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風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

青森南部のアメリカンタウン 4-2

2017-10-12 | 東北
その1からの続きです。

● 嵐の海岸線

八戸の朝市を離れて車で移動しましたが、まだ朝の7時にもなっていません。
しかも休日の日曜日とあって、どこも開いていない時間。
そこで、私のリクエストで種差海岸へと向かいました。

これまで、電車の窓から眺めるだけだった種差海岸。
見るだけでも気持ちがよさそうで、海岸線沿いに広がるゆるやかな天然芝の丘をのんびり散策してみたいと思っていました。

ところがこの日は台風が接近中です。
雨は降ったりやんだりしながらどんどん強くなっていき、ついには暴風雨に。

そんな嵐の中を、海岸線伝いに走っていきます。
晴れの日にはのどかで風光明媚な海岸でしょうけれど、ごうごうと海が鳴り、高速で雲が移動していきます。

こんな悪天候や悪路を走る時にこそ、4WDの真価が発揮されます。
JBさんの車は全天候対応型の四駆で、嵐の中でも揺れませんでした。たのもしい~。

● ウミネコとカモメ

蕪島の横を通ります。
蕪島といえば、ウミネコ。でも見た目はカモメと変わりません。
JBさんに聞いても「くちばしがちょっと違うくらい」だそうです。
よく似ているから、ガイド中に「あの鳥なんですか?」と聞かれると(ウミネコか、カモメか、ううむ?)と悩むんだそう。
「鳴けば一発でわかるんだけどね」
「そういえば、ネコみたいに鳴くからウミネコだったっけ」
「そう、ミャーミャーいうよ」
鳥なのにミャーミャー。島にたくさんとまっていましたが、鳴き声は暴風雨にかき消されて、聞こえませんでした。



蕪島を過ぎてほどなくすると、岬の先の波打ち際に海沿いの小さな建物がありました。
「あれは食堂なんだよ」と教えてもらいました。
小舟渡食堂というそうです。
「しょっちゅう波に洗われながらも踏ん張っているよ」
天気がいい日は、目の前が海のすばらしいロケーションですが、こんな嵐の中では、流されないかと心配になる立地。

東日本大震災時には、津波がぎりぎりまで押し寄せたものの、なんとか耐えぬいたそうです。よかった~。

● 日本のハイランド地方

葦毛埼に寄りました。「この辺りも、馬に関係した地名が多いんだ」とJBさん。

こんな風景、どこかでみたことがありますよ。
そう、あれはハイランド地方。
うす暗い天気もあいまって、スコットランドの城跡にいるような気分になります。
十字架まで立ってるし!(単なる標識だけど)



緑の丘陵地帯も彷彿とさせるものがあるし、この辺り、「日本のハイランド地方」として売り出せばいいんじゃないかと思いますよ!
観光課の方、ご検討下さいませ(笑)!
"地方"をつけないと、富士急ハイランドと一緒にされちゃいそうですけどね。

この古城チックな建物は何だろう?と、風にあおられながらそばまで行ってみると、それは展望台でした。
太平洋戦争末期には旧日本軍が軍事施設として使用していたそうです。
ここからの眺望は、もうすばらしいの一言!
足元の岸壁に当たって上に登ってくる強い海風にあおられて、私もウミネコのようにどこかに飛んでいけそうになりました。



岸壁に波が打ち付けられ、海は重低音でうなっています。
縦横無尽に風が吹きつけて、髪の毛はあっという間にもしゃもしゃに。
そんな暴風雨にあおらながらも、カオリンと遊歩道を少し歩いてみました。
連日行動を共にしているので、彼女も相当冒険好きだとわかっています。
吹きすさぶ嵐の中で荒野をさまようリア王の気分になりました。(やっぱり英国)
う~ん、気分爽快!



● 八戸ジェーン

途中の海岸でもまた車を停めてみると、海の中にサーファーがたくさんいました。
台風のビッグウェーブに乗る、稲村ジェーン状態ですね。
「土地の角度的に、今日はいい波は来ないんだけどなー」とつぶやく現役サーファーのJBさん。
この辺りには、台風が去った後にいい波が来るんだそう。
なるほど、いいサーファーは、天候だけでなく地形の特徴もつかんでいるんですね。

「ここのところずっと仕事していて、それが一段落したころにちょうどいい波が来るだろうから、そうしたら社員に言って…サーフィン♪♪」
今からウキウキしている社長です。

どう想像しても青森でのサーフィンは寒そうなイメージですが、彼は真冬でもウェットスーツを着て潜るんだそう。
「そこまでー!寒くないんですか?」
「めっちゃ寒いよ!!」
ですよね~(^_^;)

車に戻り、さらに海岸線伝いに進んでいきました。

● 葉祥明の世界

種差海岸を越えて、岩手県との県境、小舟渡海岸までやってきました。
かつてはこの辺りに馬が放牧されていて、草を食んでいたそう。
「それで自然に草が刈られていたけど、今は馬がいないから人が芝刈りしているんだよ」
「また馬を放牧すればいいのにね」
「まったくだ」



広々とした緑の草地に立つ白い灯台。その向こうは青い海。
風が吹きすさぶ曇り空ですが、メルヘンな景色が広がっています。
葉祥明氏の絵の中に入りこんだみたい。



足元には何か植物の茂み。赤い実がなっています。
「これは、ハマナスの実。食べれるよ」
そう教えられて、カオリンと私はトライ。
プチトマトのようですが、それよりずっと固くて、あまり味がしませんでした。
食感は、ちょっと前に食べたナツメの実に似ていました。



● 直売所めぐり

海岸沿いの一本道をこのまままっすぐ行くと、岩手の久慈に着きます。
道路沿いに、金田一温泉の大きな看板がありました。
金田一というだけで、湯けむり事件のにおい!

嵐にあおられながら、種差海岸あたりの海岸線を楽しみ、県境までやってきましたが、まだ道の駅が開く時間になっていません。
それで岩手にまで足を伸ばして、種市に行ってみました。
オレンジ色の目立つプレハブ小屋は、震災後に中小企業基盤整備機構の助成を受けて作られたはまなす亭。
津波によって壊された種市ふるさと物産館代わりに建てられたそうです。
うに丼、ほや丼があるそうですが、まだ開いていませんでした。

● トンビいろいろ

ようやくお店も開き始めました。
おや、おばあちゃん、道なき道をどこへ行くの?



