日産自動車は2013年春の労使交渉で労働組合の一時金要求に対し満額回答する方針を固めた。アベノミクスによる円高修正で業績改善の期待が高まっていることに加え、組合員の士気向上を重視した。ホンダと富士重工業も一時金を満額回答する見通し。労使が交渉中のトヨタ自動車も労組が要望する満額回答に応じる公算が大きい。賃上げを求める政府の声に自動車大手が一時金増額で応えたことで製造業全体に賃金改善ムードが広がりそうだ。
日産自動車労働組合は一時金について、昨春要求と同水準の5・5カ月分(獲得実績は5・3カ月分)を要求。今期は中国販売の不振などで減益(連結純利益ベース)を見込むが、円高修正により単独業績は改善、営業損益は5期ぶりに黒字化する見通しだ。
本田技研労働組合の今春要求は昨春要求の5・0カ月分(実績は5・0カ月分)を上回る5・9カ月分。今期純利益(米国会計基準)は軽自動車販売の好調などで前期比75%増となる見通し。
米国販売の好調などで今期過去最高益を見込む富士重工業の労働組合も昨春要求の5・0カ月(実績は5・0カ月)に対し、今春は5・0カ月プラス10万円を要求している。両社とも満額回答となる見込みだ。
一方、トヨタは労組の前年獲得実績を27万円上回る年間一時金約205万円の要求について「取引先などの理解を得られない」(幹部)との声は依然ある。ただ官民で賃金改善ムードが高まっていることを重視すれば、トヨタも満額回答となる可能性が高い。
さすが、ゴーンさん