リキデンタルオフィス 医療関係者向けブログ

オリジナルHP: http://rikidental.client.jp/

私の日常臨床 Vol.58

2022-04-05 08:03:18 | Weblog

けっこういろいろ忙しく、更新すっかり忘れていた。

今回の症例は、舌のできものが治らなく痛い という主訴の症例
他院でずっと軟膏を塗布し経過を見てもらっていたが
一向に症状が改善しないということで当院を受診された。
初診時の所見では、確かに右側大臼歯相当部の舌縁下に異常所見がみられた。
軟膏を塗布しても症状が改善されないとのことであり、この様な場合
原因は他にあると考えなければならない。
(念のため当院では、総合病院に病理検査の依頼を並行して行った)
口腔内をじっくり観察した結果、義歯による問題が主訴部の大きな原因と推察し
まず義歯の問題に対処を行った。その結果、症状は徐々に改善された。
この様な事例からも分かるように、
歯科では歯周組織ばかり着目して治療を行うことが多いが
口腔周囲粘膜や舌といった組織との調和も考えなければならない。
また、この症例では審美的な観点からノンクラスプデンチャーの義歯設計であるが
私はノンクラスプデンチャーの適応症例は本当に限られていると考える。
この点については明確な理由があり、症例ではこのことも原因の一つである。

本症例は他にも問題が多くあったため、私の考える視点で全顎的な治療を行った。
ちなみに理想治療として矯正は行う必要はないと考える。
様々な視点で歯科治療を行わなければならない症例である。