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私の日常臨床 Vol.70

2024-01-04 12:45:21 | Weblog

皆さま  新年あけましておめでとうございます
元旦早々、北陸での震災、翌日の飛行機事故といった波乱の幕開けとなった新年ではありますが
被災された方々へはお見舞い申し上げるなか、皆様におかれましてはご多幸に恵まれることを祈念申し上げます。

さて、新年最初の記事は症例を提示する。
症例は、71歳男性 主訴は前歯の差し歯が何回もとれる、であった。
右上3のポストコアごとの脱離が装着時から頻繁に起こるため、当院を紹介されて受診。
口腔内を精査したところ右上1部も失活していた。(後に根尖付近より破折していることが判明)
このような問題がみられる場合、皆も周知の通り、動的な咬合によるものとすぐに理解できるであろう。
では、この動的な咬合の問題と、それを考慮した咬合治療をどのように行っていくかが、我々の課題である。
私は当院での通法の咬合治療を最初に行い、右上3の暫間補綴が脱離してこないことを確認後
出来る限り義歯を避けるために、左下8を右下6部に移植を行い、
左右第一大臼歯までの咬合関係とした。
右上1に関しては、口腔外で破折部の修復を行い再植を行った。
その後、機能と咬合位の安定を3カ月ほど経過観察して、最終補綴を行った。(移植処置以外は全て保険診療にて処置)
患者さんからは非常に高い満足を得られた。
画像容量の関係上、術中や部分の写真は割愛するが術前術後の資料を提示する。

この様な欠損様式の場合、理想はインプラント治療である。
しかし、患者さんの経済的背景によりインプラントが行えないことは多々ある。
私は患者の年齢に関係なくデンタルローンを組ましてまで、術者が考える治療を提案することはしない。
妥協的な範囲の治療でも、審美的要求がなければ、食事が満足にできる環境を提供すればよい。
つまり重要なのは顎生理機能の改善を行っているかである。それに関連した
下顎に移植を行い、上顎に部分床義歯を行った(逆の選択をしなかった)のも、私なりの理由がある。
皆さんならどのような治療計画を考えるだろうか


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