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口腔粘膜病変

2017-09-26 07:50:40 | Weblog
症例は71歳女性。 主訴は右側頬粘膜の病変について。
総合病院口腔外科にずっとかかっているらしく、
扁平苔癬と診断され、軟膏を処方されているが、一向によくならず、
経過観察の治療が不安になったとのことで、なぜか開業医である当院を受診されにきた。

扁平苔癬と診断を受けていたが、通常この病変は両側性にみられるものであり、
口腔内を精査したとき、この患者では右側のみの粘膜病変であるため疑問があった。
また金属アレルギーも考えたが、左右側とも金属修復物があるため、この点についても同様に疑問があった。
なお細胞診やパッチテストを行ったかの既往をきくと、行っていないということであった。

いづれにしても臼歯部修復補綴部位が2次カリエスになっていたこともあったので、
当院ではまずテンポラリーに置き換えながら、
色々な観点を整理し、勘案した結果の内容をまとめ、違う総合病院口腔外科へ、
紹介状にやってほしい検査と私の見解を記し、検査を行ってもらうことにした。

結果、主原因は、口腔内における意外なものが原因であることが判明し、
その点について対処を行い、経過観察後、病変は消失した。
原因がわかれば、あとは病態が再発しないような処置を行っていくだけである。

「意外なもの」について、
あえて記していないが、いろいろ考えてほしいからである。
普段の臨床における診査と診断は、病態を観察し、診査時に確証が得られない場合、
考察することから始めなければならない。これは、培った経験と知識、
不足している知識は改めて自分で調べて、様々な点から検討が要求される。
労せずして得る付け焼き刃の知識では、類似した事例に遭遇したとき
偏った判断しかできなくなってしまう。
また、他科や専門科との連携を行うときは、丸投げで任せることもよくないと考える。

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