○ プロローグ
今年は巡礼の年です。
これまでは『巡礼の年』と聞くと、リストのピアノ曲集しか思い浮かばない、つまりふんわりしたイメージの縁遠いものでしたが、去年辺りから、本格的に巡礼デビューを果たしました。
午年は、観音様にゆかりがあるため、あちこちでご開帳が行われるのです。
12年に一度の年ですし、12年後は足腰がどうなっているかわからないので(なんて後ろ向き発言)、今年巡礼に挑戦してみようと思いました。
寒い冬が終わり、春がやってきました。
いよいよ外出の季節です。
まず1日目は、坂東三十三観音めぐり。
○ 筑波エクスプレスの中
一緒に向かうのは、家の近いヒナヒナ。
近くの駅で会えますが、定期のルートが違うため、秋葉原で待ち合わせて筑波エクスプレスに乗りました。
ホームは人でいっぱい。電車の中も混んでいます。
(みんな、山に登るのかな?それともお寺巡り?)
あきらかに、どちらでもない、ちょっとおめかしした平地用の格好の人ばかりです。
(なんて山女、もしくは寺女目線なんでしょう)
前回会った時、血糖値が下がって体力が続かず、しおしおになってしまったヒナ。
「今日は、パワーを持続させるために、はりきってたくさんパンを買ってきたよ」
「ほら!」とバッグを開けて見せてくれると、中にはランチパックがぎっしり。
「わ~、こんなに?大人買い!」
いろんな味がありました。なぜにランチパックばっかりなんでしょうね?(笑)
「でもね」と悲しげな顔つきになるヒナ。
「御朱印帳を忘れちゃったんだ」
え~、それは残念。
今回は、お寺にご朱印をもらいにいく旅なのです。
まあ、紙にいただくこともできるので、なんとかなるでしょう。
○ JAXA(筑波宇宙センター)を横目に
終点のつくば駅に着くと、乗客はほぼ全員、JAXA(筑波宇宙センター)のシャトルバスに乗り込んでいきました。
そう、この日はJAXAの一般公開日。
ぜひとも見学したい!と思ったので、この日に合わせて筑波方面を訪れることにしたのです。
ただ、バスの時間を調べてみると、この日二つのお寺を回るためには、JAXAには正味20分くらいしかいられないことに。
無理して行っても、それじゃあ全然堪能できないわー。
「二兎を追っちゃいけないね」と、あきらめたのでした。
JAXA行きのぎゅうぎゅうのバスをうらやましく見送って、こちらは山へと向かいます。
去年も訪れた、筑波山。
その時には、坂東巡礼をするとはまだ考えていなかったため、神社と山登りだけして、隣のお寺には寄りませんでした。
ああ、その時から心を決めていれば、そのとき一緒に参拝できたのに・・・
でも去年はご開帳していませんでしたからね!
○ 松屋ドライブスルー
「あ、松屋のドライブスルーがある」
言われた方を見ると、本当に大きな看板がありました。
初めて見ました~。
ドライブスルーといったら、マックやケンタッキー。
一週間前に、スタバも車中経験したばかり。
どれも、信号待ちの間にパクつくことができるファストフードです。
松屋の丼ものはお箸を使うため、運転しながら食べるのはどう考えても無理。
それでもニーズがあるんでしょうね。
○ 筑波山神社
どんどん坂を上っていったバスを降りると、山の寒さにぶるっと震えがきました。
筑波山神社はおごそかな雰囲気の漂う古社。再訪できて嬉しいです。
お気に入りの狛犬たちとも再会しました。
神社の隣に、今回目指す大御堂がありましたが、大きな鳥居に朱塗りの橋が出迎える、華やかな神社に比べて目立たず、気づかずに通り過ぎる人も多そうです。
私たちも、まずはお寺に行くつもりでしたが、お寺への道が分からず、気がつくと神社に向かっていたため、そのまま先に神社を参拝しました。
同じバスには、10代とおぼしき欧米人の少年が一人で乗っていて、私たちと同じバス停で降りました。
どうやら一人で神社参拝をするようです。
珍しいなと思いました。趣味がシブいわ。
前に来た時にはハデハデしく口上を述べていたがまの油売りは、休憩中で静かでした。
いつも同じ場所でパフォーマンスを行っているんですね。
拝殿の巨大な鈴に、あいかわらず圧倒されました。
お祈りしている時に頭上に落ちてきたら、あまりにも天罰すぎて笑えません。
ドリフの金だらいどころじゃないもの。
なんて雑念にとらわれていた、私の願いはちゃんと神様に届いたかしら?
