかしたら」なんて思わなくなった。そんな不思議な体験をすることができるのではないかと、胸をわくわくさせていた時代が懐かしい。天国・・・そんなものがあったら・・・
心の問題を解決するために、こうして天国の人たちが手助けしてくれたらどんなにすばらしいことだろう。みんな同じ事を思うにちがいないから、天国は大忙し。まるで心を病んだセラピーワールド。でもまあ、あんな落ち着いた自然があふれた世界だったら、現実の世界よりいいかもしれない。好きな本も読めるし。
以前読みかけてやめていた本を最初から読んだ。辻内智貴の「青空のルーレット」「多輝子ちゃん」 うん、一気に読んだ。おもしろかった。生きることがうれしくなっていくような作品だ。人と人とがつながって、夢を追いかけ、お互いに夢を大事にしあい、「生きている」実感がわく。生きるために生きているのではない。夢を追い求める自分を感じたくて生きている。年をとっても夢を持ち続けたい。ただ生活するために毎日を必死で働いているのではない。自分だって夢がある。子どもにも夢がある。その夢を持ち続けていけるように、楽しく生きていこう。よし、映画を見るぞ。
■2006年 韓国 106分
■原題「TRACES OF LOVE」
■2008.9.6 DVD
■監督 キム・デスン
■出演
ユ・ジテ(ヒョヌ) キム・ジス(ミンジュ=恋人)
オム・ジウォン(セジン=喫茶店のウエイトレス)
チェ・ジョンウォン(ミンジュの父親) 《story》
「海に浮かぶ砂丘 谷を染める紅葉
命を呼び覚ます雨音 秘密を運んでくる風
すべて
あなたに見せたいわたしの宝物だった。」
「10年後-彼女が残した新婚旅行へ。失われた「想い」を捜して」
ミンジュは旅番組のテレビディレクター。司法研修員生のヒョヌからプロポーズされる。ある日、デパートに家具を見に行く約束をするが、ヒョヌの会議が長引き、ミンジュはデパートの地下のコーヒーショップで待ち合わせをすることにした。しかし、突然デパートは崩壊して、ミンジュは帰らぬ人となる。それから10年、ミンジュの父親が突然訪ねて来て、ミンジュの1冊のノートを渡す。そのノートには、ミンジュが夢見た新婚旅行のの計画が綴られていた。ヒョヌは、その計画に沿って旅することを決意。ヒョヌが、ミンジュとの思いに浸りながら歩いていると、行く先々で同じ女性と出会う。声をかけともに行動したとき、その女性が語る言葉がかつてヒョヌがミンジュから聞いた言葉であることに驚く。その女性は、デパートが崩壊したときに地下のコーヒーショップの店員だったのだ。瓦礫の下敷きになり、彼女はミンジュの話で励まされた。そのとき聞いた話があのノートの新婚旅行計画だった。ミンジュは息絶え、彼女は救出されたのだ。 美しい景色、美しい思い出、美しい出会い
ミンジュが意図したとは思えないけど、そうとらえて新しい人生を歩むヒョヌをのぞみたい。そのノートが彼女の思いを伝えると同時に、新しい出会いに導いたのだと思いたい。人生の目標を失っているヒョヌに、自然はこんなに美しく、歩むことはこんなに楽しくて、人を愛し生きてほしいと伝えているのだと。自分のことは思い出の中に、新しい世界を旅してほしい。まだまだすばらしい街、景色、できごとがいっぱいあるはず。そんな前向きに語るノートなんだと。それが彼女の願い事なんだと。
久しぶりに子どもが帰ってきた。仕事の関係でしばらく自宅にいるようだ。元気そうでなにより。映画のことを話せるのがうれしい。1週間に1度映画館に行きたい。そうすることって贅沢なことだろうか。レイトショーで1200円、月4回行ったら4800円。タバコも酒もやらない。少ない小遣いを唯一映画鑑賞に使う。できればだれかと行きたいけど、付き合ってくれる機会も少ない。ストレス解消。しかしながら、最近は、疲れ果ててしまって、外出する気力がなくなってしまった。見たいけど、体がしんどい。昨年より、映画館に行く回数が減った。でも、見たいよね。週末、行きたいよね。
■2005年 日本 113分
■2008.8.16 DVD
■監督 河毛俊作
■出演
柳楽優弥(小川哲夢)
常盤貴子(小川佐緒里=母)
高橋克実(小川耕介=父) 蒼井優(村上絵美)
倍賞美津子(藤沢朝子=祖母) 《story》
「僕は、夢に生きる。」
「彼は、生きました。夢に向かって急ぐように。」
