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《自然として存在する存在者》と《歴史として存在する存在者》(現存在)とのことなるカテゴリー的構造!ハイデガー『存在と時間』(1927)「第1部」「第2編」「第5章」「第77節」

2020-05-02 14:43:16 | 日記
※ハイデガー(1889-1976)『存在と時間』(1927)「第1部 現存在を時間性へむかって解釈し、存在への問いの超越的地平として時間を究明する」「第2編 現存在と時間性」「第5章 時間性と歴史性」「第77節 歴史性の問題についての上述の論述と、ディルタイの諸研究およびヨルク伯爵の思想との連関」

(1)ディルタイの解釈学=心理学:《生》を《生そのもの》からの了解し、それに解釈学的基礎を確保する!
A ディルタイの研究活動の3方面:(a)「科学理論」(「精神諸科学の理論、および精神諸科学と自然諸科学との区分」関する研究)、(b)「科学史」(「人間、社会および国家についての諸科学の歴史」関する研究)、(c)「解釈学的=心理学的考究」(「《人間という全き事実》を叙述しようとした心理学」のための探求)。(398頁)
B  ディルタイの研究活動は「ただ一つの目標」を目指していた。「その目標とは、《生》を哲学的に理解し、そしてこのような《生そのもの》からの了解に解釈学的基礎を確保することにある。」(398頁)
B-2 こうして、すべては「心理学」or「解釈学的=心理学的(hermeneutisch-psychologisch)考究」へ集中している。(398頁)
B-3 「この心理学とは・・・・《生》を、①その歴史的な発展と作用の連関において、②人間の存在する様相として、しかも③精神諸科学の可能的対象たるとともに、④精神諸科学の根底として、理解しようとするものである」。(398頁)
B-4 「解釈学とは、ほんらい、この理解の自己解明の作業である」。(398頁)

(2)ディルタイの記述的分析的心理学についてのヨルク伯の見解!
C ヨルク伯は「ディルタイの自身の哲学的志向」について「歴史性を了解しようとするわれわれに共通の関心」と述べている。(398頁)
C-2 ヨルク伯は、ディルタイの「記述的分析的心理学」について、「第一義的な認識手段としての自己省察、第一義的な認識手続きとしての分析は、しっかり示されている」と評価する。(399頁)

(3)《自然として存在する存在者》(存在的なもの)と《歴史として存在する存在者》(歴史的なもの)(現存在)とのことなるカテゴリー的構造!
D ヨルク伯は、「諸科学に率先してそれらを先導する論理学」を要求する。Ex. 「プラトンやアリストテレスの論理学」!(399頁)
D-2 この論理学の要求の中には「《自然として存在する存在者》と《歴史として存在する存在者》(現存在)のそれぞれことなるカテゴリー的構造」を積極的かつ根底的に取り出してくるという課題が含まれる。(399頁)
D-3 「《存在的なもの》と《歴史的なもの》との類的差別」をディルタイが十分強調していないと、ヨルク伯が批判する。(399頁)
《感想》人間はハイデガーによって「現存在」と呼ばれる。私見では、これは《モナド》(ライプニッツ)、あるいは《超越論的主観性》(フッサール)に相当する。(「序にかえて」参照)

(3)-2 ヨルク伯:《存在的なもの》と《歴史的なもの》との峻別!ランケ批判!
D-4 ヨルク伯は、「《存在的なもの》と《歴史的なもの》との間の差別」を鋭く感じ分けながら、「伝統的な歴史研究が、物体的=形象的なもの(※存在的なもの)を的としている『純粋に視覚的な諸規定』の範囲内にまだ強く拘束されている」と批判する。(400頁)
D-5 かくてヨルク伯はランケを批判する。「ランケは歴史の素材を政治的なものの範囲に限定している・・・・。政治的なものだけが、ドラマ的(※視覚的、物体的=形象的)だからである。」(400頁)

(3)-3 ヨルク伯:歴史学派は、なんら歴史的ではなかった!
D-6 ヨルク伯が言う。「歴史学派は、なんら歴史的ではなかった。」(400頁)
D-6-2 「大きな主流(※Ex. ランケの実証主義的な歴史学)が力学的構成の運動であったのに対して、歴史学派は、好古的な学派で、美的構成の手法によっていた。」(400頁)
D-6-3 「歴史学派が、合理性の方法につけ加えたものは、たんなる全体感情にすぎなかった」。(400頁)
D-6-4 「手に触れるものがないところへは――だが生き生きとした心的転移のみがみちびいていくところへは――、この先生方は入ってこない。彼らは根本において自然科学者である」。(400頁)
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