○ 筑波山大御堂
神社からお寺へと向かいます。私たち以外には人がいない、静かな境内。
観音様を拝観し、般若心経を読経し、参拝を済ませて、さあ、ではご朱印を頂こうと、寺務所へ向かいます。
ただ、扉は閉まっていました。
「昼休み」という看板が、下がっていました。
ハッとして、時計を見ます。
12時3分。わ~~、なんてこと!!
昼休みがあるお寺があるということを、すっかり忘れていました。
般若心経は、後でもよかったのに~。
無心で読んでいるうちに、寺務所の扉は静かに閉まったのでしょう。
13時までは、扉は再び開きません。こうなったらもう、待つしかないのです。
ただ、そのあとに乗りたいバスは、7、8分くらい歩いたところにあるバス停に、13時10分にやってきます!
こ、これは間に合うかしら・・・?
青い顔をして、お互い目を見合わせます。
交通の便が悪い上に、次の目的地にはバスを乗り継いでいくため、これを逃すと次のお寺にたどり着けるか、わからなくなってしまいます。
うわーん、どうしましょう。
(初めから注意して、神社より先にお寺からお詣りするんだった)
(まずご朱印を頂いてから、じっくり参拝するんだった)
いろいろと後悔が頭をよぎりますが、もはやどうしようもありません。
「いったん落ち着こう、自分たちもお昼にしよう」と、門前の食堂に入りました。
○ 親子丼と他人丼
筑波山は、うどんが有名。
なんですが、筑波地鶏の親子丼にしました。
だってスタミナが必要そうだから。
運ばれてきました。むふ~ん、おいしそう。
「いま気がついたけど・・・親子丼って、なんか残酷だね」とヒナ。
「親子並みに鶏と卵の年齢が違うだけで、本当に親子なのかは分からないよ。DNA鑑定しないとね」と私。
あまりにもムードに欠ける言い方でしたが、繊細なヒナのハートは持ち直したようで、完食していました。
「他人丼もあるって知ってる?」と聞くと「知らない。。。うそ!」
またガラスのハートにひびが入りかけてしまいました。
確かに他人丼って見ませんね。実際にメニューで見たことって、一度くらいしかない気がします。
周りはほとんどうどんかそばを頼んでいたようで、あちこちからズルズル・・・と麺をすする音が聞こえてきました。
食べるのがのろい私。なにやかにやで時間が近づいてきます。
少し早めにお寺に戻り、寺務所の前で待っていると、5分くらい前に気がついてもらい、中から扉を開けてもらえました。
ゾンビのような悲壮な顔をして待っていたのかしら。
なにはともあれ、ありがたいわ~。
○ ぎりぎりセーフ
さきほど同じ食堂にいた、いまどきの学生風のカップルが、御朱印帳を持って私たちの後に並んでいました。
少しお寺の方と言葉を交わしながら、ご朱印を頂き、外に出たのがちょうど1時。
途中まで小走りで向かいましたが、「これなら間に合いそう」と判断して、それでもバス停まで早足でいきました。
「私たちの後ろにいたカップルも、お昼を取って昼休み時間が終わるのを待ってたのかな?」
「あの二人もまさかの坂東巡礼者・・・?」
「いやー、そんなことないでしょう。単にご朱印をもらっていただけじゃない?」
確かにバス停に着いても、時間通りにバスがやってきても、さっきの二人は駆け込んできませんでした。
それから次のバス停まで乗ります。
(一つだけなら、歩いていけそうかな)と思いましたが、ノーノー、とんでもありません。
誰も乗り降りしないから止まらないのであって、距離はすごーく長いのです。
くねくねと幾重にも蛇行する山道を、バスはどんどん降りていきました。
その2に続きます。
今年は巡礼の年です。
これまでは『巡礼の年』と聞くと、リストのピアノ曲集しか思い浮かばない、つまりふんわりしたイメージの縁遠いものでしたが、去年辺りから、本格的に巡礼デビューを果たしました。
午年は、観音様にゆかりがあるため、あちこちでご開帳が行われるのです。
12年に一度の年ですし、12年後は足腰がどうなっているかわからないので(なんて後ろ向き発言)、今年巡礼に挑戦してみようと思いました。
寒い冬が終わり、春がやってきました。
いよいよ外出の季節です。
まず1日目は、坂東三十三観音めぐり。
○ 筑波エクスプレスの中
一緒に向かうのは、家の近いヒナヒナ。
近くの駅で会えますが、定期のルートが違うため、秋葉原で待ち合わせて筑波エクスプレスに乗りました。
ホームは人でいっぱい。電車の中も混んでいます。
(みんな、山に登るのかな?それともお寺巡り?)
