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私の日常臨床 Vol.67

2023-08-14 07:48:50 | Weblog

久しぶりに当院の症例を提示しよう。
初診時71歳女性 主訴は下顎の両側臼歯部の腫れと痛み。
所見では、左右6に根破折がみられ、保存は難しいと判断した。

まず、同部の破折の原因となった要因に対して、
当院で行っている通法の処置を行い、その後に欠損補綴治療へ。
左右の7を左右6部への移植処置を行い第一大臼歯までの歯列弓とした。
経過は現在のところきわめて良好であり、
患者からは非常に高い満足を得られている。

このような欠損補綴を行う場合、皆はどのような治療計画を行うだろうか?
理想治療でいうなら左右6部にインプラント補綴であろう。
妥協的プランでいうなら両側臼歯はブリッジ補綴であろう。
経済的問題があるなら左右6人工歯のRPDもありかもしれない。

年齢が71歳、年金暮らしの患者さん。下顎前突。上顎両側7欠損。
この様な症例の場合、私がまず考えることは
患者がどこまでの治療を求めるかを確認する。
患者は義歯はできることなら避けたいが、インプラントを選択できるほどの予算は厳しい。
それなりに快適に食事ができればよい、ということであった。
その結果、今回のような欠損補綴治療となった。
(この移植補綴処置は保険適用外なので15万円×2歯・それ以外の補綴(左右5)は保険治療)

下顎前突をこの年齢からわざわざ正常咬合にする矯正治療は不必要であり、また
失活している両側下顎7を6の位置まで移動させる矯正治療は、
費用と期間の問題を考えると良い選択肢とはいえないと私は考える。
そんなことより、破折に至った要因を再発させない処置と
それを維持させる環境を構築することの方が重要である。

私がブリッジ補綴を選択しなかったことにはそれなりの理由がある。
その理由を、提示する初診時のパノラマレントゲンで推測していただければと思う。



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