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プログラマ視点でみたシリコンバレー シーズン1(3)

2019年01月15日 23時07分52秒 | テレビ番組
今回もシーズン1の続きです。


<ネタバレあり>


第5話「シグナル伝達リスク」<原題:Signaling Risk>

アーリックはストリートの壁に落書きアートを描いているチューイ・ラミレスという男にパイド・パイパーのロゴ作成を依頼しました。
ジャレッドは勝手に契約したアーリックや、テッククランチ・ディスラプト(スタートアップのコンペ)に応募していたことを共有していなかったリチャード、社内にも拘わらず勝手気ままにふるまうディネシュ、ギルフォイルに腹を立てます。
そこで社内の現状を変えるためにスクラム開発を取り入れることを提案しました。

リチャードはテッククランチの参加は辞退すればよいと思っていましたが、思わぬところで波風を立てました。

ギャビン・ベルソンは、すでにラビーガから支援を受けてるパイド・パイパーがなぜ出場するのか理由を知りたがり、直接ピーターに尋ね、さらにその大会でフーリーの新圧縮アプリ・ニュークリアスの発表をすることを告げました。
宣戦布告をされた形のピーターは激怒し、2カ月後のコンペまでにデモ版を完成させることを命じます。
リチャードはその時初めて、ピーターの支援はギャビンへの嫌がらせが目的なだけで、自分たちに期待していないことを知り、おだてて起業させたモニカに腹を立てます。
元々5か月後の完成を見込んでいた製品をコンペにあわせて残り2カ月で仕上げることになりましたが、ジャレッドが提案したスクラム開発は効果を発揮していました。

モニカは個人的にパイド・パイパーに期待しているとリチャードに告げ、その証として自分の年俸の10%をパイド・パイパーに投資しました。


テッククランチ・ディスラプトはスタートアップのコンペで実在のイベントです。



第6話「外部インソーシング」<原題:Third Party Insourcing>

コンペに向けた開発の進捗はリチャードが担当するクラウド構築だけが大幅に遅れていました。
そこでケビン(通称ザ・カーバー)と呼ばれる凄腕のエンジニアを雇うことになりました。ケビンはかつて銀行のシステムにハッキングして破壊したという武勇伝を持っています。
ケビンの実力を疑うリチャードでしたが、彼は2日あれば全部構築できると自信を見せます。

その頃、アーリックの屋敷にギルフォイルの彼女タラが来ていました。みんなが想像していたのと全然違う美女にパイド・パイパーのメンバーは色めき立ちます。
さらにギルフォイルはディネシュに「タラがおまえとやりたがっている」と話します。

ケビンの力を借り、リチャードの作業は順調に進みますが、なんとそのケビンがシステムを誤って全壊させてしまったため、徹夜でリカバリーする羽目になりました。

ギルフォイルに唆されたディネシュは迷った挙句、タラに「君と性交渉したい」と告げますが、実はギルフォイルにからかわれていた、というオチでした。


医師との会話シーンでリチャードが「17歳の時、週末だけでRailsをマスター」と自慢するセリフがあります。RailsとはRuby on Railsというフレームワークのことです。ここでいうフレームワークとは、Webアプリケーションなどの構築に必用なプログラム以外の部分(定義ファイル、HTML、XML、DBとの連携等々)を連係させる基幹部分と、ものによってはOSS群が包含されたミドルウェアを指します。扱うにはそれらを設定する知識と、Webで動かす場合JavaScriptが必須といってよいです。
Rubyは日本人が開発したプログラミング言語で、インタプリタ式に実行されます(コンパイル不要)。ソースコードの読みやすさが特徴で、Web系の開発ではよくみかけます。
リチャードが、Ruby on Railsをマスターできたからクラウドもできるはず、という自信をのぞかせるのはやや違和感がありますが、単純にエンジニアとしての矜持でいっているのかもしれません。

リチャードとケビンの会話シーンにでてくる「キー・バリュー・ストア」とはDBの特性のひとつです。OracleやMySQLのような従来のRDB(リレーショナルデータベース)のように型を定義したテーブルにデータをインプットするのではなく、型に関係なく、格納したい各データに識別子(通し番号)をつけて複数のDBに分散して保管できるのが特徴です。クラウドでキー・バリュー・ストアといったらAWSのS3が思い浮かびますがそれを指してるかどうかは不明。もうひとつ「タプル」はいろんな使い方があるので、会話から具体的なものを推測することはできません。もしPythonのタプルであればListのようなデータ型を指すのですが。
リチャードが書いているソースはJavaです。ただコードが短いのでどういった処理を書いているのかまではわかりません。

復旧の確認をしているシーンではJenkinsを動かしています。これは自動化ツールで、主にテストを自動化するために使われます。たとえばGitHub、Selenium(自動テストツール)と連携させることで、GitHubにソースをアップロードするとJenkinsがそれを検知してSeleniumのテストプログラムを動作させる、という使い方が開発の現場でよくあります。設定は面倒ですが、たとえばソースを修正すると、その修正箇所に関わる大量のテストパターンを自動実行できる恩恵が大きいのはいうまでもありません。
あと、スキーマという単語がこの話の中で何度も登場しますが、日本のIT業界でスキーマといったらDBの構造定義のことを指します。が、会話の文脈的にはちょっと意味が違う様な。