やっと仕事がひと段落して、1冊本を読み終わった
「浮世女房洒落日記」木内 昇の作品だ
江戸時代末期文化文政から天保時代(1820年前後)の江戸神田の庶民の生活を
1月から12月まで日記として書かれている
主人公はお葛という27歳の女房
旦那と神田で小間物屋を営んでいる
子供は二人
ご飯は朝炊いて昼と夜は冷飯と沢庵に煮物少々だったりする
花見に飛鳥山まで長屋の仲間とみんなで行ったり
長屋の仲間が放蕩息子を旅に出させたり
旦那と些細なことで喧嘩をしたり
江戸三大人気職業が火消し・鳶・大工だったり
神田祭で大騒ぎするのが楽しみだったり
寄席や相撲を見に行ったり
隅田川の川開きを見に行ったり
とても季節感を感じながら、江戸時代の庶民の暮らしを垣間見た気がした
一番印象に残っているのは12月26日のお葛の長い言葉
人生訓のようでとてもよかった
「・・・この世に桃源郷はない。反対に真の苦界もない。楽しく生きるも不満に溢れるもその人次第。
だから、他へ行きゃあなんかいいことがあるかもしれないなんて言わないで、今、目の前の暮らしを
いかに楽しくするかって工夫をしたがずうっと利口だ・・・ってことは重々わかっているのに、喧嘩
したり、喚いたり、泣いたり、笑ったりの代わり映えしない毎日だ。おかしなもんだ、生きるってのは。
でもさ、代り映えしないことこそ、ほんとうは一番すごいことなんじゃあないの、一番強いことなんじゃ
あないの、って最近つくづく思うんだよ。」
さて次は、木内の「笑い三年、泣き三月。」か直木賞を取った「漂砂のうたう」を読んでみようかと思う。
彼女の独特な世界に引き込まれてしまったのが今年の収穫のひとつかもしれない