どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)100 『定食屋の女』 2

2014-02-02 04:08:39 | 短編小説
   漆畑は、朝からそわそわしていた。  多歌子が出勤する前に、入口の自動ドアの具合を確かめたり、靴拭きマットの位置を直したり落ち着かなかった。  表に出てみると、太陽は東から南に回ろうとしていた。  御代田の街も、上信越道が走るあたりも、光のさざ波に覆われていた。  近頃はますます家並が増えて浅間の裾野を遮っていたが、追分から道の駅「雷電」にかけて続く樹林の帯が、そこから上の . . . 本文を読む
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