磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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178芸術の国フランスも……

2006年09月12日 | Ra.
ラヂオアクティヴィティ[Ra.]
第二部・国境なき恐怖

十二、国境なき……part1

178芸術の国フランスも……



輝代の顔がトマトのように熟し、美しい黒髪が逆立った。キイーと目はつりあがっていた。両手を前に出した。

大きな爆発音ともに、閃光がして、部屋も揺れた。
みんな、どういうわけか、そんなことさえ気にもならなかった。
こんなことは、たいしたことじゃないと人々は思った。

「フランスでは、原発を推進しています。それは世界一だったと想うわ。全部の電気を原発でつくろうなんて、スローガンまであったほどよ。それだから、原発の恐ろしさは伝えないようにしたのです。サミットに参加したほとんどの国がそうであったようにね。でも、その中でもフランスは何も伝えなかった。イタリアでも死の灰が降下したのに、フランスでは、大丈夫ばかり教えられていたのよ。ひどいと思わない? チェルノブイリにはフランスの方が近いでしょう。反対運動をする人たちの中には監獄に入れられた人たちもいるわ。本当は指導者こそが、犯罪者であるはずなのに……。そんな国だから、核実験を強行したのよ。ムルロア諸島の人たちは、何の健康被害もないといいながら、フランス本国に患者として極秘に連れて来ていたのよ」

ムルロア諸島で核実験をフランスは繰り返してきた。
そのフィルムが流れている。

そんな用意いつしたのだろう。
でも、僕は何も知らされていないしと勉は思った。
それにこれはミステリー・ツアーだからなあー。

「フランスは多くの武器を輸出する国でもある。しかし、平和主義で人道主義と名乗る偽善者たちでもある」
ソフィーは語った。

多くの人はそういうソフィーがフランスの国の人から非難されるべきではないと思った。
非難されるべきはフランス政府や死の商人たちなのである。

フランスの核政策も、決してオープンとはいえず、また安全とも言えないだろう。

「私はフランス代表ではないけど、フランスを愛している。芸術の都ともいわれることを誇りにしている。でも、こんなことを許していたら、芸術も色あせ、芸術も嘘つきの道具と思われるわよ。だからこそ、怒るのよ」

静かな部屋の中、一人拍手する者がいた。
それはロシアのイワンである。

イワンが話す。
「たとえば、放射能で汚染された肉があると、汚染されていない肉と混ぜたりしました。そうすれば安全の範囲だから、売ってもいい。ロシアじゃなく、他の国だけど、汚染された国の肉を他の国に売った。その国では、ベーコンにして、元の国に売った。また発展途上国の人たちは、放射能に対して知識がないからと、その国の牛乳を買い、放射能に汚染された牛乳を安く発展途上国の人たちに売った。それに、みんな、どこの国の食材を食べているか、本当はわからないらしいよ……」

「発展途上国だから、関係ないわけじゃないのよ」
ミス・ホームズは推理した。推理する以前に理解できるだろうが……。

「そうだとも。そのためにも、チェルノブイリ事故はたいしたことはなかった、と信じ込ませる必要があったのだろう」とイワン。

「じゃ、プルトニウムについての国際協力について、話すわ」
博士はプルトニウムの毒性について話した。放射能を発するだけではなく、毒性さえあるのだ。世界一の毒物だと博士は述べた。

「このことは、どんな偉い学者や政治家が違うっていっても、事実を曲げることはできない。科学にそんな身分や階級、そんなものは通用しない。だから、僕は科学が好きだ」

輝代が、目をつむっている。








閑話休題

この小説の舞台である時代と
今はかわりました。

牛肉などに、
どこの産なのか、
書かれるようになりました。

しかし、それは信用できるのでしょうか?
日本産の大豆はわずかしかないというのに、
お店ではほとんどが国産ですね。

たとえ法律で決められたとしても、
それじゃ信用できないのではないでしょうか?

大手企業は食肉偽装事件を
起しましたね。

法律ができたからといって、
裁判に勝ったからといって、
それで問題解決しないのが、
この日本ですね。


NEWS23『終わりなき水俣病』2006







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