魚介類の直売所に入ると、いけすがズラリ。
カニー!



大きなホタテと姫貝ー!



生のエイのひれがあります。それを「カスベ」と言うそうです。
「とんび」と書かれたものもありましたが、まさか翼の生えた猛禽類ではないでしょう。
どこの部位かな?
あとで調べてみたところ、トンビは牛肉では肩の肉、魚介類ではイカ・タコの口を指すそうです。
朝市ではタコのワタと目が売られていたし、この日はタコの部位をよく見るなあ。

● 三陸あわび茸寿司

次に、たねいち産直ふれあい広場センターに行きました。
ここにはさまざまな収穫物があります。

あけびがありました。わあ、すてき。
山に入らないとなかなか見られません。



お吸い物界の帝王、いちご煮参上~。
青森のものしか食べたことがありませんが、ここまで来ると三陸名産になるんですね。



私は嶽(だけ)きみを見つけて、大コーフン。
ちょうど旬の季節ですが、弘前近い産地から離れているためか、なかなか出会えなかったのです。
やっほ~!もちろん買いまーす♪



ここには三陸あわび茸なるものが売られていました。
初めて見ます。大きくて、結構なお値段です。



このあわび茸のお寿司が売られていました。
蒸したアワビのような食感なんだとか。
一度は食べみたい・・・。(脱字に気づいてなさそう)



説明を読んでいるうちに、カオリンがサッと1パックお買上げ。
またもや分けてもらいました。
ごちそう様です!嶽きみ食べて!



コリコリした食感で、たしかにアワビのような気がします。
そんなにアワビ慣れしていないので、こんな感じだったかなと思う程度ですが。(庶民)



とうふ田楽がきれいに並べられて焼かれていました。奥にあるのは五平餅です。



ほやもありました。「伝統南部もぐりの手摘み」と書かれています。
まさに『あまちゃん』ワールドですね。
ちょうどこの日、ヒロインを演じた能年(のん)ちゃんが、秋まつりのゲストとして久慈に来たそうです。

● 売り切れサバップル

それから、道の駅はしかみに行きました。
ここで、さきほどの朝市で買い損ねた南部せんべいの耳を無事ゲット。

「えごまってなに?」とJBさんに聞かれて「ゴマじゃない?」と原材料ラベルを見ましたが、「荏胡麻」としか書かれていません。
調べてみたら、しそでした。知らなかったー!

カオリンが欲しがっていた天日干しのお米が売られていましたが、うるち米だけで白米はありませんでした。

サバップルもあったようですが、こちらも残念ながらもう売り切れでした。
これを、お土産に買うつもり。
かつて一度、食べたことがあるのです。おいしくて楽しかったな〜。
「自由が丘でお花見サバップル」



商品がちゃんとあることが判明したのはラッキー。
要冷蔵品なので、帰りの八戸で買おうっと。

● 青森の夜明け

車の中で、津軽と南部の関係について、教えてもらいました。
青森は長いこと、津軽と南部のしこりが抜けないまま、トップの県知事についた人の出身地が代々優遇されてきたそうです。
それは不平等感がぬぐえません。そんな中で仲良くなれるはずありませんね。

今の三村申吾氏は、そうした地方のいがみ合いをやめて公平にしようと決めた、初めての県知事なんだそうです。
わあ、なんて画期的なこと。青森の新しい夜明けですね。
ミムラ知事、がんばって〜。

● ノースピークのわらじ

自然派志向のレベルを超えて、ワイルドライフを理想とするJBさん。
学生のころは、なんと裸足で通学していたとのこと。
「さすがになにか履いてくれ~」と友達に懇願されて、わらじをはき始めたそうです。
サーファーに(貧しいやつ)というような失礼な態度を取られたこともあるそう。
ビーサンと、そんなに変わらないのに。
わらじが貧しいイメージなのは、昔話の頃のこと。
現代の貧しい人は、わらじにまでたどり着けませんね。

「調べてみたら、一つのブランドだけがわらじを取り扱っていて。それがノースピークだったんだ」
あったなんて、すごい~!
ノースピークのわらじなんて、考えたこともありませんでした。
「わらじにもロゴが付いていたの?」興味津々に尋ねます。
さすがにロゴは入っておらず(入れるの大変そうだし)、会社のカラーが入っていたそうです。
ノースピークは、福利厚生が素晴らしく整っている会社ですし、本当の意味での自然生活についてきちんと考えているんでしょう。

なぜ裸足やわらじにこだわったのかというと、足の裏から情報が伝わるのがいいんだそうです。
なんという健康生活。先ほど布草履を買ったカオリンと意気投合していました。
この人達、つくづくワイルド・・・。そんな2人と同行できて、ハッピー!

● 立派な縄文館

買い物もひとしきり済ませたので、ふたたび「これからどうしようか」と考えます。
天気がよければなんでもできますが、なにせこの日は嵐なので、アウトドア活動が軒並みアウト。
そこで、またもや私の希望で、八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館へ向かいました。



なぜそこに行きたいかって?
国宝の縄文時代の土偶がいるんです。
「体育座りをした、ひとりぼっちの土偶に会いたいわ〜♪」と2人に話しましたが、「う〜ん?」とうまく伝わらないまま、とにかく到着しました。



驚くほど大きな立派な博物館です。
単純に陳列ケースが並んでいるだけだと思ったら、最新デジタル技術を駆使して視覚的に楽しめる場所でした。
これはあなどれません。



土器土器のポスター。
去年青森駅で見て、気になって撮影したんだっけ。



十分に予算をかけて視覚的効果を生み出しているブース。
リッチな町なんでしょうね。



「自分もプリミティブ・テクノロジー・ライフが送れそう」とJBさん。
「まずは縄文生活の勉強だ!」と、一つ一つの陳列品に見入っていました。
勉強熱心です。



わー、クオリティが高いですね。
今にも語り出しそうな、愁いを帯びた目つきに、時代を超えてドキドキします。

● 国宝ボッチ土偶

たくさんの展示物の一番最後に、お目当ての国宝が展示されていました。
ひとりで寂しがっているボッチ土偶ではなく、「合掌土偶」と言う名前でした。
体育座りではなく、祈る手つきだったんです。失礼しました〜。