1989年、千葉県の小さな家族動物プロダクション。そこに、母の佐緒里の夢であった象がやってきた。ミッキーと子象のランディだ。象と会話ができると言って哲夢は象たちと仲良くなっていった。そして、象使いになりたいと、タイの北部チェンマイの象学校に一人で留学する。言葉もわからないまま、子象のファーを任されるが、同じ生徒達ともファーともなかなかなじめない日々が続く。しかし逃げ出したファーを見つけたことをきっけに、ファーとも仲間とも打ち解けていく。帰国した哲夢は、ランディーを調教して映画などに出演する。哲夢の夢であった象さんショーも開催する。そしていつか年老いた象が余生を送る楽園を作りたいと夢に描く。その矢先、哲夢は事故を起こし亡くなる。 夢を追うこと
夢を持つことがなくなってしまったり、夢自体が貧弱になってしまいがちな現代。自分の夢を追い求め努力することの素晴らしさを感じる。しかもそれが「象使い」という、普通にはなかなか持たない夢だからなおさら注目もあっただろう。若くして亡くなったことは本当に残念だと思う。彼の特殊な家庭環境から生まれた夢。さらに、タイというこれも特殊な場所での学習、努力も彼を光らせている。しかもあきらめずに修得してもどり、そして日本で次々に夢を叶えていく。
「くさい」といういじめは許せないな。においや見かけやちょっとした違いを元にはじき出す集団を見ると情けなくなる。いろんな人がいていい。暴力といじめだけはいやだ。いじめがかれを外に追い出す。それがタイへの留学につながったことは、やっぱり否定できないと思う。学校に行きたくなくなったのは、もちろん夢を追いかけたいことが一番だけど、魅力のない学校から抜け出したいこともあげられるだろう。
昨日、こわい夢を見た。首を切られる夢だ。まわりの人間が一人ずつ首を切られていく。しかし、後から首がつながれて生き返る。執行人は言う。「100%生き返る。儀式のようなものだ。一度首を切る」・・・つまり一度死ぬ、ということだ。必ず元のように首はつながり生き返るという。みんなやっているという。瞬間、がまんすればいいこと。どうするべきか悩む。必ず生き返るということを信じているが、こわくて決断できないでいる。目が覚めても、どうしようかと思い悩んでしまった。必ず生き返るなら、一度死ぬことができるか。その日の朝の占いは、おみくじは「凶」・・タロットは「死神」が出た。結局何も起こらなかったけど。
■2007年 日本 97分
■2008.8.12 DVD
■監督 市川準
■出演
成海璃子(大島寿梨) 前田敦子(花田日南子)
高岡蒼甫(田村博之) 近藤芳正(古垣賢一)
奥貫薫(日南子の母) 田口トモロヲ(上島浩二)
石原真理子(大島さつき=母)
石原良純(杉谷正=父) 《story》
「大人になった少女たちに、
見てほしい物語があります。」
「一通のメールからはじまる『私』の忘れられないストーリー」
「わたしなんでこんなにがんばっているんだろう」
大島寿梨、学校では仲間外れにされないように、目立たず友達に合わせる。家では家族のために私立受験。しかし、受験に失敗し、公立の中学に入ったものの、父母の折り合いが悪く離婚。兄は父に、寿梨は母に。小学校のときみんなの中心にいたはずの花田日南子は、寿梨が受験で休んでいる間にみんなから外されていた。高校生になり、転校した日南子の情報を聞き、コトリという偽名でメールを送る。それは「ヒナとコトリの物語」日南子が転校した先の高校でハッピーな少女に変わっていくお話。ヒナはその通りに物語が現実になっていく。でも、本当の自分はどれ?寿梨にとっても日南子にとっても、何が本当の自分なのかわからなくなった。コトリって誰?
現実の世界で二人が会ったとき、本当の自分が見えた。 何もかも自分
悪いことを考える自分、理想を求める自分、恥ずかしい自分、情けない自分、ちょっと優しい自分・・・全部自分。まるごと受け止めて、また明日の自分を作ろう。演じるのではなく作っていく。悪い自分が顔をのぞかせるかも、理想ばかり追っても、それはただの見せかけ、そこから離れてしまったらつらいだけ。悪い自分も優しく受け入れ、明日の自分をはりきって作っていこう。何もかも自分。
ようく考えたら、結局自分のことしか考えていないことが多い。人のため・・と言いながら、結局自分の気持ちを満足させるために動いているに過ぎない。人のために折り鶴を折る。それは、「折ってあげる」のであって、満足する自分をつくるため。折り鶴に人への願いなんてこめられていない。重松清の「きみの友達」を読み終えた。この人の作品は心を打たれる。この作品の恵美のように、ピシャッと悪いところを指摘され、それでも「いいんだよ、また歩こう」と優しく動き出すエネルギーを与えてくれる。「みんな」という言葉に翻弄され、その中にいなければ安心できない学校。だれもが恵美のようになったらいいわけじゃない。だれもが、「みんな」の中で必死でもがいている。 公式サイト「あしたの私のつくり方」






