どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の短編小説『猫』

2023-05-11 02:07:55 | 短編小説
素封家の新座右衛門には、なかなか跡取り息子ができなかった。 二十歳の時に嫁に来た最初の妻は、五年間生活を共にしたが子ができずに離縁した。 二度目の嫁も、妊娠はするのだが五か月目を待たずに流産し、二度三度と失敗して自ら実家に出戻った。 新座右衛門に子種があることは明らかだから、すべては女の側の問題として片付けられた。 三度目の嫁にも子ができないと分かった時、三十五歳を超えて焦りの見える当主は、飼い猫 . . . 本文を読む
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