ringoのつぶやき

音楽、ガーデニング、株、社会経済政治、etc・・・・日常の色々なことを書きたいと思います。

「独眼流」石井久・立花証券元社長に聞く

2013年12月25日 18時23分29秒 | 

(1) 資本の逃避に備えよう 円の大幅安時代が来る 株は来年2割上昇も

 

2012年末の安倍晋三政権の発足から、日本株は曲折を経ながらも上昇基調をたどり、24日は日経平均株価が1万6000円台を一時回復した。消費税増税が実施される来年は十二支の午(うま)年。上昇相場が下降に転じるなど変動の年とされる。来年以降の相場はどう動き、株価変動のリスクに個人投資家はどう備えれば良いのか。1953年のスターリン暴落を予言して「相場の神様」と呼ばれ、「独眼流」のペンネームでも知られる立花証券元社長(現立花商事会長=90)の石井久氏に聞いた。


 ――日経平均株価は年初から5割上昇しました。来年の株式相場をどう展望しますか。


 「来年はもちろんですが、あと3年くらいはかなり明るい相場でしょう。強気でいいと思います。経済全体は縮んでいますが、力はある。日本には1000兆円以上の個人金融資産があります。こんな国は世界に例がありません。(安倍晋三政権の経済政策である)アベノミクスを受けて、さしあたり株の需給関係は良いほうです。日本の経済実態からいっても、1~3年は景気が良いことは歴然としています」


 ――2020年の東京五輪の開催も決まりました。


 「それもあって、株価がしっかりしているわけです。証券会社でも強気の見方をする人が多いんじゃないですか。(日経平均は)短期的には1~2割は上がるでしょう。ただ、倍になるということはありません。こうした良い状況は10年はもたないでしょう。短期売買で1~2割の上昇を取りに行くのは結構でしょうが、何か問題が起こったときにどうするかということを常に考えていおく姿勢が欠かせません。長期的な視点で行動することが大事です」


 ――なぜ、10年後の相場に悲観的なのですか。


 「日本は1000兆円以上の債務を抱える借金大国です。GDP(国内総生産)の2倍も借金をしている国はほかにありません。日本政府はこれからも国債を毎年40兆~50兆円増発するでしょうから、国の借金はさらに積み重なります。今は国内の貯蓄率が高く、短期的に需給が良い。通貨価値は維持され、国債を買う人も増えていますが、いずれは借金まみれの日本、日本円を信用しない投資家が増える。資本の逃避が起こり始めるでしょう。まだ今は気づく人は少ないですね。しかし、あと2~3年で、多くの人が『日本の通貨価値が相当下落するだろう』と思う時代がくるのではないでしょうか。多くの人が気づいたときには、たいてい大きな損が出ています」
 「私は48年に証券界に身を投じ、変化をとらえては、金融資産を増やしてきました。10年単位の長期展望と1~3カ月の短期展望を組み合わせて、稼ぎました。政府が悪いという人もいますが、自分が愚かなんですよ」


 ――円はすでに1ドル=104円台まで下落しています。


 「円はかつての1ドル=360円から70円台まで上昇したけれど、こうした流れはいずれ逆転するでしょう。円相場はあと10年すれば1ドル=130円、150円台に下落すると思います。かつての360円まで戻るとは思いませんが、長期的には1ドル=200円台、300円台という時代がくるかもしれません。短期的にはインフレは株高の材料なんですが、それが日本からの資金流出という形で、経済の足を引っ張る時代がきます。日本には資源が少ない。少子・高齢化がこのまま進めば、人口は30年後に1億人くらいに減り、国力はだんだん落ちていく。日本の経常収支は今、所得収支のおかげでなんとか黒字になっている。過去の蓄積でなんとか帳尻が合っているということです。投資家は貿易収支、国際収支をみて通貨価値の変動を見極めることが大事です」


