友人の勧めで読んでみた1と2の上下2冊
信州松本を舞台に地域医療の携わる医者と彼をとりまく人々との話
第一巻が良かったという人と第二巻が良かったという人がいて面白い
私は第一巻の後半の安曇おばあちゃんの贈り物あたりがグッときてしまいとてもよかった
激しい医療の壮絶な現場を表しているわけではない
しかし、平易な文体の中に読者をやさしくしかもグイグイと読ませるパワーがある
場面切り替えが早いが、人物描写がわかりやすく心情が直接的に伝わってくる
第二巻は医療現場のトップで携わっていた古狐先生の死
東京の医局から戻ってきた友人の辰也こと進藤 辰也
天の川のシーンは、無理のない設定でとてもよかった
おもわず自分が現場にいるのではないかとイメージできるほどの表現力
時々出てくる夏目 漱石の引用などもわかりやすくてよかった
今までの医療の小説たとえば「ジェネラルルージュの伝言」などの好きな人
には物足りなさを感じるかもしれないが、地域医療の現場の実態とクライアントとの
関係など様々なことを考えさせてくれる小説だと思った
次作にも期待したいと思う
できれば、さらにクライアントとのさまざまなエピソードが読みたい
月夜に照らされた松本城や
居酒屋「九兵衛」で出される美味しそうな日本酒の数々
常念岳に王が頭など
どこも深い印象を残す舞台であった