外国語学習の意味、そして母国語について考えましょう

社内公用語の英語化、小学校での英語の義務化など最近「英語」に振り回され気味ですが、何故、どの程度英語を学ぶか考えます。

関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

2018年09月04日 | 英語学習、教授法 新...

関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

grammar 1このシリーズのコラムは少々長いです。今回、3,300字ぐらいです。

これから英語学習のだんどりや、教え方のカリキュラムの作成について少しづつ理論を創っていきたいですが、まずは、教室で扱った一つの具体的な文法項目からスタートしましょう。

今回のエッセイには二重の目的があります。一つは英文法学習の理論はまだないのではないかという指摘。もう一つは関係詞という一つの文法項目の学習法、指導法についてのヒントです。関係詞という具体的な項目をとおして、理論の必要性の指摘という大きな目的への一里塚にするつもりです。ですから、関係詞について、今回網羅的ではないです。

関係代名詞という用語は知っていても、その役割は分からないという人がけっこう多いようです。学校の穴埋め問題で出るから、ルールを覚えるというだけなのでしょう。中等教育にはこうしたことが、英語にかぎらずあります。オームの法則の計算法は知っているのにそれが何を意味するか分からないとか。意味も分からず生徒に教え込むということが行われているのですね。なぜそうなるのか、ここから、別の課題につながりますが、今回はそちらへ行かず。関係詞について、考える土台を述べておきましょう。

1:文法項目の分類の非合理性

中等教育と、大きく出てしまいましたが、せまく、英文法という分野に限っても、項目分類の意味が十分生徒に伝わっていないのではないでしょうか。最初に、名詞、次に、形容詞、動詞などと並べてあるのは、昔のラテン語学習者のための文法書の順序を踏襲しているからではいかと思われます。ところが、生徒は、各項目の関係など全く考えずに、穴埋め問題の点数を上げることしか考えません。地理なら、アメリカ、日本、中国の各項目が無関係ですが、それと同じくらいにしか考えないのが生徒です。ちなみに、物理の場合、逆に、力学の項目と電磁気学は緊密に因果関係で結ばれています。一つでも輪が欠けていたらそこで大きな課題が生まれます。このように、教科によって「項目間の関係の意味」は違うのですが、そのことは意識されません。しかし、それに無関心だということはその教科の本質の理解を妨げます。

2:英文法の各項目の意味

では、英文法の各項目はどう関連付けられるか。言語学は物理学ほど法則性の高いものではないですが、やはり、どれが先の項目で、どれがその結果出てくる項目か、というぐらいの違いはあります。それを間違えるととても分かりにくくなります。その点、地理とは違いますね。しかも、もう一つ、言語学的なシステム以外に、英語学習の場合、学習の心理的順序というものがあります。これは物理と少し違う点です。どれを先に学習したら効果的か、またはどれを時間をかけて学習すべきか、どれくらい項目間の時間の差をつけるか、こんな基本的なことでも、あまり議論が進んでいないように思います。たとえば、比較構文などは論理は明快で説明も楽。しかし、時制のニュアンスは数年ではとても習得できるものではない、などです。ところで、ここでは、私はまだこの二つの「項目間の関係」について具体例はまったく挙げていませんが、これまでの記述でなるほど、と思われる方はどれほどいるか...。今回、概括的に述べたいので先へ行きましょう。

3: 英文法は知識か?

おっと、大切なことを忘れました。関係詞の話に移る前に、英文法が地理や物理と違う3つ目の、最大の違いについてここで触れておかないとあとで困ります。それは、英文法の「知識」は、地理や物理の知識とは性格が違うということです。地理なら、「ワシントン州は米国の西岸にある」、物理なら「V=RI(電圧=電流×抵抗)」など知識と言えますが、「三人称単数の主語のあとの普通動詞には語尾にSがつく」は同列の「知識」と言えるでしょうか。英語における知識は、話すとき、書くとき、すばやく過たず"He speaks English."と言えることでしょう。また、"He speak English."と言ったら即座に間違いだと分かることです。その能力が「英語の知識」と言えるものです。「三人称単数の主語のあとの普通動詞には語尾にSがつく」という「文法規則」を暗唱できても英語ができるわけではありません。このように、3点、他の教科と違うということを忘れて混同するととてもおかしな学習になってしまいます。あ、脱線しました(意味のある脱線だと思っていますが...。)関係詞へと問題を絞ります。

関係代名詞14:関係詞

関係代名詞は、relative pronoun。関係副詞はrelative adverb。これらを総称して関係詞と呼びます。

まず、習う側は、「関係詞だかなんだか知らないが、英会話には使わないわ」などと思い込む場合があるようですね。「なんだか難し気(げ)だし…」、いったんそう思ったら学習しなくなります…。

そのため、関係詞はなぜ学習の必要があるのか、どういう役割をするか、そして、何を前提しているのか(物理の各項目のように)、など、習う側になっとくさせるのが必ず必要だと思います。けれども、学校の英語の先生は十分にそれを伝えているでしょうか。私は、高校1年の段階で教えるのがカリキュラムの構成上好ましいと思うのですが、これまた別の記事で論じることにします。

一つの教え方のモデルを提示しましょう。

日本語から入るのです。いくつか先のエッセイでまったく違うアプローチも試みますから、学習法としての優劣を考えてみてください。

先生:「赤い花」、これを英語にしてみてください。

関係詞2生徒: a red flower

先生:もう一つの表わし方があるのですが知っていますか。

それは、a flower which (=that) is red です。

生徒:この二つは同じ意味なのですか。

先生:はいそうです。

生徒:同じことを表すのに二つの表現がある、というはおかしくないですか。同義語ということを習ったとき、いかなる同義語も違いがあるものだと習いました。

先生:a red flowerより、a flower which is redの方が表現の応用が利くのです。たとえば、a flower which was red、a flower which may be redなど、動詞の形を変えることができ、より詳しい表現を行いことができるではないですか。一方、a red flowerは、速く言えるというメリットもあります。そのため、一方は詳しい説明をするため、もう一方は速く言うためのという使い分けがあるので二つ表現があると考えることできます。

生徒:名詞を詳しく説明するために使うのが関係代名詞というわけですか。

先生:はい、そうです。relativeの元となった動詞のrelateには「関係させる」という意味と並んで、「説明」と言ってもいい「もの語る」という意味もあります。詳しくない方の説明なら名詞の前に、redを付けるだけでよいですが。ところで、説明という漢字でもよいですが、「限定」と言いたいところです。「赤い花」は、さまざまある花のなかで「赤い」のを選び出すわけです。言い換えると、関係代名詞を使って<限定>するのです。たんにredだけでも限定できます。すると花の範囲が「狭くなる」でしょう。狭くなるというのが肝心な点です。またこれについてはすぐに論じることになります。

生徒:限定って英語ではどういいますか。

先生:define。定義するという日本語にも訳せますね。

生徒:なるほど。

生徒:まだ質問があります。なぜ一個の形容詞なら名詞の前なのに、関係代名詞を使って名詞のあとにくっつけるのでしょう。日本語なら、「赤い花」でも、「庭に咲いている花」でも、「庭に僕が昨年植えた花」でもみんな、名詞の前に来ますよね。

先生:その質問への答えはあるとも言えるしないとも言えます。しかし大きな問題につながるので次回にしましょう。

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練習問題:以下の日本語の語列を英語にせよ。

(1) 青い花

(2) 庭に咲いている花  (咲く:bloom)

(3) 昨年植えられた花       (植える:plant)

To be continued

 

 


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