 ――かつて、野村証券の田淵節也会長は、石井さんが証券界でもっとも相場巧者だと語っていました。個人として、どのような資産運用を心がけていますか。


 「私は10年ほど前から豪州国債を買っています。購入する通貨は、資源国であるかどうかという観点で選んだほうがよいでしょう。それが一番無難なやり方です。私は1豪ドル=59円台の時に買いましたから、円建ての資産が大きく膨らみました。大型株を買うよりも利回りや価格の上昇率が高く、安全です。日本では、多くの人が預貯金をしてのうのうとしていますが、どうして今、金利が1%にも満たない郵便貯金をするのでしょうか。私の資産の6割は豪州国債などで、残りの4割が現預金などです。豪州関連で年3億円くらい利息収入があり、入ってきた利息でまた豪州国債を買っています」
〔日経QUICKニュース(NQN)〕=(2)に続く

(2) 株の成功に「おごりは禁物」 「大衆に逆らえ」

 

――相場師で財産を残した人はあまりいません。最終的に成功する秘訣は何ですか。


 「一時的に成功しても、最後は失敗して、損を出している人が多いのが実情です。最終的に成功した人は株の世界では数えるほどしかない。株価が高いときに買って、短期的な暴落で大きな損を出してしまうからです。株の世界で成功するには、おごらないことです。人は周囲にちやほやされると喜んで、阿波踊りをやってしまう。銀座に毎晩飲みにいって、夜更かしする人が成功するはずがない。私は夜11時になったら、どんなお客さんでも振り切って帰ることにしています。私は60年前に住んでいた家に今も同じように住み、同じように生活しています」


 「夜10時に寝て朝6時に起きます。時計の針のように正確です。8時間寝れば十分ですから、そういう生活を60年以上続けています。私は分相応のことしかやりません。人間、分を超えると間違いが起きます。そうすると、神様はゴツンとげんこつを落としますね。失敗というゴツンをやります」


 ――来年1月からは少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)が始まります。


 「預かってもらえる金額が小さいから、大きな財産の形成とまではいかない。(新制度を使って)個人投資家は財産の膨らませ方をしっかり勉強したら良いと思います」


 ――新規に株式を始めようとする個人投資家へのメッセージをお願いします。


 「成功するには、みんなが弱気のときに強気になることが大事です。人に逆らう、大衆に逆らう、大勢の人に逆らうことです。大勢の人に便乗するようではダメです。今の時点で日本という国が先行きどうなるかということをしっかり勉強している人がいれば、そういう人の知恵を利用したほうが良いでしょう」


 ――多くの人の逆をいくとすれば、今は株を売るタイミングなのでしょうか。


 「私は株を売るのは今よりあと2~3年先のほうが良いと思います。しかし、10年先までもっていたほうが良いということではありません。投資家はあと3年のうちに売るということを踏まえて行動するほうが良いでしょう。長い目でみて判断し、行動することが必要です。行動力も大事ですね」

 「貧しい家庭に生まれた私は終戦直後、警視庁の巡査などを経て、すかんぴんでこの世界に飛び込みました。それが数千万円となり、あっという間に数百億円まで膨らませることができました。繰り返しになりますが、重要なのは大きな変化を見逃さないことです」


 ――東京証券取引所が検討している夜間取引をどうみますか。

 「あまり感心しません。深夜に取引をやれば、証券会社は従業員に残業代を出さなければいけない。やりたい証券会社とやりたくない証券会社があるでしょう。労働時間が長すぎるのは良くありません。今は証券界はもうけていますが、マイナスも計算したほうが良いのではないでしょうか」


 ――来年は午年ですが、相場格言で来年の株式相場にあてはまりそうなものはありますか。
 「私はそういうことは考えません。ひたすら自分の考えに固執することです。相場格言にとらわれ、縛られる人がいますが、それではいけません」〔日経QUICKニュース(NQN) 聞き手は編集部長 宮崎義夫、日高広太郎〕=終わり



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。