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坂村真民(1909-2006)「悲」:「宇宙全体が相助け合って生きている」とは、《そうした宇宙が事実としてすでに実現されている》と思うことでない!《宇宙が理想としてそうあるべきだ》と痛切に願うことだ!

2018-12-04 17:46:09 | 日記

 「悲」 Sorrows or compassions

長く生きていることは To live for a long time
無駄ではなかったと is not useless.
しみじみ思う年になった I seriously think this fact because I have become old.

《感想1》長く生きていて、後悔ばかりの人と比べると、この詩人は、長く生きて「無駄ではなかった」と思えるのだから、満足できる人生or「終わりよければすべてよし」の人生を送ったのだ。うらやましい。

見えなかったものや On the things that I can't see
聞こえなかったものが or I can't hear,
見えだし聞こえだしたのも I have become able to see or hear them.
ありがたい喜びの一つだが This is one of my joys that I can't easily get.

《感想2》経験は大事だ。「亀の甲より年の功」と言う。「海に千年山に千年」住めば「酸いも甘いも噛み分ける」ことができる。喜怒哀楽の機微が理解できるようになる。

一番大きな喜びはいろいろの悲しみを知ったことだった However the most meaningful one of my joys is that I have come to know various sorrows.
小さな虫たちの悲しみから On the sorrows ranging from that of small insects
大きな獣(ケモノ)たちの悲しみまで to that of large animals,
風のように感ずることができ I have come to be able to feel them like a wind.

《感想3》悲しみとは、個人の悲しみ(sorrows)であるとともに、他者への共感(compassions)だ。
《感想3-2》小さな虫たちや大きな獣たちの悲しみを知るとは、彼らも、他者への共感のうちに生きていると知ることだ。これは仏教的考え方だ。生きとし生けるもの全てに魂(or仏性ブッショウ)を見る。

一木一草(イチモクイッソウ)宇宙全体が On the fact that all things of the universe including one tree and one grass
相助け合って生きていることが live helping each other,
手に取るようにわかってきた I have come to know it clealy.

《感想3》かくて詩人は、年を取ってようやく、一木一草(イチモクイチソウ)までが共感(「悲」)のうちに生きること、つまり宇宙全体が「相助け合って生きている」ことがわかってきたと言う。
《感想3ー2》だが現実の人間世界には、憎悪・敵意・悪意・怨念が満ちる。殺し合い・いたぶり・暴虐が大手をふるう。なんと陰惨な世界だ!
《感想3ー3》詩人は年を取って、「宇宙全体が相助け合って生きている」ことがわかったと言う。これは、《そうした宇宙が事実としてすでに実現されている》と思うことでない。《宇宙が理想としてそうあるべきだ》と痛切に願うことだ。
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