そうは聞いても、土偶にはやっぱりボッチ感が漂っていました。
後光がさしていて神々しかったです。



そしてこの土偶さん、力強い表情なので男性だと思っていましたが、なんと女性だそうです。
やはり土偶は産みの女神なんでしょうね。



土偶の勉強ができるブースがありました。
土偶は約13000年前からあり、合掌土偶は今から3000~4000前の縄文後期のものだそう。
国宝の土偶は日本国内に5つ。
八戸で出土した土偶は約650個あるおそうです。ここは土偶パラダイス!

合掌ボッチさんの等身大レプリカがあったので、触ってきました。
等身大レプリカって、いいですね。陳列ケースの中だと、決められたアングルでしか鑑賞できませんが、直接触れると360度、好きな角度から観察できるんです。
ほかの博物館でも取り入れてほしいわ〜。



● げきにぼラーメン

大きな縄文館を堪能して、出た頃にはお昼になっていました。
「げきにぼ、行ってみる?」
JBさんおすすめのお店に連れて行ってもらいます。
八戸の根城辺りに来るたびに足を運ぶという、中華そば まる井
駐車場が混んでいましたが、回転が早くて、すぐに座れました。



メニューは普通か煮干しかの二択。限定10色の特別濃いものは売り切れです。
みんなで煮干しにしました。
出てきたラーメンは、スープがスープの色ではありません。
「中が見えないー!!」



これが激にぼラーメン。
煮干しベースのラーメンは最近増えてきており、都内で食べる機会もありますが、青森の激にぼの濃厚さには遠く及びません。
煮干しをそのまま食べているような味。
なのにざりざりしておらず、マイルドな食感なのが不思議。
食べがいがあって、とってもおなかにたまりますが、胸やけはしません。
煮干しエキスをたっぷりとりました。
半年分くらいの煮干しを一気に摂取したような気分です。

青森の煮干しラーメン事情はどんどん強力になっているようです。
「げきにぼ」に収まらず、いまでは「デスにぼし」「やりすぎにぼし」なんてものも出ているそうな。
本当に、窒息しそうなほど濃い味です。美味しいのですが、「節度を越えている」という表現がぴったり!

げきにぼにくらくらしながら、その3に続きます。


青森南部のアメリカンタウン 4-1

2017-10-10 | 東北
3日目からの続きです。 

● 夜明け前の出発

この日は早朝に、日本一といわれる八戸の館鼻岸壁朝市に向かいました。
普段は何もない場所に、毎週日曜日の早朝にだけ出現する、日本最大級の市場。
大規模で大賑わいなのに、昼前には全て忽然と姿を消すという、蜃気楼のようなところが謎めいています。
八戸といったら美味しいお魚。知らない魚も上がっていそう。
行かない手はありません!

夜明け前に起きてホテルのチェックアウトを済ませ、5時にJBさんの車に乗り込みます。
辺りが徐々に明るくなっていくのを、寝ぼけ眼で眺めていました。



この日のメンバーも、カオリンと私。
ヂンさんは「3時に市場が始まる頃から様子を見届けたい」とバイクで先に行き、夜型のジェニーはパスしたためです。

前の日の下北に続く道路は、北海道の道のようにどこまでもまっすぐでしたが、八戸への道もまた一直線。
気持ちのいいドライブロードです。

● シャケつかみどり祭り

道中「おいらせ下田まつり」の話を聞きました。
八戸の隣のおいらせ町で11月に開催されるお祭りで、300匹くらいのシャケが奥入瀬川の特設いけすに放流されて、それを人が素手で摑まえるイベントがあるのだそう。
500円から1000円で入場できるつかみどりのお祭りで、捕まえたシャケはもらえるとのことで、地元の人にもアメリカ人にも大人気だそう。

JBさんも参戦したことがあるそうです。
「メスを捕まえたら、イクラも手に入るんだよ」
わー、やってみたい!魚を両手に抱えて、ハトヤのCMごっこができるわ!(関東限定のネタ)

そんなお祭りがあること、知りませんでした。
知っている青森のお祭りといったら、青森ねぶた、五所川原立ちねぶた、弘前ねぷた、八戸えんぶり・・・くらい。
(あ、鶴田町はげます会も!w)
知らない祭りは、日本中にまだまだたくさんあるんでしょう。

● 大盛況の朝市



日曜の早朝なので、前後に走っている車もいません。
途中までは道路独り占め状態でスイスイでしたが、八戸に着き、市場の前まで行くと、突如として自動車が長蛇の列を作っていました。
三方から車が市場の中に入ろうとやってくるため、押すな押すなの大混雑です。
こんなに人がいるなんてー!みんな早起きねー!
中に入っても、空いている駐車スペースを探すのがまた一苦労でした。

ようやく車から降りると、すでに会場は大混雑。ひといきれでムンムンです。
頭も体も半分目覚めていない状態ですが、ぼんやりしていると、すぐに二人とはぐれてしまうほどの人込みでした。

アラブの市場のような喧噪っぷり。
飛び交っているのは、ちょっとわかりづらい、くぐもった南部弁。
地元民ではないので、異邦人気分を味わえます。



岸壁にある市場なので、売られているのは魚がメイン。
それでも、魚以外のものもいろいろと売られています。

南部せんべいの耳が売られているのを見かけました。
好物なので(あれ買おう)と思いましたが、来たばかりだったのでそのまま通り過ぎたら、次に前を通った時には、もう完売していました。
私「えー、あっという間に売り切れちゃった!」
JB「みんな好きなんだよ。あると思ったらすぐに買わないと」
お得なものからどんどん売り切れていきます。みんな狩人モードなのね。

● 謎の売り物あれやこれや

変わった謎のものがいろいろと売られていました。
ええと、「あずきばっと」って、なに?



