ringoのつぶやき

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DRAM市況を襲う仮想通貨バブル崩壊

2018年05月11日 13時09分23秒 | 

 高値が続く半導体メモリー「DRAM」市場を仮想通貨バブルの崩壊が揺さぶっている。スマートフォン(スマホ)向け、データセンター向けと並び仮想通貨関連の需要はメモリー市場を支える「3本柱」だ。交換事業者からの不正流出事件で、仮想通貨への不信感が台頭。これらの獲得に使うサーバー向け需要が急減速している。スマホ向けも伸びずDRAM価格は2年ぶりに値下がりしそうだ。取引市場の最前線を探ってみた。
 「4月に入ってDRAMの注文がめっきり減った。それまで電子部品とつながりの薄い事業会社からもかなりあったのだが」。東京都内のある電子部品商社の営業マンはこう打ち明ける。2カ月前まで、仮想通貨を新たに獲得するマイニング(採掘)のための需要が旺盛だった。
 マイニングは短時間で大量のデータを処理する。DRAMやDRAMを使ったデータ処理部品「ビデオカード」が不可欠だ。マイニング用のデータサーバー増設をにらみDRAMをかき集める企業も珍しくなかった。
 東京・秋葉原の家電街。パソコンパーツ専門店には、ビデオカードが所狭しと並ぶ。3月に入るまでは、品切れの日も少なくなかった。
 現在は在庫が豊富で簡単に購入できる。「2月までは在庫の有無といった問い合わせが1日10件ほどあった。現在は1週間に1件あればいいほう」(パーツ店大手のドスパラ秋葉原本店=東京・千代田)。
 仮想通貨関連のDRAM需要の冷え込みは、交換業者コインチェック(東京・渋谷)の不正流出事件が影を落とす。仮想通貨への不信感が高まり、「法人は仮想通貨市場に手を出しにくくなった」(部品商社)
 マイニング需要の高まりはDRAMの市中価格を押し上げてきた。もともと需要の柱はスマートフォン(スマホ)向けと、クラウドサービスの普及で拡大するデータセンター向けだった。
 メモリーは技術革新や量産効果で市場投入後は次第に値下がりすることが一般的だ。ただDRAMは需要の伸びに供給が追いつかず、16年春から異例ともいえる値上がりが続いた。
 ビットコインをはじめとする仮想通貨が急騰した17年秋以降、マイニング向けの需要が個人や企業から集まりDRAMの品薄感がさらに強まった。需給バランスの変化に敏感に反応するスポット(随時取引)価格は、17年秋に急伸した。指標となるDDR3の4ギガ(ギガは10億)ビット品は17年12月に1個4ドル前後と、3カ月で2割上昇した。
 スポット価格に引っ張られる形で、パソコンやパソコンパーツメーカー向けの大口価格も上昇し続けた。3月の価格は3.7ドルと、前年に比べ2割以上高い。「DRAMの新たな市場が立ち上がった」(メモリーメーカー)と期待する声が出たほどだ。それからわずか半年、市場の期待は失望に変わった。
 DRAM市場を支える柱の1つ、スマホ向けは既に需要停滞が鮮明だ。米アップルの「iPhoneX(テン)」の減産に加え、中国のスマホ販売も停滞する。米IDCによると、中国スマホ市場の18年1~3月期の出荷台数は8750万台で、前年同期比16%減となった。前年割れは4四半期連続となる。
 中国市場で首位の華為技術(ファーウェイ)の出荷台数は1.9%増えた。一方でOPPO(オッポ、広東欧珀移動通信)など2位以下のスマホメーカーは不振が目立つ。高性能端末への買い替えサイクルの速度が鈍り、販売で苦戦している。
 供給も増える。韓国サムスン電子や米マイクロン・テクノロジーの量産が加速する。17年後半はDRAMの生産効率を高める回路の「微細化」が遅れていた。今年に入り工程管理が進んだとみられ「出荷量は増えつつある」(半導体商社)
 供給過剰感が強まるとの見方からDRAMの大口価格は3月、9カ月ぶりに値上がりが止まった。一部では値下げ決着もあったようだ。現在値決め交渉が続く4~5月の出荷分以降は価格の下落圧力が高まりそうだ。
 英調査会社IHSマークイットの予測によるとDRAMの出荷金額は18年がピークで、19年以降は価格下落の影響で減少に転じるとしている。
 DRAMと並ぶ代表的なメモリー、NAND型フラッシュの大口価格は既に2月から値下がりに転じている。大容量品の増産やスマホ販売の不振で、指標品の大口向け価格は現在1個4.5ドル前後と、年初に比べ6%ほど安い。18年に入り、サムスン電子は生産ラインの一部をNANDからDRAMに振り分けたもようだ。
 NAND安にDRAMの値崩れが重なると、けん引役を失った半導体市場全体の成長にブレーキがかかりかねない。価格下落でメモリー生産が鈍れば、半導体製造装置やシリコンウエハーの出荷も冷え込む。市場関係者の間でささやかれていた、半導体市場全体が成長を続ける「スーパーサイクル」は息切れの気配が出てきた。



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