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DJ-【焦点】米大富豪コーク兄弟、次の政治標的は中間選挙(1)

2018年01月29日 15時34分31秒 | 政治

 【インディアンウェルズ(米カリフォルニア州)】

 米国の大富豪コーク兄弟の政治団体「アメリカンズ・フォー・プロスペリティ(AFP)」は過去10年に2000億ドル(約21兆7600億円)超を投じて医療保険制度改革法(オバマケア)撤廃を目指したが、果たせなかった。ティム・フィリップスAFP理事長は「間違いなく私たちの政策における最大の敗北」だとしている。

 この献金ネットワークの関心は今、より差し迫った問題に移りつつある。今年秋の中間選挙で、上下両院での共和党の過半数議席を守ることだ。

 「すねてはいられない。進まなくてはならない」と、長らく理事長を務めるフィリップス氏は述べた。「永遠に多数党ではいられない。そして私たちにはまだ多くの政策目標がある」。コーク兄弟にとってAFPは、州・連邦レベルで医療などの政策実現を訴える主要な組織だ。

 連邦議会共和党と同様、コーク兄弟の諸団体はオバマケア撤廃の取り組みを棚に上げ、税制改革法の成立を優先してきた。今は新税法を国民に売り込むことに注力している。

 エネルギー複合企業コーク・インダストリーズの幹部であるチャールズ・コーク氏とデービッド・コーク氏の兄弟は2003年、同じ考えを持つ保守派のリバタリアン(自由至上主義者)の献金者12人を初めて集めた。先週末にカリフォルニア州パームスプリングス近くで開催された年次会合には550人を超える人が集まった。彼らが毎年投じる10万ドル以上の資金は、さまざまな奨学金、企業の投資、各種機関や政治・政策団体に振り向けられる

 政治・政策関連の運営の大半は、AFPと同兄弟の政治団体フリーダム・パートナーズを通じて実施される。フリーダム・パートナーズの広報担当者は、そうした団体が17、18年に見込んでいる支出額が4億ドルに上ると述べた。16年の選挙での支出を上回る金額だ。当時は、対立をあおる上に保守らしさが足りないとしてドナルド・トランプ氏への支援を拒んだ。

 トランプ氏は、中間選挙で共和党を取り巻く「厳しい環境」(フィリップス氏)の要素に含まれている。政権を握る党は次の選挙で議席を減らすのが普通だ。またトランプ大統領就任後に行われた補欠選挙に民主党支持者が大挙して押し寄せており、共和党支持者との間に熱意の差が生じていることに共和党は気付いている。

オバマケア改廃果たせず、方針転換

 フィリップス氏によると、コーク兄弟の団体の政治・政策担当者は政治の場で医療保険について議論する余地はほとんどないと判断するに至った。これはオバマ氏が2010年に医療保険制度改革法に署名して以来、初めてのことだという。

 税制改革法はこの悩ましい医療保険制度問題から共和党議員を救うことにも役立ったと、議員らはコーク兄弟の会合で述べた。27日夜に同兄弟の団体の献金者と話したジョン・コーニン上院議員(共和、テキサス州)は「われわれはオバマケアを強制ではなく文字通り任意の制度にした」と述べた。医療保険に入らなければ罰金を科すとしたオバマケアの加入義務を税法で撤廃したからだ。

 オバマケアに取って代わる共和党の医療保険制度法案が昨年3度にわたり議会通過に失敗したことを受け、トランプ政権は現行法の下で州関連の規制を緩和した。

 フリーダム・パートナーズの広報担当者は「議会が完全撤廃の方向に動かないなら、宣伝するのは時間の無駄だ」とし、「私たちにはもっと効果的かつ効率的にこれを進める方法がある」と述べた。例として、コーク兄弟の団体の職員や活動家が医療保険制度について議員個人と話す方法を挙げた。

 コーク兄弟のネットワークは、オバマケアに対する保守派の反対を通じて活動の基盤を構築し、資金が潤沢で焦点の定まった政治勢力をつくろうとした。12年にはオバマ氏再選を阻止しようとオバマケア批判に注力したが失敗。16年に上院選に関与した際にも、ほぼ常にこの問題に言及した。

 

 コーニン上院議員は「オバマケア改廃に失敗した後、われわれが上下両院で多数党であることやこの大統領のメリットを利用して何か大きなことを実現することはできないだろうとの絶望感があった」と述べた。「税制改革の採決でそれが払しょくされたと思いたい」

 昨年末にトランプ大統領が署名して成立した税制改革法は、コーク・インダストリーズを含む企業や個人の大半に減税をもたらした。広報担当者によると、同社は同法の成立に向けて広告に2000万ドルを支出したほか、その成果を宣伝するためさらに2000万ドルの広告費を投じる予定。

 コーク兄弟の団体は昨年遅くに中間選挙に向けた活動を開始。インディアナ、ミズーリ、ウィスコンシンの各州で、税制改革法をテーマにした広告に100万ドル超を投じている。共和党は今年これらの州で再選を目指す民主党上院議員を阻止したい意向だ。

 27日夜の献金者会合で講演したトム・ティリス上院議員(共和、ノースカロライナ州)は、新法が「機能している」ため共和党議員が税金について語っている姿を見たくてたまらないと述べ、反対票を投じた民主党議員は演説に苦労するだろうと話した。

 民主党側は、税制改革法の売り込みに苦労するのは共和党だと話している。

 ナンシー・ペロシ下院院内総務(民主、カリフォルニア州)は今月サンフランシスコ大学で行われた集会で、「彼らはこれが中間層の減税だと国民をミスリードするために数百万ドルを投じる予定であり、既に投じている」と述べた。

 医療保険に関連したアピールが消えた要因は税制改革法以外にもある。オバマケアを守ることは民主党支持者を熱狂させる上、国民の間ではオバマケアへの好感度が導入当時より高まっているのだ。

 昨年11月に行われたバージニア州知事選の出口調査では、当選した民主党のラルフ・ノーザム氏に投票した理由として医療保険制度を挙げる有権者が多かった。

 コーク兄弟の会合に出席したマーシャ・ブラックバーン下院議員(共和、テネシー州)は、同兄弟の団体など外部の圧力がなくても議会が引き続きオバマケアを骨抜きにするだろうと述べた。
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