総理がコジキでコジキがソーリィー![]() 033 「命は地球よりも重い」 「そうだよ、つまらないよ」 「……」 「今朝のこと忘れたの?」 「何のことだ……。ホームレス狩りでもしようというのか?」 ソーリィーは訊(き)いた。 「そんなこと僕はしないよ。おじさん、今朝のこと忘れたの」 「忘れた? 何かあったのか」 「おじさん、僕の命をすくったんだよ。シンドラーのリストじゃ“一人の人の命を救うってことは地球を救うこと”だって言っていてたと思うよ」 「何だ、それは……」 「学校で見せられた映画だよ」 「一人の人の命を救うことは地球を救うこと……」 ソーリィーは、その言葉は嘘だと思った。 地球よりもよほど真美の命は大切である。 真美がいなければ、地球なんてあっても仕方がないことじゃないか! 地球--そんなものは、ただの物質ではないか! 「おじさんも、この言葉が嘘っぽいって思う?」 少年はソーリィーの顔をのぞいてた。 「うう……ん、その通りだ。嘘だ、そんなのが本当であってたまるかあー!」 しかし、少年の心の中で思う嘘と、ソーリィーの心の中での嘘とは、まったく反対であった。 「やっぱり、おじさんでも、そう思うんだなあー」 おじさんの境遇を思ったら、それは仕方がないことのように、少年には思えた。 「ねえ、おじさん、近くの公園に行こうよ、少し話したいんだよ。おじさん、ケースワーカーだったんだろう。相談してもいいんだろう。それが仕事なんだろう」
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