がまずみ(ジョミ)なるもの。マタギドリンクだそうです。
がまずみという響きがなんだかすごいですね。



このまま歩き出しそうな作物を発見。
「なにこれ?」「里いもの巣」
バラバラになるから、この形で売っているそうです。



ホヤが豪快に盛られています。
いいですねー。豊かな海の幸がいっぱい。



この時期に手に入る「ミズ」。食べたことがない人も多いでしょう。
でも「ムカゴ」も「カックイ」も知りません。



● 市場グルメ

「Don't miss it!」とJBさんにお勧めされたのが、しおてばのモモ肉の方。
下北の塩手羽は、この朝市の名物だそう。
長い行列に並んで買ってみました。



大きい!見るからにボリューミーです。
食べてみると、サクサクと香ばしいおいしさ!
早朝だからまだ食欲ないなあと思っていましたが、食べやすくてするすると頂いちゃいました。



青森のおでんは生姜たれ。なかなかイケます。



コーヒーをドリップで淹れている本格的なお店もありました。
その様子を横目で見ながら、私はリッチココアをチョイス。



● 豊かな海の幸

イカがたくさん!わあ、カニもすごい。
スルメイカもたくさん売られていました。ちょっと前までは不作だったそうですが、もう戻ってきたようです。
首都圏はまだイカ不足のまま。都心にイカが届くのは、もう少し後になりそう。



青森はヒラメの漁獲量日本一ですが、見かけないなあと思って、聞いてみました。
高級魚なので、あまり市場には出ないそうです。

串刺しの焼き魚が売られていました。
いろいろな魚がいて、足を停めて見入ります。
私はしおモモ肉でおなかいっぱいですが、地元名産に興味のあるカオリンは果敢に挑戦。
おいらんカレイをやめてカラスカレイを頼んでいました。
一口頂いたら、ほかほかでソフトな食感でした。



焼きウニ貝盛り!うわ、これは贅沢~。
と思ったらカオリン、またもや立ち止まっています。



カオリン「食べてみて~」
またもや一口お相伴にあずかりました。どうもご馳走さま~。
うん、新鮮な上にいい香りがして、食べてみるととろけるような旨味と甘みが口に広がります!
ほんとに贅沢!



なぜかキクラゲも売られており、キクラゲ好きとしては見逃せませんでした。
わー、買いたい!ああ、でも今は調理のできないホテル住まい。ということで見るだけに。



こちらもコーヒー屋さん。
わんこがおとなしくお店番をしていました。かわいい。



● メンバーと合流

すでにヂンさんがいるはずですが、この喧騒の中、まったくすれ違いません。
そこで連絡を取り合って合流しました。

少し疲れた顔をしていると思ったら、昨晩から一睡もしていないとのこと。
確かに、2時台にホテルを出たということですからね。
3時前に到着したものの、まだ何も市場ができておらず、だだっ広い岸壁しかなかったので、ここでいいのかかなり不安だったそう。
3時からぽつぽつ設営が始まったそうです。

「何か面白いものはあった?」と聞いたら「鈴虫とSurfaceが売られてた」とのこと。
鈴虫とSurface!幅広すぎ~!

市場というと築地を連想しますが、ああいったプロの市場とはずいぶん違って、近所の人たちが売るものを持ち寄って市場を盛りあげているような身近さがあります。 
売る側も買う側もおばあちゃんが多いです。
この市場の出店料は年間契約で、そう高くないため、門戸が広いそうな。



商売っけがあまりなくて、なんだかほのぼのしています。
コーヒーを飲んでいる私たちを見て「なんだかコーヒーが飲みたくなったから、買ってきて」と隣の人に頼んでいたおばあちゃんもいました。
カオリンが布草履を買ったら、おばさんが隣で売ってたリンゴをおまけにくれました。
青森らし〜い。

山菜採りに使うような竹で編んだ篭をしょってきてるおばあちゃんに何人も遭遇します。
運動会の紅白玉入れの籠を思い出しました。



ハックルベリーといったら、トム・ソーヤの親友ですよね。
山ぶどうでもあるんですねー。ブルーベリーの3倍のアントシアニンが含まれているそうです。



「これはなに?」
売っている人に聞きました。
タコのわたと、目だそう。
「わ~・・・」としげしげと見入って未知との遭遇を果たす私たちに「おいしいよー、買ってってー」と市場のおじさん。
キッチンがあれば、タメしてみるんだけどね~。



● ゆるいアナウンス

途中、放送が入りました。
「出店者の方に連絡です。先ほど台車を借りたお客様が、返すお店がわからなくなったそうです。心当たりのある出店者は、名乗り出て下さい」
思わずクスッと笑いました。なんというアナウンスでしょう。
周りのみんなもざわざわしています。
放送は続けて
「お友達に木村さんという方がいる人だそうです」
盛大に吹きました。周りからもどっと笑いが起きます。
「なにそれー!」
「木村さんが友達の人はたくさんいるだろうから、買った商品がなにかいう方がいいんじゃない?」
結局何を買ったか、品物の言及はありませんでした。

その後どうなったのかと気になって続編を待ちましたが、放送はそれきりでした。
あの情報で、無事お店の人と出会えたんでしょうね。
まあ、お店も台車を貸しているから、見当がついたんでしょう。
なんともユル~イ感じがイイ!

● イカドン56才

突如目の前に出現した大きな物体。
むむ、この後姿は何モノでしょう・・・?



気になって、正面に周ってみました。
虚無僧みたいだと思いましたが、全く違います。
う~ん、あなたは何者?
名札がついていました。「イカドン パパ 56才」
56歳!!パパがいるってことはママもいるんでしょうね。
この朝市の非公認キャラで、ファミリーがいるそうです。

人の波に合わせてしばらく後ろを歩いて行きましたが、イカドンは子供にも大人にも大人気。
「あっ、イカドンだ~♪」と近づいてきては、手を握ったり背中や肩を叩いていきます。
ヤンキー(?)も嬉しそう。みんなを笑顔にするイカドン、すごいわ。



市場には本当に何でも売っています。
さびた釘とか…古い網とか…。
ニーズあるのかな?