あきらかに、どちらでもない、ちょっとおめかしした平地用の格好の人ばかりです。
(なんて山女、もしくは寺女目線なんでしょう)
前回会った時、血糖値が下がって体力が続かず、しおしおになってしまったヒナ。
「今日は、パワーを持続させるために、はりきってたくさんパンを買ってきたよ」
「ほら!」とバッグを開けて見せてくれると、中にはランチパックがぎっしり。
「わ~、こんなに?大人買い!」
いろんな味がありました。なぜにランチパックばっかりなんでしょうね?(笑)
「でもね」と悲しげな顔つきになるヒナ。
「御朱印帳を忘れちゃったんだ」
え~、それは残念。
今回は、お寺にご朱印をもらいにいく旅なのです。
まあ、紙にいただくこともできるので、なんとかなるでしょう。
○ JAXA(筑波宇宙センター)を横目に
終点のつくば駅に着くと、乗客はほぼ全員、JAXA(筑波宇宙センター)のシャトルバスに乗り込んでいきました。
そう、この日はJAXAの一般公開日。
ぜひとも見学したい!と思ったので、この日に合わせて筑波方面を訪れることにしたのです。
ただ、バスの時間を調べてみると、この日二つのお寺を回るためには、JAXAには正味20分くらいしかいられないことに。
無理して行っても、それじゃあ全然堪能できないわー。
「二兎を追っちゃいけないね」と、あきらめたのでした。
JAXA行きのぎゅうぎゅうのバスをうらやましく見送って、こちらは山へと向かいます。
去年も訪れた、筑波山。
その時には、坂東巡礼をするとはまだ考えていなかったため、神社と山登りだけして、隣のお寺には寄りませんでした。
ああ、その時から心を決めていれば、そのとき一緒に参拝できたのに・・・
でも去年はご開帳していませんでしたからね!
○ 松屋ドライブスルー
「あ、松屋のドライブスルーがある」
言われた方を見ると、本当に大きな看板がありました。
初めて見ました~。
ドライブスルーといったら、マックやケンタッキー。
一週間前に、スタバも車中経験したばかり。
どれも、信号待ちの間にパクつくことができるファストフードです。
松屋の丼ものはお箸を使うため、運転しながら食べるのはどう考えても無理。
それでもニーズがあるんでしょうね。
○ 筑波山神社
どんどん坂を上っていったバスを降りると、山の寒さにぶるっと震えがきました。
筑波山神社はおごそかな雰囲気の漂う古社。再訪できて嬉しいです。
お気に入りの狛犬たちとも再会しました。
神社の隣に、今回目指す大御堂がありましたが、大きな鳥居に朱塗りの橋が出迎える、華やかな神社に比べて目立たず、気づかずに通り過ぎる人も多そうです。
私たちも、まずはお寺に行くつもりでしたが、お寺への道が分からず、気がつくと神社に向かっていたため、そのまま先に神社を参拝しました。
同じバスには、10代とおぼしき欧米人の少年が一人で乗っていて、私たちと同じバス停で降りました。
どうやら一人で神社参拝をするようです。
珍しいなと思いました。趣味がシブいわ。
前に来た時にはハデハデしく口上を述べていたがまの油売りは、休憩中で静かでした。
いつも同じ場所でパフォーマンスを行っているんですね。
拝殿の巨大な鈴に、あいかわらず圧倒されました。
お祈りしている時に頭上に落ちてきたら、あまりにも天罰すぎて笑えません。
ドリフの金だらいどころじゃないもの。
なんて雑念にとらわれていた、私の願いはちゃんと神様に届いたかしら?
