エルトン・ジョンの10枚目のオリジナル・スタジオ・アルバムは、録音スタジオだったカリブー・ランチの所在位置、West Of The Rockies(ロッキー山脈の西)を文字ってRock Of The Westiesと命名され1975年に発売。


前作のエルトンの自叙伝的アルバム、Captain Fantasticもそれまでのアルバムと同様び発売と同時に全米チャートNo.1に輝き、飛ぶ鳥を落とす勢いの如くヒット街道まっしぐらのエルトンで、このアルバムでも発売前の予約段階でチャート・トップ確定だった。
大きな変化は、前作の制作完了後長きに渡ってバンド・メンバーだったドラムスのナイジェル・オルソンとベースのディー・マレーを解雇し新メンバーと共にアルバムを制作することだった。


当時エルトンと彼らの間に実際のところどんなわだかまりがあった(一般的に伝えられたのは確か音楽の方向性が異なるという話だった様な?)か想像もつかないが、個人的にはそれまでの彼らの演奏やバック・コーラスなどバンドにとって貢献度が高かったので一ファンとしてその決断は非常に残念に思った。
後年ナイジェルがインタビューでエルトンから解雇の通知を受けた時は、非常に打ちのめされたって語っていた。
このメンバー・チェンジが影響したのかどうか、それまでのエルトンとは違うディープなアメリカン志向のサウンドで、全体的にハードでファンキーなイメージに仕上がった。


アルバムはいつも通りチャートのトップを獲得しシングル・カットされたIsland Girlも大ヒットしたものの、当時アルバムを通して聴いてみて、個人的にはナイジェルやディーのいた頃に一番思い入れがあったので、何だかな~と感じたのは確か。
他のリスナーも同じ様に感じたのか、アルバムの売上はそれまでの作品と比べると落ち込み、次作のBlue Movesで少々方向転換へ...
その後、ナイジェルとディー(ディーは1972年、45歳の若さで病気でこの世をさることに)もスポットでエルトンのアルバムしばしば参加し、旧友が帰ってきた感じで嬉しく思ったこともあった。
とは言えこのアルバム、特にオーバー・プロデュースされているとも感じないし、歌唱・演奏もしっかりしていていいアルバムだと思う。
多分、当時こうあるべきだと思い描いていたエルトンのイメージとは違っていただけなのかもね。