歩けば歩くほどカオスっぷりがわかります。
すごい行列ができていました。売っているのはしいたけのようですが。謎の人気です。



● ミキライフ

そういえば、リンゴの国に来たというのに、青森に来てからまだ一個も食べていなかったことを思い出しました。
未希(ミキ)ライフを初めて食べました。
「千秋(せんしゅう)」と「つがる」を掛け合わせた、この時期の早生りんご。糖度高めでジューシーです。

この未希ライフという名前、(ちょっと変わってるなー。ミキハウスみたい)と思ったら、弘前を舞台にしたNHK大河ドラマ『いのち』に由来しているそう。
主人公の「未希」と、タイトルの『いのち』→ライフをつなげたそうです。
ラグノオで出しているお菓子の『いのち』もおいしいですね。時々カルディでも売っています。



のんびり散策していたら、突然大粒の雨が降ってきました。
目下、台風が青森に接近中で、この日の天候は不安定。
雨は強くなる一方なので、バイクのヂンさんとお別れして、車に駆け込み、市場を後にしました。

寝ずに取材をしたヂンさんの記事はこちら。さすがはプロ、おもしろいですよー。
[石からSurface Proまで、日本一の朝市が自由すぎる!] デイリーポータルZ

その2に続きます。

青森南部のアメリカンタウン 3-2

2017-10-05 | 東北
その1からの続きです。 

● 隠れ家レストラン

鳴き砂浜を心ゆくまで駆け回っていたら、お昼になり、おなかが空きました。
「隠れ家レストランに行こう」というJBさん。
確かに、何の看板もないところで車道をそれて、林道に入っていきます。
これは知っている人でないと、たどり着けないわ。



本格的なログハウスのLog Restaurant 南川。オーナーが自分で作ったそうです。
『大草原の小さな家』みたい。  



林のなかにひっそりと立つお店ですが、人気らしく、駐車場には車が何台も止まっています。
中に入ると、テーブル席は満席でした。

● 青森県新ご当地グルメ

ランチメニューのヒラメ刺身重が気になりました。
このあたりで取れるヒラメづくしのランチのよう。
食べたかったのですが、人気メニューらしく売り切れでした。残念ー。

店内の旗に”「東通天然ヒラメ刺身重」は「田子ガーリックステーキごはん」に続く青森県第5番目の新ご当地グルメ”と書いてありました。
え〜。じゃあ1番から3番って、なに?
県民は当然知っているのかもしれませんが、他県民としては気になるところです。



調べてみると、青森県の新・OMOTENASHIご当地グルメは「深浦マグロステーキ丼」「平内ホタテ活御膳」「中泊メバルの刺身と煮付け膳」だそう。
マグロにホタテにメバル。う〜ん、たしかにどれも美味しそう!

食べたのは、東通牛のボロネーゼ。
その辺のパスタとは、お肉がちが~う!
(これにはいくら払ってもいい)と無条件に思える、満足の行くおいしさでした。



お腹も満ちて、ゆっくりと三沢方面に戻ります。

● 三沢クイーン

「昨日のお昼に一緒だったアンナさんって、三沢クイーンなのね」とカオリン。
「そうだよ」とJBさん。
「え~?」横で聞いていた私はびっくり。
三沢クイーンの写真は、町のパンフレットで何度も目にしています。
昨日のお昼には、アンナさんと対面に座って、親切にもそばつゆをよそってもらったりしていたのに、クイーンとは気づかず目の前のお蕎麦をもりもり食べていた私。
まさに花より団子~(^_^;)

車中で2人は、一次産業や食廃棄問題についていろいろ話し込んでいます。
その会話は後部座席の私の耳に次第に遠くなっていき、食後のまったり感でうつらうつら。

● 斗南藩記念観光村

はっと気づくと、車は結構戻ってきており、斗南藩記念観光村に着きました。
斗南藩って聞きなれない名前ですが、かつての青森には、津軽藩と南部藩しかなかったわけでないんですね。
たくさんの国があり、それが攻防を繰り返して、大きな二つの藩となっていったのです。

もともとは会津藩で、明治維新の際に新政府軍に敗れてお家断絶となりました。
のちに再興が許されましたが、その際、下北地方と二戸、三戸郡に移封されたそう。
つまり白虎隊からつながっている話なんですね。知りませんでした。

当時、はるかに都会だった会津からこの地方にやってきた人々が、厳しい北辺の地を必死に開拓した歴史が紹介されている場所です。

● 馬とJBさん

ここに「道の駅みさわ」と、JBさんが手がけている馬の牧場「くれ馬ぱーく」があります。
JBさんの携わっているビジネスの手広さに、あらためて驚きます。
仕事前に釣りやサーフィンを楽しんで、仕事ではバリバリ新しい企画を実行するという、人がうらやむワーク・ライフ・バランスを実現している方。
都心ではできないことですね。



牧場に向かいながら「ここにいるのは、みんな女の子」とJBさん。
遠くから彼を見つけて、まっすぐに駆け寄ってくる馬がいます。賢いですね。
「これは一番の姉御肌のムーラン」といって首を撫でながら「かわいいねえ、お前ほどかわいい子はいないよ」とやさしく話しかけるJBさん。
その様子は、まるで三沢のヒュー・へフナー!(ほめ言葉ですよ~、笑)



新参者の私たちは、馬たちにニンジンをあげてふれあいました。
間近で見ると、やっぱり大きい。



どの馬も、みんなとても人懐こいです。
優しい目をしていて、かわいい~。
 


● 南部と名馬

JBさんの馬への熱い思いは限りなく、いろいろな話を教えてもらいました。

平安時代、この地方は名馬の産地だったそう。
六ケ所付近には、馬に関係する地名が今でもたくさん残っています。
そのため、馬につける馬具も作られていました。
地域ごとに担当作業が変わる分業制で、場所を移動するにつれて少しずつ馬具が仕上がっていくという合理的なシステムだったそうです。

