総理がコジキでコジキがソーリィー![]() 034 「参加することに意義」 「元だよ。今はルンペンさ。そんなころもあったなあー」 ソーリィーは真美が生きていたころだと思っていた。 だが、真美は生きている。 ソーリィーの心の中で真美は生きているからこそ、ソーリィーを苦しめているのだ。 それは悪いことではない。 悪いことではないから、命を救った……。 ソーリィーと少年は池の近くのベンチに座った。 「ねえ、ソーリィー「命は地球よりも重い」って嘘くさいよねえー」 と、少年は笑っていた。 ソーリィーに気に入られたかったのだ。 「いいや、そんことはないさ「命は地球よりも重い」ものだよ」 しんみりとするソーリィー。 「えっ!」 今どきそんなことを本気で言う人がいるんだと驚いた。 「命は地球よりも尊いものだよ」 「そんなことあるわけないだろう」 「尊いという言葉の意味を知っているかい?」 「価値があるってことだよねえー」 「そうだよ、命は地球よりも価値がある。これがないと、地球を感じることもできなじゃないか」 「でも、地球がなくっちゃ、命はないよ」 「この広い宇宙には宇宙人がいる確率は高いというのが、現代の科学だよ。それに、地球じゃない星に遠い未来、人類は移住することは可能だろうと思う」 「ふーん」 昨日、コメディアンがテレビドラマで、命なんて尊いわけがないと怒っていたけど、ソーリィーとは違うんだなあ。 「尊いってことは、個人の価値観によってかわるってことなんでしよう」 「そうだよ。尊くないと思う人には価値はないだろうねえ。そういう人は、かわいそうな人だと思う」 このホームレスから、他の人をかわいそうだなんて言うことがあるなんて、少年は信じられなかった。 あっちは、年収が何億円もあって、所得番付にのっていた人なのに、その人をホームレスがかわいそうだなんて言うなんて……。 「でも、今の世の中はそんなことはないだろうなあー。ルンペンはそう思うんだよ」 「ルンペンかあー」 「第一次大戦でドイツは負けただろう」 「うん、歴史で習ったよ」 「その後、ドイツにひどい不況が襲ったんだよ。多くの人がルンペンになったんだよ。ルンペンっていうのはドイツ語なんだよ」 「ふーん、そうなんだあー。だから、ホームレスとは違うんだね」 「ああ、わたしは古くさい人間なんだよ。そのころには生きていなかったけどね。私の子供のころにはホームレスという言葉はなかったよ……」 本当に人を愛したことがある人なら、「地球より命が重い」と思うだろう……。 オリンピックも昔は「参加することに意義がある」といっていたものが、今では奇妙なものにかわっている……。昔はプロは参加できなかったのだ……。 オリンピックも民主主義の「自由・平等・博愛」から遠くなった……。 --クーベルタン男爵のことなど多くの人は忘れている。
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