■2008年 日本 121分
■2008.8.4 シネツイン2
■監督 タナダユキ
■出演
蒼井優(佐藤鈴子) 森山未來(中島亮平)
ピエール瀧(藤井春夫) 竹財輝之助(ユウキ)
齋藤隆成 (佐藤拓也) 笹野高史(白石)

「百万円貯まったら、この家を出て行きます。」
佐藤鈴子21才、フリーター。友達からルームメイトにならないかと誘われ、家を出ることを決意する。しかし、借りたマンションに来たのは友達の彼氏。さらに、その友達が彼氏と別れ、その男とのルームメイト生活が始まろうとしていた。窓の外の道で泣いている子猫を連れてきた鈴子。バイトから帰ってくると、その子猫が捨てられていた。起こった鈴子は、その男の荷物をすべて処分してしまい、訴えられ、留置場に入れられる。自宅に戻った鈴子は異様な家族の視線に耐えられず、100万円貯めて家を出るという。100万円貯めた鈴子は、家を出て海辺に家を借り、海の家でバイトを始める。100万円貯まったらまた移動する。次は山の農家の家。そこで桃娘になってくれと言われ断り飛び出す。次はホームセンターの店員。同僚のバイト大学生の亮平に好きだと言われ付き合う。しかし、いつかお金をせびるようになった亮平を不審に思い出す。その街も飛び出すことを決意した鈴子を追いかける亮平。

じんわりにじみ出てくる優しさと強さがいいね。人を馬鹿にする強さとはちがう。嫉妬や陰湿な歪んだ復讐じみた行動とはちがい、淡々としていながら優しく、しかも自分の信念をしっかり持っている。蒼井優だからそんなさわやかさを感じるのかもしれないな。弟にひどいことを言われながらも、根に持つどころか、いじめに合う弟の手をにぎる優しさに憧れる。言葉や表情や仕草につぶれない、ほんの少しの強さがほしい。彼女はほんの少しどころか一人で旅する大きな力を持っている。
海辺の彼の誘いにならなかったのは立派。魂胆あり。山の村の面々は自分たちのことだけしか考えていない。一生懸命に働いているのに。亮平の気持ちはわかるけど、あれじゃあ疑われて当然。考えが甘い。あの陸橋で出会うことができるだろうか。どちらでも鈴子は強く生きていけるけど、誤解したままじゃあ悲しいよ。
散歩していて猿の集団に出会った。団地の裏手の山道だけど、こんなことは初めてだ。郊外とはいえすぐそばには大きな都市。たぬきやきつねならともかく猿の集団だった。何年も歩いてきた道だったが、木の上に登った猿は枝を揺らして威嚇してきた。その道を通ることができなくて引き返すことに。また明日行ってみよう。






■2006年 韓国 117分
■原題「DOMABAM/LOVE PHOBIA」
■2008.7.31 DVD
■監督 カン・ジウン
■出演
チョ・スンウ(ジョガン) カン・ヘジョン(アリ)
カン・シニル(ジョガンの父)
チョン・ソンファ(ジュンチョル)
イ・ジェヨン(僧侶)
パク・コンテ (ジョガン=子供時代)
ビョン・ジョヨン(アリ=子供時代)

「愛すれば愛するほど、君は悲しい嘘をつく」
「とかげのように決して捕まえることのできない
彼女とぼくの切ないラブストーリー」
8才のジョガンが通学途中、雨でもないのに黄色いカッパを着た少女と出会い心を奪われる。その子は同じクラスに転校してきたアリ。自分には呪いがかけられているという。そして、アリはいつもポケットにトカゲを入れていて、先生もみんなも避けるようになった。しかし、ジョガンだけはちがった。ある日、下校途中、アリのトカゲが逃げてしまい、ジョガンは必死で捜す。長時間雨に打たれ、アリのレインコートを二人でかぶる。翌日、ジョガンは麻疹にかかる。アリはいなくなる。10年後、突然連絡してきたアリを訪ね寺に行く。アリは自分は宇宙人だなどと嘘ばかりつく。別れの朝、ジョガンは父に頼んで、アリが食べたがっていたすしを用意する。そして二人は思いを確かめ合うが、ジョガンは病気になり、アリはまた消える。さらに8年後、銀行員となったジョガンの前に突然アリが現れる。再会を喜び合うが、アリはすぐにアメリカに発つという。数日後、交通事故で入院した先輩を見舞いに行った病院でアリを見かける。真実を知りたくて、寺のお坊さんに詰め寄る。アリの余命がないことを知ったジョガンは、アリのためにミステリーサークルをつくる。アリは、そのミステリーサークルの中で静かに眠りにつく。