南部藩になっても名馬の産地であり続けたこの地方には、9つの藩牧(藩政牧場)があり、江戸時代には、三沢付近に藩牧最大の「木崎の牧」がありました。
今でも残っている一戸、八戸、という地名は、馬が通り抜ける戸を意味するそうです。
人の住む村を番号制にしていたのかと思いましたが、馬の管理方法だったとは。
四戸がないのは、単に縁起が悪いからじゃないかな?とのこと。
少し前までは、旅館でも4号室などありませんでしたからね。

● 昭和の古民家

私が車中でうとうとしている間、リノベーションの話題になっていたようです。
JBさんに、最近買ったばかりだという牧場近くの古民家を見せてもらいました。



本当の昭和の古い建物。
今は廃墟ですが、入ってみると天井が高く、欄間や襖が凝っています。
部屋を増築して洋間スペースもありました。
かつての住民は、ここで豊かな生活を送っていた様子。
しっかりした作りなので、内装を整えたらきっと見違えることでしょう。

カオリンはプリミティブ・テクノロジーというユーチューバーにはまっているそうです。
何もかも自分の手で作っていくオーストラリア人だとか。
「それ、俺もできるかも」
ええ、JBさんも十分ワイルドなユーチューバーになれそうです。

● 生い茂る緑の葉

「これ、なんだと思う?」と質問されました。
「う〜ん?」と考える私達。
ぶどう畑のようだけれどちょっと違うし・・・。



答えは、このあたりの名産の長芋でした。
地表にこんなに緑の葉を茂らせて、お芋は地中で育つのです。
青々とした畑が、あたり一面に広がっていました。

● シティホールこけし

いろいろとみて周っているうちに、夕方が近づいて風が冷たくなってきたので、釣りはやめることに。
この日の宿まで送ってもらい、JBさんとお別れしました。

この日から、町なかのルートイン泊です。
チェックインをして部屋に入ると、ヴィードル号の解説がついたウェルカムメッセージがありました。



荷物を置いて、一人で辺りを散策します。
ホテルは米軍基地の入り口そばにあり、通りを反対側に歩いていくと、すぐに市役所がありました。
City Hall Streetと、通りの名前が英語表記になっているのは、さすがアメリカ人の多い町。



市役所前には、例の大きな姉妹こけしがいました。
駅、小川原湖、市役所と、ビッグこけしを見るのは3か所目。
ちょっとこわいですが、この辺りもこけしが伝統品なのでしょうか。



● 月光仮面は仏の教え

市役所の向かいの公会堂には、月光仮面の碑がありました。
これ見たかったのよね~。

ボタンを押すと「ど~このだ~れかはしらないけれど~♪」と月光仮面のテーマソングが流れはじめました。
歌は何番もあって結構長く、さらにそのあと音声ガイドが続いて、なかなか終わりません。
近くのベンチに、善良な市民が座っています。
ボタンを押した手前、大音量の説明を流したまま立ち去りかねて、最後までしっかり聞きました。



月光仮面の作者川内康範は、北海道出身ですが、三沢市に住んでいたそう。
在住20年を記念して2001年11月7日市に寄贈した碑でした。

なんと月光仮面は、薬師如来の脇侍の月光菩薩から発想を得たんだそう。
「憎むな 殺すな 赦しましょう」という言葉が書かれています。
それは仏教の教えから来ているんですね~。
たしかに、この石碑を手掛けたのは仏教会。
それでも、奥様は外国の方だったようです。そこはまた別の話ね。

● イカのパイ?



三沢グルメにパイカというものがあります。
豚バラ軟骨のことだそうですが、聞き慣れない響き。
イカのパイかと思いました。

なぜかというと、旅の帰りに八戸名物「サバップル」を買って帰ろうともくろんでいるからです。
サバがアップルパイの中に入っているんですよ。
気になるでしょう?(笑)



きれいな夕焼けに、町がピンク色に染まります。
小川原湖からも、きれいに見えていることでしょう。



昨日行ったアメリカンバー「Your Place」の前に行ってみました。
横須賀ドブ板通りは、夜一人では歩きませんが、ここは基地のそばを散歩しても、全然怖さはありません。
かっこいいバイクが停まっていました。



八戸のバイクのナンバープレートはウミネコと蕪島で、三沢のバイクプレートはミスビードル号。
バイクだけど飛行機。



● アメリカンなショッピング

基地の入口そばに建つ、大きなスカイプラザにやってきました。



中に入ってみると、びっくりするほどアメリカン。
一瞬、立ちつくします。



マネキンが着ているのは、かつての三沢航空隊パイロットの服。
ファーつきでモコモコ。寒いからでしょうね。



● 全てがXLサイズ

アメリカのグッズだけでなく、食料品もみんなお化けサイズです。
500gのカルビーポテトチップスが売られていました。
こんなサイズ、見たことなーい!2つ買うと1キロですよ。
驚いていたら、さらに別ブランドで1.5kgのチップスもありました。



スパムが各種ズラリと並んでいます。
ここは沖縄?



ダウニーも棚いっぱいに各種ラインアップが揃っています。
いつでもアメリカンな生活を始められますね。



ついぞ見たことのない、新宿木村屋のビッグな蒸しパンも売られています。
レジの横には、本日のレートが出ていました。



本当にここは、日本の中のアメリカ。
人々の生活にも、しっくりなじんでいるようです。

● 三沢バラ焼き

夜には、メンバー4人でJBさんおすすめの「赤のれん」の前で落ち合いました。
居酒屋ではありません。「バラ焼き発祥の店」と看板に出ています。
B級グルメの十和田バラ焼きが有名ですが「バラ焼きはもともとは三沢のものなのに!」と、市民はおかんむりのようです。

お店の前の通りにまで、濃厚なたれのにおいが充満しており、食欲が刺激されます。
人気のお店で、すでに中に入れないほどの行列ができています。
風が冷たくなってきて、丸くなりながら順番を待ちました。



ヂンさんはいつもおもしろいTシャツを来ているので、それをチェックするのが毎日の楽しみ。
この日は、タイで買ったというスターウォーズの中国語版のTシャツでした。
私たちの番になって中に入ると、店内も昭和感満載。



