どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

煙火茫々(2)

2008-09-08 14:03:31 | 短編小説
 月遅れの盆行事として関東の一部に残る<盆綱>は、芳夫にとって忘れられない記憶となっている。  少しずつ形を変えたり省略されたりしながら、子供たちの楽しむ催し物として伝統が守られてきた。その変革に芳夫自身が関わったことがあるから、余計に印象深いのかもしれない。  八月半ばの迎え盆を前に、あらかじめ村人が持ち寄った真菰で大きな竜頭を作り、稲藁を編んだ太い胴体を繋いで盆綱が完成する。  五メートルを超 . . . 本文を読む
コメント (1)