出会っている時間はものすごく短いのに、いっしょにいない時間の方がとても長いのに、思い続けることができる。それが本当の愛なんだろう。ジョガンは、その間、きっといろいろな女性に出会い付き合うこともあったかもしれない。でも、アリへの思いは薄れることはなかった。目の前にいない人への愛。それ以上どうすることもできない、前に進むことができない愛。彼女の心を感じながらも、謎が見え隠れする。問いつめることのない、受け入れる愛。
輸血したらエイズになった。これは大問題だ。でもそこには触れられないラブストーリー。発想はおもいしろいけど、よくよく考えればおかしいこと。学校だってきっと連絡がいって、手厚い配慮がなされて当然のこと。
60分100円の駐車場に停めて、30分歩く。久しぶりの本通り。シネツインがある。月曜日は男性1000円の日。題に惑わされてはいけない。「100万円と苦虫女」ヤフーの映画評価が高いので驚いた。一番時間的に見ることができる映画なので見に行った。題名だけじゃわからない映画の良さ。スクリーンに吸い込まれた。この映画館の雰囲気もあるかもしれない。でも好きな映画だった。平和公園は式典の準備で大忙し。横切るように歩く。往復1時間、運動になる。サロンシネマはシネツインがもっと身近にあればいいのにといつも思う。








■2003年 日本 100分
■2008.7.27 DVD
■監督 松岡錠司
■出演
妻夫木聡(木村亮介) 伊藤歩(五十嵐雪子)
新井浩文(神戸孝二) 金井勇太(森下賢治)
佐藤隆太(斎藤守) 近藤公園(宮本伸二)
三輪明日美(横川町子) 田辺誠一(三枝辺吾)
塩見三省(草間敏) 余貴美子(結城えり)
柄本明(花園修造) りりィ(森下照代)
渡辺美佐子(牧野校長)
井川比佐志(大河内徳次郎)

「きみがいると、ここはあたたかい」
「世界一幸せな犬の物語」
「その日からクロは4800人の青春を共に生きた」
長野県松本市、木村亮介は、高校に行く途中黒い犬を見かけ、お腹をすかせているようなので弁当の一部をやる。するとその犬は高校までついてきた。学園祭できゅうきょ西郷隆盛に扮装した亮介、そしてそのそばばにはこの黒い犬がいた。そのまま用務員室にいつき、クロと呼ばれ、職員名簿にも載るような学校の人気者になる。ある日、亮介の親友の孝二が雪子にふられバイク事故で死んだとき、ショックを受けた雪子が学校の窓から飛び降りようとしたときそばにいたのがクロだった。10年後、亮介は獣医となり友人の結婚式に参加するために、久しぶりに帰郷。クロの異変に気づき、近くの動物病院で診察する。そして手術しなければ助からない病気であることがわかる。そのことを知った森下たちは、校内に募金箱を設置し、手術の費用を集める。手術は無事に成功し、クロは元気になる。それから数ヶ月、天寿を全うしたクロの葬儀が、高校の体育館で開かれ、多くの人が参列した。


今では考えられないことだ。犬を学校で飼うなんて。昔、教室で犬や猫を一時的に飼ったこともあった。それは誰か引き取り手が見つかるまで。用務員のおじさんもいなくなって機械警備。鶏を飼っていても、鳥インフルエンザだなんだと大騒ぎして、始末するところもある。学校に動物がいなくなった。クロにとっても、クロの周りの人々にとっても幸せな時代。犬にもよるけど、学校の教室で眠ったり廊下を歩いたり、気軽に声をかけられるなんてね。今は野良犬もいなくなった。
犬の目は優しい目が多い。あの目で見つめられると心の中の余分な力が抜けていく。そばにいてくれるだけで生きる力がわいてきそうだ。ペットは人間の心を癒してくれる。同時に、その動物にも愛情が注がれ、それが通じ合う。動物たちと人間の結びつきの理想の形かもしれない。人間の身勝手で動物を引きずり回すのとはちがう。現実にもどるけど、エサや糞の始末、予防接収など、どうしていたのだろう。かんぱや学校の予算も使われたのだろうなあ。だからこそ、職員名簿にも名を連ねる。みんながきちんと認めていたところに感動が生まれたのだと思う。