メニューにある、バラ焼き、豚バラ、上バラ焼き、もつを頼みます。
次々に豪快なお肉がやってきました。
中でも、やっぱりバラ焼きが一番おいしかったです。



● メンバー報告会

ハードな二日酔いを切り抜けたジェニーとヂンさんは、復活したとはいえやっぱり静か。
それでも日中は、コワーキングスペースの人に十和田湖ドライブに連れて行ってもらったそうです。
十和田のルパンに会ったと、写真を見せてもらいました。
うん、格好はルパンなおじいちゃん・・・。

翌日は、八戸の館鼻朝市に連れて行ってもらう予定。
朝3時に始まり、7時ごろには片付ける店が出てきて、昼には忽然と、跡形もなく消えるという市場。
日本一の規模だそうです。
気になるわ~。

取材に燃えるヂンさんは「開店の様子を見たいから、バイクで3時に行く」とのこと。
そこまで早くなくてもいい私たちは、朝5時に集合することに。
それでも起きれるか心配だわー。

翌朝が早いため、この日の夜は食事をしただけで、健全に解散します。
「今夜が飲みだったら、宿が近いから、昨晩のような苦労をせずに済んだのに!」
とみんなで笑いました。

宿やコンビニが近いので、町なかにいるととても便利。
でも湖のほとりでの時間も、なにものにも代えがたい、いいものでした。

4日目に続きます。


青森南部のアメリカンタウン 3-1

2017-10-04 | 東北

2日目からの続きです。 

● 静かな湖畔の朝

前日のように物騒なアラートで起こされることなく、ぐっすりと眠れた夜。
あのアラートが鳴らされたのは北関東以北の地域限定だったそうですね。横浜の親も友人も聞かなかったとのこと。
2度も飛び起きることができたなんて、なんてラッキー!(やけくそ)

早朝に一度起きた時、毎朝3時起きのJBさんから「みんなちゃんと帰ってる?」とメッセージが入っていたので、ジェニーのベッドを見てみました。
布団の中から手が出ていたので、ひと安心。「戻ってきてる」とレスを送ります。
夜はもう冷える時期。少し身を起こしただけで寒くなり、布団の中にもぐって、再びぬくぬくと寝に入りました。







● 二日酔いメンバー

外が明るくなり、さわやかな朝になりました。
ところが、カオリンと私が起きた後も、ジェニーは布団の中から出てきません。
朝ご飯を作って食べる時になってもまだ寝ているので、「起きて~」と声をかけます。
「起きれない~」と布団の中から地を這うような声。
気持ちが悪いようなので、そのまま寝ててもらい、JBさんに出発を1時間延ばしてもらいました。

コテージ滞在はこの日まで。片づけて、後にします。
JBさんがやってきて、車に乗せてもらいながら、夕べ別れてからの話をしました。

「三沢で、このコテージが分からないタクの運ちゃんなんているかなあ?」とJBさん。
私たち「でも首をひねっていたから、行先を温泉に変えてもらって、結局山道を歩いて帰って」
JBさん「"コテージ"っていう言葉がわからなかったのかも。"小屋"って言えば通じたんじゃない?」
私たち「小屋ー!?」

小川原湖畔に立つ2体のこけし。
あまりの巨大さに、最初に見た時にはビックリしました。湖ゆかりの伝説の姉妹だそうです。



● 二日酔いメンバーその2 

ヂンさんのいるやすらぎ荘へ向かいました。
外から「ヂンさーん!」と呼びますが、反応ありません。
JBさんが中へ入っていき、少ししてから2人が出てきました。
ヂンさんは寝癖が付いた、アトムみたいな頭で登場です。

「僕が行ったとき、ヂンさんまだ寝てたよ」と苦笑するJBさん。
「ウ~ン」と、返事にならないうめき声を出すヂンさん。
ジェニー同様、彼も相当こたえているようです。

「2人とも何時に帰ってきたの?」と聞くと「えー、2~3時じゃない?」と言いますが、
「私たち、2時半まで起きてたから、違うよ」と言うと「あれ~?」とよくわかっていない様子。
どうやら4時過ぎくらいのようです。そりゃあ起きれないわ。

夕べはあのあと、2人で何軒ものバーを渡り歩き、何杯飲んだのか、覚えていないそう。
お財布の減り具合から、かなり行ったらしい、とのこと。
「アメリカン・バーを数軒ハシゴしてから、昭和ネオン街に引き寄せられて、ディープなスナック巡りをしてきたよ」
そういって、マッチを見せてもらいました。

● そしある魔洞無奈



魔洞無奈!これ、読めますか?「マドンナ」ですってー!
すごい漢字~(゚〇゚;) ディープです。
これは魔洞に吸い込まれて戻ってこれないわ。南無三!
ヂンさんは、マドンナのママさんとカラオケをしたり、頼まれて絵を描いてあげたそう。
スナックをエンジョイしてますね。おとな〜。

しかし帰りのタクシーで宿に着いたまでは良かったものの、宿の受付が終了していたために彼は部屋の鍵がもらえず、畳敷きの休憩室で横になって寝たそうです。
なんというワイルドナイト!

そんなディープな夕べを私たちに伝えるのがやっとの、フラフラな2人。
「日光が目に刺さる・・・」「車に酔いそう・・・」「動けない・・・」
今日は調子が戻るまで、コワーキングスペースで休み休み仕事をするそうです。
2人とも、早く元気になってねー。

● 晴れなので砂浜へ

というわけで、元気なカオリンと私でレンタカーを借りてどこかにドライブしようかと話していたところに、JBさんが
「明日、雨が降りそうなので、今日鳴き砂へ行こう」と言いました。
湿気ると、砂浜の音が鳴らなくなるので、予定を変えようとのこと。
突然の変更になりましたが、問題ありません。
じゃあ、砂浜にゴー!
3人で、一路北を目指します。



乗せてもらっているJBさんの4WDの真ん中に、長い釣り竿がありました。
カオリンが釣りに興味があると話したため、一応持ってきたとのこと。
今ヒラメ釣りにハマっているというJBさん。そんな高級魚が釣れるなんて、すごい!

