香が散る

本を読むのが大好き、少し前からノロノロですが走るのも好き
そんな、代わり映えのしない、でも大切な日々を書き綴っています

七夜物語2

2011-05-11 23:14:23 | 本のこと
昨日の朝刊に、
「七夜物語」連載を終えての川上弘美さんの記事があった
長い連載となり、いちばん心配だったのは、
何かのことで書く手がとどこおることだったそうです
3月11日は、7章の最後に向かう部分を書いていて・・・
これからは、川上さんの文章を抜粋します
 津波、原発。たくさんの苦しんでいる同胞。亡くなったひとびと。
手をつかねて見ているしかない自分。手がとどこおる、という易しい
ものではありませんでした。書こうという気持ちに、一切なれなかっ
たのです。こんな物語を、誰が望んでいるということなのだろう。何
もできずに、無事にのうのうとここにいて。そんなふうにしか感じら
れませんでした。
 その葉書が来たのは、3月16日のことでした。「津波で、父が行
方不明になりました。テレビも、新聞も、悲しすぎて見られません。
今はただ、ずっと読んで来た連載小説だけを読んでいます。日常とい
うものがまだこの世界にちゃんとあるのだと思えるからです。」そん
な内容のものでした。身が震えるような思いに打たれました。葉書を
下さった方をささえたのは、おそらくわたし個人の力ではありません。
言葉自体の力なのです。物語自体の力なのです。書いていいのだと、
許された気持ちでした

読んでいて、震災後のつらかった悲しかった気持ちが蘇った
何も出来ないと思い込んだり塞いだりしたけど、糸井重里さんのコラムで
「あせらずに、いつか順番がくるから」「今頑張っている人を応援しよう」
そんな言葉で少しづつ元気をもらっていったことを思い出した
大好きな小説が、最後にこんな力を持って終わったのだと思い
もっともっと好きになった

月曜日の仕事中に通った宮の沢の山

そして、今日仕事を早く終えて行った円山公園

札幌も元気にいつものように桜の季節