○ 筑波山大御堂
神社からお寺へと向かいます。私たち以外には人がいない、静かな境内。
観音様を拝観し、般若心経を読経し、参拝を済ませて、さあ、ではご朱印を頂こうと、寺務所へ向かいます。
ただ、扉は閉まっていました。
「昼休み」という看板が、下がっていました。
ハッとして、時計を見ます。
12時3分。わ~~、なんてこと!!
昼休みがあるお寺があるということを、すっかり忘れていました。
般若心経は、後でもよかったのに~。
無心で読んでいるうちに、寺務所の扉は静かに閉まったのでしょう。
13時までは、扉は再び開きません。こうなったらもう、待つしかないのです。
ただ、そのあとに乗りたいバスは、7、8分くらい歩いたところにあるバス停に、13時10分にやってきます!
こ、これは間に合うかしら・・・?
青い顔をして、お互い目を見合わせます。
交通の便が悪い上に、次の目的地にはバスを乗り継いでいくため、これを逃すと次のお寺にたどり着けるか、わからなくなってしまいます。
うわーん、どうしましょう。
(初めから注意して、神社より先にお寺からお詣りするんだった)
(まずご朱印を頂いてから、じっくり参拝するんだった)
いろいろと後悔が頭をよぎりますが、もはやどうしようもありません。
「いったん落ち着こう、自分たちもお昼にしよう」と、門前の食堂に入りました。
○ 親子丼と他人丼
筑波山は、うどんが有名。
なんですが、筑波地鶏の親子丼にしました。
だってスタミナが必要そうだから。
運ばれてきました。むふ~ん、おいしそう。
「いま気がついたけど・・・親子丼って、なんか残酷だね」とヒナ。
「親子並みに鶏と卵の年齢が違うだけで、本当に親子なのかは分からないよ。DNA鑑定しないとね」と私。
あまりにもムードに欠ける言い方でしたが、繊細なヒナのハートは持ち直したようで、完食していました。
「他人丼もあるって知ってる?」と聞くと「知らない。。。うそ!」
またガラスのハートにひびが入りかけてしまいました。
確かに他人丼って見ませんね。実際にメニューで見たことって、一度くらいしかない気がします。
周りはほとんどうどんかそばを頼んでいたようで、あちこちからズルズル・・・と麺をすする音が聞こえてきました。
食べるのがのろい私。なにやかにやで時間が近づいてきます。
少し早めにお寺に戻り、寺務所の前で待っていると、5分くらい前に気がついてもらい、中から扉を開けてもらえました。
ゾンビのような悲壮な顔をして待っていたのかしら。
なにはともあれ、ありがたいわ~。
○ ぎりぎりセーフ
さきほど同じ食堂にいた、いまどきの学生風のカップルが、御朱印帳を持って私たちの後に並んでいました。
少しお寺の方と言葉を交わしながら、ご朱印を頂き、外に出たのがちょうど1時。
途中まで小走りで向かいましたが、「これなら間に合いそう」と判断して、それでもバス停まで早足でいきました。
「私たちの後ろにいたカップルも、お昼を取って昼休み時間が終わるのを待ってたのかな?」
「あの二人もまさかの坂東巡礼者・・・?」
「いやー、そんなことないでしょう。単にご朱印をもらっていただけじゃない?」
確かにバス停に着いても、時間通りにバスがやってきても、さっきの二人は駆け込んできませんでした。
それから次のバス停まで乗ります。
(一つだけなら、歩いていけそうかな)と思いましたが、ノーノー、とんでもありません。
誰も乗り降りしないから止まらないのであって、距離はすごーく長いのです。
くねくねと幾重にも蛇行する山道を、バスはどんどん降りていきました。
その2に続きます。
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