ringoのつぶやき

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DJ-【社説】日本の民意が示した中国への警告

2017年10月24日 09時58分46秒 | 政治

 

 日本の連立与党は22日実施された総選挙で予想以上の成績を収め、衆議院で3分の2を上回る議席を確保した。この結果、安倍晋三首相は努力次第で日本の平和憲法を自ら目標としている2020年までに改定できる望みを得た。そのことで安倍氏が礼を言ってもおかしくない相手は意外な「援軍」かもしれない。それは、中国の最高指導者である習近平氏と、北朝鮮の金正恩氏だ。

 安倍氏は長い間、戦争放棄をうたう憲法9条を変えたいと望んできた。だがその望みが実現可能なものに見えてきたのは、北朝鮮が核実験を始めるようになってからのことだ。

 日本国民はこの2カ月間で2回、北朝鮮のミサイルが日本上空を飛行するとの警報(Jアラート)に目を覚まされた。日本を核兵器で沈めるという金正恩氏の威嚇に対し、政府にできることはほとんどないことを知り、日本国民の多くはショックを受けた。2013年以降、防衛費を増やしてきた安倍氏の支持率が上昇し始めたのはその時だ。それが総選挙実施の決断を後押しした。

 ソ連との冷戦時、 日本は米国の核の傘の下で生きることに甘んじていた。しかし、北朝鮮が核実験に成功し、中国が北朝鮮の肩を持ったことから、この状況が根本的に一変した。

 日本を脅かしているのは、相互確証破壊(MAD)の概念によって抑止されている超大国ではなく、人民から神格化され崇拝の対象となっている気まぐれな若い独裁者(金正恩氏)だ。危機の際に金氏がどう行動するのか誰も分からないのだ。そして日本人は東京に対する北朝鮮の核攻撃に対して、米国が本当に報復してくれるだろうかと疑念を抱いている可能性がある。そうなればロサンゼルスを北朝鮮による核攻撃リスクにさらしかねないからだ。

 加えて、習近平氏は、自国内の政治的な目的のために日本に対する敵対感情をあおった。習氏が2012年に権力の座に就いて以降、中国は領有権を主張する尖閣諸島の上空に防空識別圏(ADIZ)を設定した。日本による実効支配に挑戦する中国の船舶や飛行機の数は劇的に増加した。

 中国は、安倍氏が日本を軍国主義に戻しつつあるとしてすぐに非難する。しかし、日本の防衛力を強化するための安倍氏の対策は穏健なものであり、長年延び延びになっていたものだ。2014年に安倍政権は憲法解釈を変更し、「集団的自衛権」の行使を容認した。これは民主主義諸国の間の大半の同盟関係で礎となっているものだ。その結果、日本は自国の領空を横断して米国へ向かう北朝鮮のミサイルを撃墜するための行動をとることが可能になった。

 日本は現在、北朝鮮のミサイル発射基地を攻撃できる爆撃機あるいは巡航ミサイルなど攻撃用兵器を持っていない。今年に入って、安倍政権は米国から巡航ミサイルを購入する可能性を検討し始めた。

 北朝鮮が核兵器を拡充し、新型ミサイルを開発するなかで、日本は自前の核抑止力を求める可能性もある。この可能性は既に防衛当局や関係者の間で議論されている。日本は、民生用原子力プログラムから大量のプルトニウムを保有しており、数カ月以内に初の核実験を実施することも可能だろう。

 22日の総選挙結果は、中国が金正恩氏を制御できないでいることが、現実の政治的結末をもたらしていることを示している。北朝鮮からの脅威がなければ、安倍氏はそれまでのスーパーマジョリティー(3分の2以上の議席)を維持することはできなかっただろうし、選挙に負けていた可能性もある。習近平氏は日本の再軍備を望まないのであれば、金正恩氏の食糧と石油の生命線を遮断することもできる。さもなければ、北東アジアの勢力図は中国が望まない方にシフトするだろう。
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