● 翼よあれがウェナッチの灯だ

海のように広い小川原湖。本当の海が見たくなってきたと話すと、JBさんはグイッとハンドルを回し、車は北ではなくまず東に向かいました。
海だー!
海岸まで行ってから、国道338号線を海沿いに北上します。



そして、ミス・ビードル号が飛び立った淋代海岸に連れて行ってもらいました。
白砂青松100選の美しい海岸に、太平洋無着陸横断記念碑が建っています。



1931年(昭和6年)にここから飛び立ったミス・ビードル号は、41時間10分かけて初めて太平洋を無着陸横断し、7,847km離れたワシントン州ウェナッチに着陸しました。
その縁で、ウェナッチと三沢は姉妹都市だそう。



飛行士は、アメリカ人のパングボーンとハーンドンの2名。
ロマンが広がりますね~。
ちなみに、リンドバーグが大西洋単独無着陸飛行に初めて成功したのは、1927年のこと。
スピリット・オブ・セントルイス号のニューヨーク・パリ間の飛行距離は5,810kmだったそうですから、それより長距離を飛んだことになります。
あまり知られていませんが、日本ではもっと有名になってもいいですね!





● 群青の海

海の色が濃く見えるのは、北の海だからかと思いましたが、この辺りの砂に鉄が入っているため、海が黒く見えるそうです。
強風にあおられながら、2人のサーファーたちが海に入っていくところでした。



浜辺には、いろんな貝がたくさん打ち上げられていました。
ムール貝やつぶ貝もあって、食には困らなそう。





ひとしきり海岸の風にあおられてから、再び車に乗りました。
南北に通る道路の右側は松林、その向こうに海岸。左側は見えませんが湖。
大きな湖なので、まだまだ小川原湖の湖畔にいます。

● 仏沼のあたり

小川原湖には、太平洋の海水が、高瀬川を通じて入り込んでいる汽水湖。
その北側、国道338号線と県道170号線の間辺りに、仏沼の表示があります。
沼といっても、ドーンと水をたたえた場所があるわけではなく、その辺りの葦原の湿地帯を仏沼というそう。
ラムサール条約の登録地となっており、レッドリスト(絶滅危惧)に指定された野鳥、オオセッカの生息地。

北海道野付半島の、枯れたトドワラ、ナラワラを思い出しました。
ちなみにラムサールとは、イランの都市だそうです。

● 卵直売所のプリン

途中、卵直売所に寄りました。
すぐ裏に養鶏所があるそう。
「プリン、あるかな〜♪」とそわそわする私。
ありました!こういうところのプリン、大好きなんです!
もちろん濃くて極上の味!!







近所の農家で作られた野菜がとても安く売られていました。



にんにくたくさん。今話題の黒にんにくもありました。



● 原発マネー

下北へと続く道、ルート338はひたすらまっすぐ。曲がりくねっておらず、どこまでも直線で続く様子は北海道のようです。
途中、六ケ所村を通りました。
核燃料の再処理工場がある場所です。

道路沿いに見えるかな?とキョロキョロ。
そう思ってみると、どの建物も再処理工場のように思えてきますが、この道路からは見えないようでした。



道路がまっすぐでよく整備されているのは、巨額の原発マネーが動いているから。
六ケ所原燃PRセンターもあり、JBさんは渋い顔。
日本中の原発から核の使用済み燃料が集められるわけですから、当然ですね。
複雑な気持ちで、新しいトンネルをくぐります。



亡き叔父が六ヶ所高校の教頭をしていた時期があり、原発推進派と反対派に分かれる村民の間に立って、とても大変だったと聞いています。
初めて村に入り、周りを見回しながら、叔父の苦労を思いました。

さらに北上すると、東通村に入りました。
(福島の中通りや浜通りみたいな地名かな?)と思いましたが、あちらは地域名でこちらは村名。
下北半島にある結構広い村で、「原子力発電所予定地」と書かれた敷地がありました。
予定では今年からこの原発が稼働しているはずでしたが、東日本大震災により計画が停まっているそうです。
実際にここにできたら、六ヶ所村と東通村に原子力関連施設が立ち並ぶことになります。

やりきれない気持ちになりますが、これは産業が発展しづらい寒冷地の苦渋の選択。
寒立馬のいる尻屋崎からほど近い、風光明媚な地域なだけに、いっそうやるせなさが募ります。
そしてここに、目的地の砂浜があるのです。

● 日本一の砂丘

広い防衛庁の敷地の横に到着しました。
ほとんど知られていませんが、日本一広大な砂丘は、鳥取ではなく、ここ青森にあります。
ここが知られざる日本最大の砂丘、猿ヶ森砂丘の一部です。



砂丘のほとんどは防衛装備庁の下北試験場(弾道試験場)の敷地敷地内にあり、残念ながらフェンスの中に入ることはできません。
かつては入れたそうですが、ここは防衛省が新しいミサイルや爆弾などの兵器をテストする射爆場。
落とした空のミサイルを持ち帰って高値で売りさばくフトドキ者が横行したため、立ち入り禁止になったそう。
(あ~あ)

そのため、実際には鳥取砂丘の30倍の広さがあるというのに、鳥取のように広々とした景色は楽しめないのです。 

透明できれいな水。
防衛庁や原発ができるよりずっと前からあった砂丘は、人間の都合とは関係なく、静かな美しさを保っています。







● 鳴き砂で遊ぶ

裸足で砂丘に立ちました。
白いサラサラした砂が広がる、夢のようにきれいな場所。
砂漠のようだけれど、隣にはごうごうと波打つ海。



観光地ではないため、見渡す限り誰もいません。
この世に私たちだけしかいないような、不思議な気分です。





「足に力を込めて走ると、チュン、チュンと言うよ」とJBさん。
本当に「キュッ、キュッ」と音がします。



みんなすっかり子供に戻り、夢中になって砂浜を駆け回りました。

猿ヶ森砂丘の鳴き砂(2017.9.16)


しばらくはしゃいで遊んでいたら、砂だらけになりました。



その2に続きます。